AKさんの映画レビュー・感想・評価 - 14ページ目

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サイン(2002年製作の映画)

3.2

これでシャマラン5作目。なるほど執拗にずっと一つのテーマを撮る監督なんだということがわかった。コードじゃなくシグニチャーが見えてくるとグッと面白さが増す。叙述トリックやドンデン返しはあくまで文法であっ>>続きを読む

インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)

3.9

そのドラッギーな画に注目して、ヒッピーたちはディズニー映画を脱コード化する。『インサイド・ヘッド』における「抽象概念」シーンは、明らかにそれを意識して作られていた。こういう絵を子供向け作品にぶち込むと>>続きを読む

RENT/レント(2005年製作の映画)

3.3

今更ながら観た。ミュージカルとしては革命的なのだろうが、ミュージカル映画としては微妙。世界観を再現するためなのだろうけど、80年代ハードロック調のポップスを全曲最後まで聞かされるのはしんどい。そして何>>続きを読む

アンブレイカブル(2000年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

 多くの方がここに投稿しているように、『スプリット』経由で僕も観た。『スプリット』は、その最後にブルース・ウィリス演じる本作の主人公デヴィッドが登場し、次回作のなかで『スプリット』のマカヴォイと『アン>>続きを読む

ヴィジット(2015年製作の映画)

2.6

感想は「『ゲット・アウト』激似だなー」だったわけだが、『ゲット・アウト』を観た時は「『スプリット』激似だなー」だったわけだし、結論としては、

”M.ナイト・シャマランは偉い”

な、わけだけど… さ
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ザ・サークル(2017年製作の映画)

2.8

この映画で起こるSNSによる悲劇よりも、「10歳の時ネットで自分のポルノコラ画像を見つけた」と語り、HeForSheで世界中のセクシストから大批判を受けたエマ・ワトソンのネット上の実害のほうがよほど今>>続きを読む

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア(1994年製作の映画)

3.3

エンディングが鳴った時「おおっ!悪魔を憐れむ歌!ばっちし!」と拳を握った次の瞬間にアクセルが歌い出し「なんでガンズやねん!」と脱力した。最後の最後に笑わせんやな!

キルティンダンストはこの5年後にヴ
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ゲット・アウト(2017年製作の映画)

4.0

タイトルである「ゲット・アウト(出て行け!)」の意味が明かされた時、「なるほど!」と膝を打つと同時に「しょうもな!」と思ってしまった。

『スプリット』もそうだったけど、最後までシリアス路線で行ってほ
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バリー・シール/アメリカをはめた男(2016年製作の映画)

3.1

久しぶりに「可もなく不可もない」映画を観てしまった。決して駄作ではないしよくできているのだが、FBIやCIAが関係する犯罪者実話モノとしては、『ゴールド』や『ウルフ オブ ウォール ストリート』とどう>>続きを読む

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

「選ばれてあることの恍惚と不安、我にあり」──ポール・ヴェルレーヌ

太宰治は処女作品集『晩年』所収「葉」のなかで上記の言葉を引用する。太宰はもちろん、強烈な自意識とその圧倒的な才と自信からにこの句を
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アトミック・ブロンド(2017年製作の映画)

3.5

1989年11月、東西を分断する壁の崩壊前夜ベルリン。デヴィッド・ボウイの「キャットパワー」で始まり、ボウイとクイーンの「アンダー プレッシャー」で終わる。監督ボウイのこと好きすぎるだろ。ファンとして>>続きを読む

大怪獣モノ(2016年製作の映画)

3.5

本当は2点だけど、飯伏幸太ファンなので3.5です!以上!

サウスパーク/無修正映画版(1999年製作の映画)

3.6

サダム・フセインが地獄の悪魔のセフレで、最終戦争を目論むという、イラク戦争以降にやったら100パーアウトなネタ。いや、よく考えれば1999年にもアウトなんだけど。文化戦争をおちょくる、まぁ凄い映画です>>続きを読む

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)(2017年製作の映画)

4.7

劇中で”Ape's Apocalypse Now”と壁画で描かれるように、これはまさに猿の惑星版『地獄の黙示録(Apocalypse Now)』。それはわかりやすくウディ・ハレルソン演じる「大佐」の登>>続きを読む

ウォーリー(2008年製作の映画)

4.0

最初の30分、一切の台詞がないのは凄い。しかしそれでも全然退屈じゃない。むしろ映画館で子供は釘付けだったろう。アニメーションの楽しさが溢れている。

2001年のHALって本当に凄い設定だったんだな。
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バットマン リターンズ(1992年製作の映画)

4.0

奇形ゆえに生後間もなく捨てられたペンギン。仕事も恋も冴えず挙句の果てに雇い主から突き落とされ猫の魂を得るキャット・ウーマン。そして、幼少期に親を目の前で惨殺されたバットマン──

ティム・バートン版の
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モアナと伝説の海(2016年製作の映画)

4.1

魔物の海の巨大ヤシガニ、タマトアの歌に大興奮。ビートが完全にヒップホップで、乗っかるフロウは完全にJay-Z。ブリンブリンでダークライトというおまけつき。ディズニー映画初の公式ヒップホップソングなんじ>>続きを読む

君の名は。(2016年製作の映画)

4.0

311を忘却したいという欲望がこの映画の真のクリエイターであり、その欲望を受け取るのが俺を含めたほとんどの人間だろう。

映画があえて忘却したのは実際の311であり、天災としての地震は消すことはできな
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バットマン(1989年製作の映画)

