りっくさんの映画レビュー・感想・評価 - 63ページ目

ドクター・ストレンジ(2016年製作の映画)

3.0

西洋医学どっぷりの主人公がいわゆる東洋的な呪術を師匠から教わり身につけていく過程は、マーベルとオリエンタルな世界が融合され興味深く見たが、話運びがイマイチなのか、どうもノリが悪い。

特にマッツミケル
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ブラックパンサー(2018年製作の映画)

4.0

楽園とも言える国の内部で自己完結しているため、たしかに「幸せ」で「豊か」ではある。だが、現実の、外側の世界には、たとえばアフリカ系の人々が世界中で味わっているようないろんな苦しみ、ありとあらゆる意味で>>続きを読む

アーサー・クリスマスの大冒険(2011年製作の映画)

4.0

本作は家族の物語である。なぜなら、サンタの世界は世襲制を取っているからだ。形骸化しているにもかかわらず、肩書きを外そうとしない現サンタ。実質的な「業務」を指揮しているにもかかわらず、なかなかサンタを引>>続きを読む

アースクエイクバード(2019年製作の映画)

2.5

異国の地である日本で繰り広げられる三角関係は、例えばアリシアヴィキャンデルに必要以上にカタコトの日本語を話させることで異国人を好奇の目に晒し、あるいは写真家の被写体への想いが宿る数々の写真によって、見>>続きを読む

アイリッシュマン(2019年製作の映画)

4.6

冒頭から病院と思しき施設の長い廊下を長回しで移動していき、その奥に年老いたデニーロが車椅子にポツンと座っている。そして彼の言葉でこれまでの人生が語られていく。おそらくそんなに長くは生きられないが、確実>>続きを読む

アナと雪の女王(2013年製作の映画)

3.9

エルサが魔法の力を持った理由?
「塔の上のラプンツェル」「ノートルダムの鐘」「美女と野獣」では、主人公がその状況になったのは明確な理由があるのに、本作ではそれが全くないを
序盤はダイジェスト感が否
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サバハ(2019年製作の映画)

3.6

「コクソン」「バーニング」等、地方都市の土着的要素と宗教的要素が色濃く絡んだ韓国映画はやはり面白く、禍々しい淀んだ世界観の中で謎が謎を呼ぶミステリーが最後まで興味を持続させる。

宗教を題材とした作品
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ひとよ(2019年製作の映画)

3.8

時折映し出される煙突の煙に囲まれた工業地帯の寂れた町。それはまるで、母親が轢き殺した暴力的な父親を永遠に火葬している呪いがかった風景にも見える。そしてそんな黒い煙が充満しているように空が雲に覆われ、町>>続きを読む

本当の僕を教えて(2019年製作の映画)

4.1

一卵性双生児のうち1人が記憶喪失になり、幸せであったであろう家族との記憶を辿っていくうちに、その影に隠れた不穏な過去を突き止めようとする。

双方の証言でチャプターに分かれている構成は、隠された真相に
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ブラジル -消えゆく民主主義-(2019年製作の映画)

4.0

ブラジルの歴史を辿ると、長年の軍事政権から民主主義により新政権が発足し、さらに初の女性大統領が誕生と、着実に民主化しているようにも見える。

だが、本作の作り手は自分の家族史を絶妙に絡ませながらミクロ
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デッドプール2(2018年製作の映画)

4.2

タイトルバックから「007 スカイフォール」のパロディをブチかまし、MENは差別用語だとXフォースという名前で適当に仲間を集めるが強風のためパラシュート着陸に失敗し次々と無駄死にをし、そして上半身と下>>続きを読む

デッドプール(2016年製作の映画)

4.5

基本的には超サイコーな映画。風呂敷を広げすぎず、予算を賭けられないのを逆手に取り、ヒーローとは何かといった大義名分といった仰々しいことではなく、自らの欲望や本能に正直に生きるデップーの魅力と言ったら。>>続きを読む

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017年製作の映画)

3.5

本作はホラーという触れ込みではあるものの、いわゆるホラー描写としての手数や引き出しは豊富ではなく、「キャリー」等の過去作への目配せや、アメリカの中でも行方不明者が多い街が抱える負の歴史が、地下道が集約>>続きを読む

一人っ子の国(2019年製作の映画)

4.0

男尊女卑、プロパガンダ、全体主義、優生思想、中絶手術、人身売買。一人っ子政策を掲げた国家と、その時代に生きていた国民たち。様々な立場の人間の証言によって、社会的、人類学的、倫理的問題が時を経て次々と浮>>続きを読む

