netfilmsさんの映画レビュー・感想・評価 - 32ページ目

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愛しのタチアナ(1994年製作の映画)

3.9

 大柄な男はタバコを吸いながら、窮屈そうにミシンと向き合う。少し手狭な部屋に、男と母親とは背中合わせに黙々と仕事に励むのだが、コーヒー中毒の男は母親の小言に腹を立て、彼女を部屋に閉じ込めカギをかける。>>続きを読む

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

3.7

 最初のうちは暴力団に入った山本賢治(綾野剛)の成長譚や、親子の契りを結んだ柴咲博(舘ひろし)との疑似家族の物語だと思ってぼんやり観ていたのだが、主人公にとって空白というか苦悩の中で過ごした14年の歳>>続きを読む

コントラクト・キラー(1990年製作の映画)

4.0

 由緒正しき英国建築、水道局の登録部では今日も事務員たちが仕事に追われていた。受話器を握りしめたまま、座りながら卒倒したおじさんの斜め後ろで、アンリ(ジャン・ピエール・レオ)は黙々とデスクワークをこな>>続きを読む

マッチ工場の少女(1990年製作の映画)

3.8

 丸太は等間隔に切り刻まれ、何やらコンビナートのような場所に固定されている。そこから薄く切り刻まれた木材が続々と運ばれ、反物のように折り畳まれる。パルプか何かを作るのかと思って興味深く観ていると、その>>続きを読む

真夜中の虹(1988年製作の映画)

4.2

 炭鉱労働者の2人は、各階の電気を消しながら静かに最上階まで登る。幾度も見て来たこの光景を、労働者たちはいったいどんな目で見つめただろうか?こうして炭鉱は閉山され、労働者たちはそれぞれ散りじりとなり、>>続きを読む

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

4.2

 携帯の操作中に間違えて消してしまいました。バックアップを取っていなかったので、文章の復元が出来ません。

カラマリ・ユニオン(1985年製作の映画)

3.9

 ドラム・セットの前に陣取った男はひとしきり太鼓を叩いた後、静かにスティックを置く。労働者の街ヘルシンキ・カリオ。ある日の食堂には15名の「フランク」と呼ばれる男が集まっていた。男たちはみな寡黙で、サ>>続きを読む

罪と罰(1983年製作の映画)

4.1

 異様な臭いの立ち込める食肉加工場、血の匂いに導かれやって来た下等な虫を、男は表情一つ変えることなく、ナタを振り下ろし真っ二つにする。無表情な男の毎日のルーティン。牛肉を切り落としながら、血抜きしてい>>続きを読む

ホウ・シャオシェンの レッド・バルーン(2007年製作の映画)

3.5

 少年はターミナルの出入り口に赤色の風船を見つける。風船は風に揺れ、ゆらゆらと漂いながらしばらくそこに留まっているが、少年が手を伸ばした瞬間空へと解き放たれる。赤い風船はその後もこちらをあざ笑うように>>続きを読む

百年恋歌(2005年製作の映画)

3.7

 豆電球の僅かな明かりの下、テーブルの上で男(チャン・チェン)は真剣にキューを打つ。その姿を真剣に見つめる1人の女の姿がある。男は最初、ビリヤード場で働く春子という女性に恋をしていた。青年は自分の気持>>続きを読む

100日間のシンプルライフ(2018年製作の映画)

3.7

 ヨーロッパの大都市ベルリンには世界中のスタートアップ企業や野心的な起業家が多く集まる。自由気ままな独身生活を謳歌するプログラマーのパウル(フロリアン・ダーヴィト・フィッツ)は幼馴染の親友トニー(マテ>>続きを読む

デンジャー・ゾーン(2021年製作の映画)

3.5

 2036年、東欧では紛争地帯が拡がり、アメリカ軍が紛争の仲裁のため、無法地帯と化した前線に駐留し、平和維持活動を行っていた。今回、紛争地となるのはおそらくロシアやウクライナ周辺だろう。米軍は戦火の拡>>続きを読む

珈琲時光(2003年製作の映画)