4.2

ティム・バートン版『バットマン』(1989)を観た。今までこれを観ずに「ノーランのダークナイト最高!」ってイキっててすみませんでした!ジャック・ニコルソンのジョーカー最高だわ。まぁそのまんま『シャイニ>>続きを読む

猿の惑星:新世紀(ライジング)(2014年製作の映画)

3.7

 前作『ジェネシス』が革命の映画であるとすれば、革命の後を描く映画がその勢いを失ってしまうのは当然である。熱狂の革命の後に来るのは、冷静さが必要とされる整理の時期であるか、革命の反動としての暴動でしか>>続きを読む

猿の惑星:創世記(ジェネシス)(2011年製作の映画)

4.5

「資本主義社会の大衆は、現実の世界で革命に言及することはないが、想像力の世界では革命を夢見ている」
──Kevin Floyd、一橋大学レクチャー内での発言

 
 ケヴィンはそのような「革命的な物語
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ドリーム(2016年製作の映画)

4.0

最高の映画である。人種差別、性差別をテーマとしながら、それに抗う主人公三人[Hidden Figures]の闘いがとにかく素晴らしく素敵なのだ。「私は差別してないわよ」と理解者ぶることの差別性、「ただ>>続きを読む

ワンダーウーマン(2017年製作の映画)

3.7

『ワンダーウーマン』を観た。「スーパーヒーローが現実にいたら戦争は解決して世界は平和になるのに」という誰もが幼少期に抱くだろう妄想の映像化。WWⅠ時の英米vs独というわかりやすい正義と悪の構図がそこで>>続きを読む

プレシャス(2009年製作の映画)

3.0

詩人として活躍していたサファイアが初めて著した1996年の小説が原作。貧困層ハーレムに住む16歳の黒人少女プレシャスは、母親からは生活保護のダシにされ、幼少期から父親から性的虐待を受けており、16歳ま>>続きを読む

ダンケルク(2017年製作の映画)

3.4

 僕が実際の知り合いのなかで最も信頼するアメリカ文化研究者M先輩とのメールの往復を抜粋掲載する(無許可ですが)。

───

To 耕平 from M

「ダンケルク」を見たのだけど、映画の内容はさて
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エイリアン:コヴェナント(2017年製作の映画)

3.7

エイリアンシリーズを期待していくと裏切られることになる。『エクス・マキナ』以降の『2001年宇宙の旅』とでも形容したくなるような問題系がここに導入されている。

『プロメテウス』の続編と知らずに観たの
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シャイニング(1980年製作の映画)

4.7

 カメラワークの素晴らしさに息を飲む。構図、音、テイクの長さ、完璧。とにかく映画的な映像として優れている。これが80年とは到底思えない。カバーアートのニコルソンの顔だけでなく、「なるほど、これが元ネタ>>続きを読む

スプリング・ブレイカーズ(2012年製作の映画)

4.2

『ヴァージン・スーサイズ』の比較対象になるからと勧められ、フィンランドの友人宅で鑑賞した。

イビサ、EDM、そしてPC時代への、パンチが効きすぎたアイロニカルな態度。ユースカルチャー/ティーンエイジ
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シンクロナイズドモンスター(2016年製作の映画)

3.0

フィンエアー機上で観た。原題は『Colossal』。

イワユル「セカイ系」のよく出来たパロディだと思う。セカイ系の想像力は1990年ごろ日本でエヴァや村上春樹を起点に爆発したわけだけど、日本で今それ
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キングコング:髑髏島の巨神(2017年製作の映画)

3.2

機上で見たのでイマイチ迫力にかけたが、映画館で観たら最高だったんだろうとは思う。ヴェトナム戦争時期に設定されていたのは、どういう意図があるのだろう。あとで丸山さんに聞かなきゃ。

でもさぁ、やっぱり最
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希望のかなた(2017年製作の映画)

4.8

フィンエアー機上で『The Other Side of Hope』(英題、原題は読めない) を観た。カウリスマキ最新作の主人公は、フィンランドに不法入国したシリア難民。

システムとしての警察の非人間
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ホドロフスキーのDUNE(2013年製作の映画)

3.5

 全てをかけた『DUNE』の制作が中止となり、ホドロフスキーは失意の底で暮らした。そんな時、彼はある噂を聞く──デヴィッド・リンチが監督で『DUNE』が映画化されるらしい。

「なんてことだ。あいつは
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インランド・エンパイア(2006年製作の映画)

4.8

リンチは自らの著書『大きな魚をつかまえよう』で、以下の言葉を繰り返す。

「大きな魚を捕まえたいなら、深く潜らなければならない」

デヴィッド・リンチの(おそらく)最後の長編劇場映画作品『インランド・
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ズートピア(2016年製作の映画)

4.5

 異文化理解の講義テキストとして『ジェーン・エア』と『ズートピア』を選択したのは、前者が(女)性差別について、後者が人種差別について考えるよい契機となるからだ。それを読み/観ることで、私たちは「偏見に>>続きを読む

マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)

4.6

英国メディアBBCが「21世紀最高の映画100」を発表したのは記憶に新しい。

ポール・トーマス・アンダーソン『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』、宮﨑駿『千と千尋の神隠し』、ウォン・カーウァイ『花様年華
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アイス・ストーム(1997年製作の映画)

2.9

アン・リー監督作品『アイス・ストーム』(1997)を観た。舞台はコネチカット州ニューケイナンで、アッパーミドルの白人2家族が中心。設定は1973年、夕食時にニクソンとベトナム戦争の悪口で親を困らせるク>>続きを読む