よねっきーさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

4.8

おれは男だから、この映画の本当の部分って分かんないんだと思う。だけどこの映画を俺がここまで褒めるのは、とにかく「女の世界」への憧れを抱かせる舞台設定に惚れ惚れしたから。

この映画には男が出てこない。
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Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

4.4

「異物を飲み込んでしまう女性のスリラー」というとなかなかキャッチーだけど、あまりエンタメとして片付けておけない題材みたい。映画は後半にかけて思わぬ方向に舵を切っていく。

ラストカットの執拗な長回しを
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ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

4.7

ポリコレ的な部分の丁寧な作り込みは素晴らしいんだけど、正直あんまり言及したくない。俺らはこれが当たり前な世界を目指さなきゃいけないんだから!この映画をファンタジーのままにしちゃいけないぜ。きっと209>>続きを読む

スカーフェイス(1983年製作の映画)

4.3

偉そうなこと言うけど、最後の下から上へパンするカメラワーク、失敗してね?俺なら上から下に撮るね。あのショットのせいでこの映画のテーマがブレまくってると思う。観終わった後の第一声が「誰…?」だったもん。>>続きを読む

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)

5.0

ディズニー×ピクサー作品が大好きな俺の中で、至上の一本はずっと『モンスターズ・インク』もしくは『モンスターズ・ユニバーシティ』と決まってたんだけど、これはもう政権交代。『リメンバー・ミー』は映像も世界>>続きを読む

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

4.6

もうディズニーのCG技術にはあんま驚かないけど、かなり攻めた構成の脚本にやられた。譜面台にポケットの中のゴミを並べて即興演奏を始めるあのシーンでジンと目の奥が熱くなった。全ての映画がやってるように映画>>続きを読む

ばるぼら(2019年製作の映画)

4.2

邦画でここまでやってるのは最近見ない。素晴らしい芸術家精神。なのになんだろう、この物足りない感じ。

そもそもの原作がトラウマティックなカルト漫画だから、映画もカルトになるような狂気的な魅力を持ってい
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mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

4.5

「極私的な映画」言い換えれば「作者の故郷としてのカルチャー映画」が流行ってる現代に、なんて渋い作品が出てきたもんだろう。これが正解じゃん、なんて思っちゃった。正解なんかないけど。

正直言って、ジョナ
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ライオンは今夜死ぬ(2017年製作の映画)

4.4

絵画で例えるなら、諏訪監督の映画はドリッピング・アートだ。ポロックがキャンバスに絵の具を散らばせて描いた、あの作品だ。いたずら、もしくは悪ふざけ、そういうものが偶然に組み合わさって芸術へと昇華していく>>続きを読む

汚れた血(1986年製作の映画)

4.4

歳を取んなきゃ分かんない映画ってあるよな。すると当然、歳を取ったら分かんなくなる映画もあると思う。汚れた血。疾走する愛。無知だから知ってる。未熟だから感じる。愚かだからこそ伝わってくる。静かな画面に漂>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.9

この映画をはじめて観たのはもう半年以上も前のことなんだけど、言いたいことが多すぎてレビューを書き渋ってるうちに、2回目の鑑賞機会が訪れてしまった。再上映始まっちゃったよ。そりゃ観に行くよ。

初めて観
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スウィング・キッズ(2018年製作の映画)

4.8

タップシューズの靴底に笑顔が反射するシーンで泣いちゃった。ダンスって宝物なんだよな。宝石みたいにきらきら輝いて。

映画が始まってから10分くらいでルイ・ジョーダンのCaldoniaが流れ出すんだけど
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サイコ(1960年製作の映画)

4.6

オープニングクレジットからサイコ。間違えた。最高。

バスルームのシーンや耳を劈くサウンドトラックが有名だけど、意外と淡々とストーリーが進む。そのシーンは別に大して怖くない。怖いのは、静かに真実が明ら
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グランド・イリュージョン 見破られたトリック(2016年製作の映画)

4.2

悪くないけど、ウディ・ハレルソンの催眠術が何でもありでズルすぎる。退会してくれ。

フォロウィング(1998年製作の映画)

4.6

ノーランのデビュー作。『メメント』の前身と言えるかもしれない。全然内容は違うけどね。70分でお気軽に観れる。お気軽に騙される。

モノクロの映像が結構凝っててかっこいい。『メメント』より凝ってた気がす
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プレステージ(2006年製作の映画)

4.6

テネット観たけど何も分かラン、ノーランの映画なんかもう見てやラン、なんて不貞腐れてる皆さんにオススメしたいのがこの映画。「複雑な脚本×ド派手な映像」っていうノーラン映画のスタイルが確立されたはじめての>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

4.7

ノーラン、そろそろネタ切れになってくんねえかな。急に学園ラブコメとか撮ってくんねえかな。撮らねえよな。畜生、また完敗。

ノーラン監督の恐ろしいところは、彼の撮るものが大抵「彼だけのもの」になってしま
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君が世界のはじまり(2020年製作の映画)

4.6

まだケツの青い若者たちの群像劇。だけど、どこか大人な色気のある映画だった。

爆音で流れるブルーハーツ、退屈を叫ぶ高校生たち、その他諸々の青春が真っ直ぐに体当たりしてくるもんだから(イテテテテテやめて
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ピクニック(1936年製作の映画)

-

ルノワールの中編映画。映画史において重要な一本。小綺麗だけど面白くはないです。そもそもこの映画、未完成だし。「めっちゃ面白かった!」とか言ってるのはスノッブだから要注意な。『トイ・ストーリー』の方が1>>続きを読む

