田辺・弁慶映画祭の入賞作品
近年稀に見る良作の揃った年からのチョイス

ストーリー
2020年、担当大臣の汚職による東京オリンピック中止と新興宗教による毒ガス散布未遂事件。ふたつの大事件の影で起こったコンビニ経営者惨殺事件、通称「イカロス」。被害者の息子士郎と交流のあった紗凪は、刑事から取り調べを受けることになる。解離性同一性障害を患う彼女と彼女の中に存在する人格たちは、それぞれの視点から回想を始めるが…。

映画への愛が溢れている。
映画だけを愛し続けてきたのだろうなと感じる。
劇中に登場する様々な映画やゲームや漫画などのサブカルチャーのオマージュが秀逸。
誰にでもわかるようなオマージュを入れたと思ったらコアで自分にしかわからなくても良いというほどのオマージュさえ入れている。
正直、色々な物語を一つにした印象。
タランティーノやシャマラン、フィンチャーなどなど挙げるだけでキリがない。
映画としてよく出来ているとは思うが真新しさや斬新さはない。
自己満足程度の面白さとしか感じられない。
解離性同一障害をネタとして魅力的に感じているだけに過ぎずリスペクトはかんじられない。

自主制作という事もありセリフが何言ってるか聞き取れない部分が多数存在するがこれは観客を集中させる上でとても魅力的な手腕だと思う。

しかし、カット割や物語のテンポ、合わせづらい音楽などこの監督の才能に賞賛せざるを得ない点も多々ある。
今はまだだが、このまま精査し続けていったら日本を担うすごい監督になるかもしれない。その技量は感じた。
今後も楽しみな監督だ。

12の多重人格を持つ少女と父を何者かに父を殺された少年の間の奇妙な交流。
警察は彼女から犯人の手がかりを探ろうと事情聴取するがうつろう性格に翻弄される。
多重人格者が画面上で共存して会話する斬新な表現と畳み掛けるようなポップな展開が面白し。

弁セレ舞台挨拶付上映

担当大臣の汚職による東京オリンピックの中止と新興宗教による毒ガス散布事件、この２つの事件の裏で起こったコンビニ経営者殺人事件、多重人格であるサナは殺された店長の息子・シロウと交流があったことから取り調べを受けることとなるのだが…というお話

この作品のいちばんの見どころは何といっても、『スプリット』のジェームズ・マカヴォイ並にあらゆる人格を切り分け、早口で極論を捲し立てる主演の倉嶋かれんさんの存在感だろう
すべり台のすべり方を見てこの人めちゃめちゃ女優やんってなった
オーラもすごい

監督も尖った感じの方でまさしく鬼才なイメージ
随所にアニメっぽい演出を感じたが果たして意識された部分はあったのだろうか

結局、社会は集合の無意識で成り立っていて、それ故に必ず歪みは現れ、そして犠牲になるのはいつも弱者

てか、東京オリンピックと新興宗教の背景はどういう意図があったんやろ…あんま話絡んでこんかったしそこは気になる