男はつらいよ 寅次郎相合い傘(1975年製作の映画)

4.1

前半は寅さんとリリーに船越英二が加わって軽快な三人旅を繰り広げるが、船越英二から贈られてきたメロンを巡って寅さん説教タイムからの終盤の流れは秀逸。

寅さんとリリーという二羽の渡り鳥。互いに仲良く飛び
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CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)

4.2

本作はクライマックスと銘打ってあるものの、冒頭にエンドロールを流してしまうという斬新なスタートから始まるように、逃げ場も終わりもない阿鼻叫喚の地獄絵図、それでいて圧倒的な高揚感と祝祭感を観客にも同時に>>続きを読む

真実(2019年製作の映画)

4.0

フランスの大女優としてのドヌーブ、劇中で演じる母親としてのドヌーブ、そして劇中劇で演じる大女優としてのドヌーブと、3つのファクターがほぼイコールで重なり合った強固なドヌーブ映画。

是枝裕和はそんなド
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ボーイズ’ン・ザ・フッド(1991年製作の映画)

4.5

当時のブラックシネマはアクション風の強烈なものが多かったが、本作は日常生活の描写が丁寧で、親子と友情のドラマとして見応えたっぷり。

特にトレ親子の関係は、迷い多き息子と彼を正しい方向へ導こうとする厳
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アニマル・キングダム(2010年製作の映画)

4.1

主人公の青年は、常に無表情だ。自分の置かれた状況から逃れることも、変えることもできない。意図せずに加害者になったという意味で、被害者でもある。身内からも幼稚な邪魔者扱いされ、利用されてしまう存在だ。>>続きを読む

キング(2019年製作の映画)

3.7

父との確執、正反対の兄弟、王の交代による混乱に乗じた陰謀や策略。まさにゴリゴリのシェイクスピア劇だが、終始冷たいトーンと陰影がくっきりした画作りで浮き上がるのはティモシーシャラメ演じるヘンリー五世の孤>>続きを読む

アメリカン・ファクトリー(2019年製作の映画)

3.8

フォード社と並んでアメリカの自動車産業で歴史のあるGM社が中国からの資本で再生する。アメリカ人を中国人が管理し働かせる光景は、「グラントリノ」でイーストウッドだけが自分の庭=アメリカを守ろうとした世界>>続きを読む

汚れた女(マリア)(1998年製作の映画)

3.8

美容院の事務員、文子は嫉妬から美容師を殺害。被害者の夫、雪男は行方不明の妻を探すうちに文子と知り合う。やがて彼らは、それぞれの思惑を胸に秘めて雪山へと旅立つロードムービー。

男女の報われない愛憎の果
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ルディ・レイ・ムーア(2019年製作の映画)

4.0

レディレイムーアという実在の人物が、マシンガントークで頭角を現し、映画製作、さらにはラップの元祖と言われるまでになったジェットコースターのような人生をポップに駆け抜けていく。

やはり本作で特筆すべき
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男はつらいよ 寅次郎忘れな草(1973年製作の映画)

4.0

ピアノのおもちゃを寅さんが良かれと買ってあげたことを発端に寅さんの説教を下を向いて聞くお通夜状態のお決まりの場面から網走への旅路で出会うリリーに東京で再会し…という物語は、惚れっぽく照れっぽい寅さんと>>続きを読む

冷血の罠(1998年製作の映画)

3.8

渋谷区桜丘を舞台にした団地映画であり、風景の切り取り方が抜群にいい。瀬々敬久作品は事件が引き起こされ物語が転んでいくことが多いが、まるでその土地や風景の中で生活しなければならない環境によって、人間が狂>>続きを読む

億男(2018年製作の映画)

3.2

例えるならホリエモンが仮想通貨やビットコインについて書いた書籍があるとして、その前提となる「そもそもお金や貨幣とは?」という第1章のみを分かりやすい形でエンターテイメントにした作品。経済学の入門として>>続きを読む

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(2018年製作の映画)

4.5

SNSで自己啓発本に書いてありそうなことを毎日アップする中学卒業間近の少女。日常生活の現実と、カメラの前で虚勢を貼る理想との落差を埋めようと、あるいは実際に口に出すことで自分を鼓舞し理想へと近づけよう>>続きを読む

ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)

4.0

ある女性の味気ない日常からはじまり、似た者同士が出逢うラブストーリー、まさに獣同士がお互いを貪るようなセックス、森の中を妖精のように全裸で駆け回るメルヘン、子供の人身売買が絡んだサスペンス、そして母と>>続きを読む