3.5

 線路の音、電線に止まる鳥たちのさえずり、扇風機のかかる部屋でTシャツ姿の陽子(一青窈)は、洗濯物を干していた。蝉がジリジリと鳴く2003年の夏、台湾から帰国した彼女に古本屋の主人で鉄道マニアの肇(浅>>続きを読む

ミレニアム・マンボ(2001年製作の映画)

3.9

 トンネルのような陸橋の通路を女は右手に煙草を持ちながら颯爽と歩く。時に手を振りながら煙を吐き、後ろを振り返ってみせる女の姿は、新世紀の幕開けを高らかに告げる。リー・ピンビンの手持ちカメラは、そんなス>>続きを読む

憂鬱な楽園(1996年製作の映画)

4.0

 明らかに通行者にとって邪魔な列車の通路にどかっと腰掛けた3人がいる。後ろの2人は男女で、互いの膝の上に座るなどして戯れているが、前の男はどこか無気力な表情のまま、受話器を耳へと運ぶ。90年代台湾。チ>>続きを読む

死んでもいい経験(1995年製作の映画)

4.0

 天空へとそそり立つ白い陸橋の流線形の造形美。自動車教習所へと向かおうとする女は、仕事で朝帰りした夫と鉢合わせする。イ・ミョンジャはまだ路上に出ることは許されず、教習所の中を走っていると、運転の上手い>>続きを読む

火女’82(1982年製作の映画)

3.3

 離れに鶏舎がある郊外の住宅に一台のパトカーが到着する。刑事は殺人現場の様子を見ながら、部下の話に熱心に耳を傾ける。階段にはガラスの破片が散乱し、照明はどういうわけか割れていた。死んでいたのは、この家>>続きを読む

私というパズル(2020年製作の映画)

4.1

 アメリカ・マサチューセッツ州ボストン、新たな陸橋の工事で大忙しのショーン・カーソン(シャイア・ラブーフ)は現場監督として部下たちに声を掛けながら、足早にJEEPで現場を立ち去る。男の向かう先は自動車>>続きを読む

ズーム/見えない参加者(2020年製作の映画)

2.9

 最近のニュースは新型コロナ・ウィルスで持ちきりで、心底憂鬱な気持ちになる。私の住む街では緊急事態宣言が出て、県外への外出はおろか、通勤・通学以外は不要・不急の外出は控えるようにと政府からお達しも出て>>続きを読む

水女(1979年製作の映画)

3.5

 うらぶれた漁村の人気のない昼間。青いラインの入ったバスがゆっくりと到着する。男は左肩にずた袋を提げ、不自由な右脚を前へ前へと差し出す。漁村を抜けて農業地帯に出ると、平屋の前で脚を止める。ここは母親が>>続きを読む

高麗葬(1963年製作の映画)

4.4

 寒空の下、極貧にあえぐ村には豊かな実もならない荒れ果てた土地が広がっている。この地に母親はまだ幼い子供グリョンを連れてやって来る。母親はこの地に住む男の元へ嫁ぐためやって来たのだが、ここには既に10>>続きを読む

玄海灘は知っている(1961年製作の映画)

4.3

 ゆらゆらと釜山の海に出た船は、戦火の烈しくなった名古屋に上陸する。昭和19年、半島人学徒特別志願兵制により日本兵に交じり、朝鮮人青年たちは戦争へと駆り出される。直立不動の中、森一等兵は朝鮮人たちに理>>続きを読む

下女(1960年製作の映画)

4.2

 ある雨の日、夫は新聞を読みながら不貞を働いた男のゴシップに目を輝かせていた。右手に箸を持ちながら、左手で新聞を握る夫の食べ方は下品で、覗き見趣味も感じる。妻は裁縫をしながら、夫の傍から片時も離れよう>>続きを読む

燃えよデブゴン/TOKYO MISSION(2020年製作の映画)

3.3

 仕事が生きがいの熱血刑事フクロン(ドニー・イェン)は、婚約者で女優のソン・ホーイ(ニキ・チョウ)の尻に敷かれっぱなし。午後から結婚式の撮影をすると恋人に言われ、タキシード姿に着替えて銀行へと向かった>>続きを読む