雪夫人絵図(1950年製作の映画)

3.5

撮影が滑らか。構図の作り方も的確。そこを気にしながら観れば多少は面白いけど、肝心のストーリーはポンコツです。

「女の悲劇」とか綺麗な言葉で説明されてるが、そんな美しいもんじゃありません。雪夫人の悩み
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2/デュオ(1997年製作の映画)

4.7

実験映画だ。実験大成功してるけど。「結婚しようか」なんて暴力的な一言で壊れていく男女を描く。恋愛とカタストロフィ。

全編が役者たちの即興演技で描かれる。大まかなシナリオはあるけど、それも役者の演技に
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ミニー&モスコウィッツ(1971年製作の映画)

4.1

難解映画ではないんだけど、マジで訳がわからない。ホドロフスキーの映画を観たときでさえ「何これ?」なんて言わなかった俺が、劇中ずっと「何これ?」と呟いていた。深刻な顔して見ちゃったけど多分コメディ。そん>>続きを読む

ニュー・シネマ・パラダイス(1989年製作の映画)

4.8

残り0.2点を俺の将来に残しておく。きっと俺は、もう少し大人になったらこの映画がベストムービーになってしまうんだろうな、と思う。

優しい映画だったなあ。優しくて、寡黙だ。「人間が育つ場所」そして「記
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ダンケルク(2017年製作の映画)

4.5

ノーランにしちゃノレない映画だった。クリストファー・ノーレンってか。ハハ‼️

これ多分ね、観た時期が悪かったわ。公開当時に観に行ってりゃ俺だって「こんなリアルな戦争映画は見たことない!!すごい!!」
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L.A.コンフィデンシャル(1997年製作の映画)

4.8

ほとんどの時間を寝転んで過ごすファッキン・コロナ禍だけど、久々に前のめりになって観ちゃったよ。マイケル・ジャクソンかよってくらい前のめり。大興奮。こんな隙のないエンタメがあるんすね。

「天使の街」ロ
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WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

3.6

選曲から構成、ストーリーや演出までどうにも酷くて嫌いな映画でした。全部皮肉でやってんのかな?って思うくらいズレたセンス。ほんとに皮肉でやってんだとしたら選んだ曲にも失礼だと思うけどね。個人的には『ミッ>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.7

【懺悔】「『Little Women』の邦題が『ストーリー・オブ・マイライフ』に決まりました!」というニュースを読んだ時、おれは怒りで湯気が出そうになった。グレタ・ガーヴィグの新作だぞ、なんでそんなク>>続きを読む

パターソン(2016年製作の映画)

4.5

詩ってのは、ぼんやりして掴み所が無いからこそ価値があるものなんだと思う。意味のはっきりしない言葉の余白が、自分の入り込む心地良い隙間になるから。

そういう意味で、この映画も詩だ。アダム・ドライバーの
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CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)

5.0

脚本、構成、演技、編集、選曲、撮影、その他どの要素をすくい上げても常軌を逸したイカれっぷり。守りの姿勢に入ることなんて一瞬も無く、100分間攻めっぱなし。ほとんど実験映画みたいなもんなのに、全てが監督>>続きを読む

グランド・イリュージョン(2013年製作の映画)

4.3

演出もデカければ、脚本の穴もデカい。色々とアメリカサイズな映画だった。嫌いじゃないけど。

ウディ・ハレルソンが催眠術師の役で登場してんだけど、もうここがミス。ウディ・ハレルソンってキャスティングは別
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ウォールフラワー(2012年製作の映画)

4.4

例えば、顔もまあまあ良いし頭も結構良いし、みんなに優しいからみんなにモテるし、おっぱいもそこそこあるし全要素が平均以上なのに、何故か恋愛対象にはならないような女の子っているじゃないですか。俺にとってこ>>続きを読む

世界にひとつのプレイブック(2012年製作の映画)

4.5

不自然なくらい頭おかしいやつしか登場しない。お話も結構とっ散らかってんだけど、脇役にロバート・デ・ニーロがいるから問題ない。彼がいれば脚本にアホが10人乗っても大丈夫。100人は無理ですよ。イナバ物置>>続きを読む

メメント(2000年製作の映画)

4.6

「時系列が逆転してる映画」と「主人公が前行性健忘症の映画」が2000年以降作られてないのは、間違いなくこの映画のせいです。誰も『メメント』の脚本に挑戦したかないんですよ。「多分これが完成形だ」って誰も>>続きを読む

(1963年製作の映画)

4.4

怪獣や巨大な昆虫が町をのしのし歩いてたら、スゲー怖い。当たり前だ。普段あんまり怪獣も巨大な昆虫も見ないもん。だけどこの映画では「鳥がたくさん飛んでる」なんて割と日常でも見かけるようなシチュエーションが>>続きを読む

ソウル・サーファー(2011年製作の映画)

4.5

サメに襲われ片腕を失った少女が、それでも波に乗ろうとするお話。胸がきゅっと痛くなるような実話です。

サメに襲われるまでの生活をやけにじっくり映すところがよかったね。ときどき海中からのショット(=サメ
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顔たち、ところどころ(2017年製作の映画)

4.6

映画監督アニエス・ヴァルダとアーティストのJRが作品を共作する。フィクションとノンフィクションの間で軽やかにステップを踏む、ふわふわとしたドキュメンタリーだ。

町の人々がモノクロで大きく印刷され、建
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