『シックス・センス』をはじめ、90年代の映画監督の多くが、引用という技法を巧みに身につけている...監督たちは自ら新しい視点を開拓するとともに、映画ファンに対しては自らのマニア度を測るという新しい楽し>>続きを読む
僕が(そして多くの若い読み手がそうであると思うが) 初めてエミリ・ディキンスンに出会ったのは、サリンジャー『ライ麦畑』の中だ。ホールデン少年の弟は「ルパート・ブルックとエミリ・ディキンスン、どちらが世>>続きを読む
サイコジェニック・フーガ(心因的遁走)という精神分析用語は、まるでこの映画を説明するためだけにあったんだ、と。
冒頭のハイウェイシーンでデヴィッド・ボウイの声が淫靡に重なる。そこから終わりまで完璧。>>続きを読む
『ツイン・ピークス』から始まるデヴィッド・リンチ最盛期を知っているものとしては、その後(ロスト・ハイウェイ、マルホランド・ドライブ、インランド・エンパイア)にこのテーマが深化されているのを知っているの>>続きを読む
自他共に認めるデヴィッド・リンチの黒歴史。まるでダイジェストを観ているかのように無理やり進められるプロット、ナレーションのように挿入される都合のいい独白。「なんて駄作だ!リンチでもダメだったんだ!」と>>続きを読む
俺の親父は超ド保守のクリスチャンなのだが、そんな親父に「『エレファント・マン』はヒューマニズムの映画」と言わせてしまうのが凄い。
リンチファンならこの映画が彼の奇形人間趣味(フリークス・ショウ)にす>>続きを読む
俺鑑賞史上最カルト映画は塚本晋也『鉄男』、スコセッシ『キリスト最後の誘惑』だったのだが、『イレイザーヘッド』も追加で。
本作の何が凄いって、そのグロテスクさに最後は慣れてしまうところにある。これはリ>>続きを読む
『ツイン・ピークス』のセカンド・シーズンのクオリティを下げることになった原因(笑)というのはまぁ冗談として、本作についてリンチはインタビューで『オズの魔法使い』を意識したと発言している。
最後に「良>>続きを読む
労働が育む芸術、忌避される商業主義、反復される会話と際立つその差異、回収されない伏線の妙、メソッドマン、引用される偉大なアメリカの音楽、文学、詩、そして(理想化された東洋としての) 永瀬正敏。
新作>>続きを読む
アン・ハサウェイに着目した場合、本作はまるで『プラダを着た悪魔』の続編のようだと評される。『プラダ』でカリスマ女性ボスに仕えていた事務職だったアンは、本作では逆に多数のアシスタントを抱える若きカリスマ>>続きを読む
タイミング、ロケーション、そして少し込められた皮肉をふくめ、とにかくU2のCity of Blinding Lightsの使い方が完璧!そしてスヌープ・ドッグの引用の仕方(パリの昼食会でミランダの横に>>続きを読む
以前に購入したまま未見だったDVDを引っ張り出して観た。
良い映画だとは思うけど、どうにもそこまでハマれなかった。その理由は単純で、舞台が1973年だから。シーモア・ホフマンが「ロックンロールの魂は>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
2015年に削除シーン集が公開された。その長さ実に100分。つまり本公開バージョンは、実は半分ほどでしかない。思わず黒澤明『白痴』を想起せずにはいられない。
TV版ツインピークスは、コメディの要素を>>続きを読む
仲違いしたカインとアベルは、シオンの地で再び抱擁する。これほどまでに「ストレイト」なストーリーを飽きせず見せるなんて、リンチ先生は本当に凄い。
1919年の革命時に英雄だった前衛画家が、1952年に反体制として野垂れ死ぬまで。富も名誉も未来も、希望さえ奪われても、お前を餌付けしようとする手から飯は食うな。アンジェイ・ワイダのラストダンス。美し>>続きを読む
とにかく音楽がいい。今回の敵は「過去に一世を風靡した元子役」のおっさんで、80年台音楽がバンバン流れまくる。いきなりMJのBAD、贅沢に使われるベルリン。
それだけで最高にごきげんなのに、シリーズで>>続きを読む
第33回ゴールデンラズベリー賞において
最低作品賞、
最低監督賞、
最低脚本賞、
最低助演男優賞(リーアム・ニーソン)、
最低助演女優賞(リアーナ、ブルックリン・デッカー)、
最低スクリーンアンサンブ>>続きを読む
在ルーマニアのドイツ大使を偽り潜り込んだパーティーで、エルドマンは娘にホイットニー・ヒューストンの「グレーテスト ラブ オブ オール」を歌えと無茶振りでピアノを引き出す。
困惑する娘、しかし意を決し>>続きを読む
原作は大ヒットした同名バンド・デシネで、作者マルジャン・サトラピ自身が監督脚本を務めたアニメーション映画。面白い!