マティアス&マキシム(2019年製作の映画)

3.5

 粒子の荒いフィルムの中で、男たちは他愛もない話に興じ、声高らかに笑い合う。映画は既に子供とは言えない青年たちの表情を大胆なクローズ・アップで据える。グザヴィエ・ドランは今作では右頬に痣のある人物を演>>続きを読む

オン・ザ・ロック(2020年製作の映画)

4.0

 ニューヨークの一角、2人の娘に恵まれたローラ(ラシダ・ジョーンズ)は著名な作家として活躍していた。夫はIT企業を立ち上げたばかりのやり手の実業家で、家ではローラにとても優しく尽くしてくれる。ある日の>>続きを読む

新感染半島 ファイナル・ステージ(2020年製作の映画)

3.4

 あれから4年後の韓国は、信じられないようなディストピアな世界になっている。ロックダウンされた半島は幾つもの高層ビルはそのまま残っているが、人っ子一人もいない荒涼とした土地にはうすら寒さすら漂う。ゾン>>続きを読む

THE NET 網に囚われた男(2016年製作の映画)

3.6

 豆電球に明かりが灯り、ナム・チョル(リュ・スンボム)は妻(イ・ウヌ)の優しい呼びかけにより目覚める。妻と一人娘との三人暮らし。狭い部屋には北朝鮮最高元首の写真が額装されて貼られている。貧しい北朝鮮の>>続きを読む

殺されたミンジュ(2014年製作の映画)

3.2

 夕闇の中、少女は怪しい男の付いて来る気配を感じ取り、足早に歩くがその気配は徐々に大きくなる。路地裏に入り込んだところで彼らの足音は更に大きくなり、少女は小走りに走り去るが男たちに囲まれ、生け捕られる>>続きを読む

メビウス(2013年製作の映画)

3.5

 閑静な住宅街に佇む一軒の高級住宅、母親は階段にもたれかかりながら赤ワインのグラスを握り、父親はパター・ゴルフの練習をしている。思い思いの父母の一方で、高校生の息子は居た堪れない表情を浮かべながら、現>>続きを読む

嘆きのピエタ(2012年製作の映画)

3.8

 殺風景な部屋で、男は抱き枕を抱えながら母親の夢を見て果てる。「ハレルヤは永遠なり」また今日も男の長い一日が始まる。うらぶれた町工場では今日も夫婦が借金の取り立てを恐れていた。2人は消費者金融で借りた>>続きを読む

アリラン(2011年製作の映画)

3.8

 キム・ギドクは2004年の『サマリア』、2005年の『うつせみ』で世界のトップに躍り出てからは、2000年代後半の作品はややスランプに陥っていたように思う。2008年の『悲夢』のクライマックスで、危>>続きを読む

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

3.5

 卒業式前日、成績優秀で互いを生涯の相棒と慕うエイミー(ケイトリン・デヴァー)とモリー(ビーニー・フェルドスタイン)は、卒業間際の時期にもおバカな同級生たちを見て、悦に入っていた。2人は同級生たちを親>>続きを読む

ミッドナイト・スカイ(2020年製作の映画)

4.1

 北極圏のバーボー天文台。色とりどりの防寒服がかかった建物の中に人の気配はない。髭面の年老いた男オーガスティン博士(ジョージ・クルーニー)が、絶望的な表情のままゆっくりとスプーンで食べ物を口に運ぶ。2>>続きを読む

悲夢(ヒム)(2008年製作の映画)

3.3

 乱反射する街灯に照らされながら、真っ暗な夜道を男の車は疲れ切った様子でゆっくりと走っている。左カーブをゆっくりと抜け、見通しの良い道路に抜けた矢先、男の車は対向車と出合い頭に事故を起こす。慌ててハン>>続きを読む

ブレス(2007年製作の映画)

3.4

 刑務所の雑居房の中、男は背中の寒さをもろともせずに浅い眠りについていた。もう一人の罪人は鋭い錐で壁に何かを無我夢中で掘っている。またもう一人の罪人は愛する母親の夢で目が覚める。雑居房の中の4人の受刑>>続きを読む