クロスケさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

愛のまなざしを(2020年製作の映画)

4.1

万田邦敏と珠実のコンビがまたしても、男女のあわいに蠢く魅力的なサスペンスを撮ってくれました。

とにかく、一組の男女を同一のショットに収めるのが抜群に上手い。そのショットの繋ぎも、凝りに凝っている上に
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パンとバスと2度目のハツコイ(2017年製作の映画)

3.9

【再鑑賞】
特に奇を衒ったことをするわけでもない、扱われる題材もテレビドラマとさして大差はない。
ここ数年の今泉力哉の売れっぷりは、おそらくそうした一見、清廉潔白・人畜無害な作風が関係者を安心させるか
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そばかす(2022年製作の映画)

3.1

作品が纏うナチュラルな装いに反するような、しばしば透けて見えるご都合主義的な展開が勿体無いと思いました。

瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

エリセの映画に携帯電話の電子的な着信音が聞こえてきたり、Macのモニターが置かれたモダンなオフィスが登場することに、何だか妙に感動します。
あのエリセが、紛れもない現在にカメラを向け、それを我々は今目
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.4

いかがわしい見世物としての映画が、画面いっぱいに溢れていて、スクリーンに映し出される物事を眺めているだけで、何とも楽しく愉快な気持ちになれる映画でした。

ロンドンが舞台とは言っているけれど、いつの時
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(1985年製作の映画)

5.0

【再鑑賞】
黒澤明を認識した、初めての映画が本作だったと思います。

何と言っても、まずその画の力強さに圧倒されます。大軍勢が入り乱れる合戦シーンにしろ、黒煙を上げながら燃え盛る城にしろ、実際に生身の
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ゴジラvsコング(2021年製作の映画)

2.5

まあ、こんなアベンジャーズのようなゴジラ映画があってもいいのではないでしょうか。
ただ、今見終えたばかりだというのに、内容は殆ど印象に残っていませんが…。

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

3.6

自死を遂げた親友の実家に押し入り、遺骨を強奪すると、包丁を振り回して両親を威嚇しながら、骨壺を抱えてベランダから飛び降り、河に転げ落ちる。
女子学生を追い回す暴漢を骨壺で殴りつけた拍子に、勢い余って崖
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友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

4.6

【再鑑賞】
極めてシンプルな物語でありながら、本作には到底、言葉では説明しがたいサスペンスが張り詰めています。
ノートを届けたいと訴えるアハマッドと母親のやり取りを、丘に伸びるジグザグの道を駆け登るア
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エアフォース・ワン(1997年製作の映画)

3.0

【再鑑賞】
アメリカの大統領が主要登場人物としてヒロイックに描かれる筋書きは、前年に公開された『インデペンデンス・デイ』にも見られ、当時の世相を反映してるという点では興味深いですね。(どちらもドイツ出
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.2

アンサの電話番号をメモした紙きれが、我々観客に見られていることを承知しているかのように、ホラッパの上着のポケットからはらりと落ち、風に煽られて何処かへいってしまうのを見たとき、思わず「あ〜」と声を上げ>>続きを読む

SOMEWHERE(2010年製作の映画)

4.9

【再鑑賞】
エル・ファニングが愛おしすぎて辛いです。
朝、目を覚まして眼前で彼女が微笑んでいたら、それはもう天使としか思えない気がします。

エル・ファニングの眩い魅力。その刹那的な生の輝きをハリス・
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天使のはらわた 赤い淫画(1981年製作の映画)

3.9

石井隆の主題の一貫性や美意識は、作品毎にメガホンをとる監督が変わっても揺らぎません。もはや映画における「夜」と「雨」は石井隆の専売特許と言ってもよいのではないでしょうか。

夜のジャングルジムのシーン
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モービウス(2022年製作の映画)

2.7

主人公が人体実験を行う船の名前が「ムルナウ」だったことが、まぁ一応そういう気を遣っているんだなぁと思ったくらいです。

暗雲動く時/暗雲晴れて(1919年製作の映画)

4.5

序盤からいきなり、擬人化された食べ物たちが主人公の胃の中を暴れ回るという、Eテレの子ども番組かと見紛うぶっとんだ演出が展開し、思わず唖然とさせられます。
それも束の間、視覚効果を駆使して『志村けんのだ
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.0

映画の冒頭、少年が森の中で寄り添うように横たわる白骨化した二つの遺体を発見する。それが一体誰のものであるのかという謎を残したまま、時間は一気に西部開拓期前夜まで遡って物語が始まる。

白骨遺体の正体が
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孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

3.2

登場した瞬間から悲惨な末路を辿るに違いないと想像させる村上虹郎の、哀愁漂う小物感が良かったです。

ちなみに、播戸竜二氏の馴染みっぷりにはご本人もビックリでしょう。

動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)

5.0

【再鑑賞】
初めて観たのは、10年以上も前のことですが、その日のことは今でも覚えています。
場所は今年惜しまれつつ閉館した、京都みなみ会館。夜遅くのレイトショーでした。しかもその日はとてもとても寒く、
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

5.0

ヴェンダースが再び東京の街にカメラを向けているという事実が、スクリーン上に瑞々しく迸っているのを眺めているだけで、こみ上げてくるものを堪らえるのに難儀していたというのに、自転車で並走していた平山とニコ>>続きを読む

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

2.2

この映画の世界には独自のルールと常識が存在し、鑑賞者はそれを納得済みであるという前提に基づき物語が進行していく。
あらゆる問題や困難の解決方法は予め用意されており、登場人物たちの行動はその答え合わせを
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ザ・ブルード/怒りのメタファー(1979年製作の映画)

4.4

画面を切り裂く少女の叫び声が悲痛極まりないトラウマ級の傑作。

破壊される肉体が本作でも登場し、そのおぞましい造形に「待ってました!これぞ、クローネンバーグ!」と掛け声をかけたくなりました。

本作製
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バビロン(2021年製作の映画)

3.4

『ラ・ラ・ランド』を観たときにも感じたことですが、この監督は題材となる対象にそれなりの愛情というか、愛着を持っているのはわかるのですが、その表現の仕方が表面的で、思慮が浅い気がします。

今回は特にラ
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機動警察パトレイバー THE MOVIE(1989年製作の映画)

4.9

【再鑑賞】
ロボットアクションと社会派サスペンス、娯楽性と作家性の見事な融合を実現させた傑作です。

当時はまだまだニッチな分野だったコンピューターテクノロジーにまつわる見識を盛り込んだ先見的な物語は
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コラテラル(2004年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

【再鑑賞】
『ナイト・オン・ザ・プラネット』ロサンゼルス編のスピンオフと言っても納得してしまいそうなほど、タクシーの車内でのシーンが丁寧に撮られています。
ひた走るタクシーの緩やかな走行や窓の外を流れ
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