そのままバンド・デシネを読んでいるかのようなコマ割りと、省略される背景、モノクロが>>続きを読む
前三部作が「情報の海で漂流するアイデンティティ不安」(by Mark Seltzer)が生み出したものだとすれば、10年経って作られた新章は、まさにその情報の海が意志を持ち学び(ソラリスの海にはならず>>続きを読む
吉祥寺ヲデオンで観た。つうか、原題が『キャプテン ファンタスティック』って知ってりゃもっと早く観たよ。どうなのこれ怒
まぁそれは置いておいて
現代アメリカのフラワーチルドレン(の末裔) の話。青山>>続きを読む
『ハクソーリッジ』も最近のトレンドなのだろう、ラスト五分がまたアレ(『ハドソン川の奇跡』、『パトリオットデイ』のラスト五分のアレです)だった。
結局自分はアメリカの英雄を讃えるプロパガンダを見させら>>続きを読む
立川シネマシティの極音上映で観た。去年の『愛と哀しみのボレロ』もそうだったけど、シネマシティ極音で観る音楽劇のなんと最高なことか。とにかく至極の三時間だった。
しかしではなぜ星5つではないかと言われ>>続きを読む
イラン人留学生の友人に薦められて観た。アスガー・ファルハディ監督作品は初鑑賞。ただ、イラン文化は友人から聞いて知っていたし、人文学徒の端くれとして当然アーサー・ミラー『セールスマンの死』は読んでいた。>>続きを読む
めっちゃくちゃ良かった。観る前からフェミニズム映画であるという知識はあったし、実際素晴らしいシスターフッド映画であると思うが、この映画の良さはそれだけではない。
まずもって最高のティーンエイジャー映>>続きを読む
ラスト10分までは星4つ。ただ、やはりラスト10分がいただけない。結局アメリカはテロ以降明確に警察が「権力」ではなく「英雄」なんだよね。短期的に見たらそれでも良いけど、これじゃあ結局『ハドソン川の奇跡>>続きを読む
歪む映像、割れる音。静寂に包まれた不穏な現実で交されるハイコンテクストなダイアローグと、詩的なモノローグ。「権力者4部作」第二作として制作されたレーニンを中心に撮られた本作は、徹頭徹尾アレクサンドル・>>続きを読む
パトリック・ネスによる同名小説はここ十年の児童文学のベストの一つと断じていいとんでもない大傑作である。その作者ネス本人が脚本を書いたということで注目していたが、この映画の面白さは結局のところ、そのま>>続きを読む
主演の少女ヤンチェン・ラモが素晴らしすぎる。そしていちいち画面構成がいい。チベットというそのロケーションの面白さに甘えるところは微塵もない、透徹なカット割り。お見事!
スコセッシの『ウルフ オブ ウォールストリート』が好きな奴は全員観るべき。時代も舞台も主人公のノリもほぼ一緒。金鉱探索モノのような宣伝がされているが、実際はウォール・ストリートブーム(80年台後半) >>続きを読む
ここ四年だけでも
皆殺しのバラッド
カウンセラー
カルテルランド
ボーダーランド
と、米墨国境地帯が舞台となる作品があった。カルテルの勢力拡大による、麻薬戦争の激化がその背景にはある。
それ以前>>続きを読む
テッド・チャンによる原作短編「あなたの人生の物語」は、ハード言語SFとでも分類すべき作品だ。テーマとなるのは言語論であり、それを記述する媒体も(小説であるので当然)言語だ。
しかし、映画はまずもって>>続きを読む
周囲の映画ファンが皆大絶賛していたので観た。M.ナイト.シャマラン監督作品は初見。面白かったがそこまで傑作だと思えなかった。
一番大きな理由は僕がシャーリィジャクソン『鳥の巣』という多重人格の歴史的>>続きを読む
前作の感想は「とにかくひたすらに音楽とキャラが良い映画だな」というものであった。逆に言えば、それくらいである。ヒーロー/ヴィランに現在世界を投影するシリアスなプロット、重厚な映像を用いるアメコミものの>>続きを読む
『美女と野獣』。エマ・ワトソンがベルを演じると報じられた時から膨れ上がった世界中の期待に見事に応える、いや120%増しで応えてみせた、予想を超える「Be Our Guest」!
最高!!!!
声を>>続きを読む
物語内人物が小説家になるというある意味でのメタ構成って小説ではよく見るし、映画でも『スパニッシュアパートメント』なんかがそうだけど、20年後の続編、それもリアルタイムであることに価値のあるこの映画でそ>>続きを読む