めしいらずさんの映画レビュー・感想・評価 - 16ページ目

棺の家(1966年製作の映画)

3.2

騙し討ちし合いトンカチで殴り殺そうとし合う二人。ビジュアル的には禍々しい筈なのに、チャカポコ(ドグラ・マグラ的な)した効果音の調子が何ともはやユーモラスでだんだん可愛らしく見えてくる不思議。それには二>>続きを読む

(2019年製作の映画)

1.7

掌編と言えど物足りない。必要最小限の物語要素しかないから必然的に演技力の比重が高くなるはずで、主要キャストはそれに応えられていないと思う。演出もありきたり。

オペラ座 血の喝采(1988年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

まあお話が破茶滅茶だったり行き当たりばったりに見えたりするのはいつものアルジェント調。色彩感覚は大人しめだけれど、殺人シーンにおける執拗な畳み掛けが物凄い。ナイフが顎を刺し貫いて口の中に切っ先が覗いた>>続きを読む

残光に祈りを(2020年製作の映画)

2.5

「死ぬときも、知らないうちに死ねたらいいのに』。震災の、原発事故の生々しい記憶。あの後に増えた疾病。あの時"直ちに人体への影響はない"と何度聞かされただろう。あの後"疾病との直接の因果関係は認められな>>続きを読む

半落ち(2003年製作の映画)

3.0

お話は本当によく出来ている。ミステリの面からも、社会性の面からも、ヒューマニズムの面からも。公開当時に骨髄ドナー登録が増加したのはとても意義深いことだったと思う。最高の役者陣の熱演。主役はこの人しかあ>>続きを読む

フィールド・オブ・ドリームス(1989年製作の映画)

3.6

冒頭に主人公が振り返る父と彼とのありきたりな半生からもういろんな感慨を呼び醒ます。夢に折り合いをつけ生きた父。その人生は息子には甚だつまらないものとして映る。冒険しなかった父への屈折した思いと反発。和>>続きを読む

赤毛のアン/アンの青春 完全版(1988年製作の映画)

3.5

学校を出れば否でも応でも関係性が変化するのは避けがたい。就職。進学。結婚。それぞれの人生への出立。己が人生の礎を築かんと思い思いに始動する。少しずつ疎遠になっていく。ずっと同じ形のままじゃいられない。>>続きを読む

自由の日(1935年製作の映画)

2.5

レニ・リーフェンシュタールによる極めて美学的なプロパガンダ映画。整然とした画面設計と陰翳美によるスタイリッシュな映像。一糸乱れぬ見事な統率ぶりを見せ付ける軍隊。ラストのハーケンクロイツ型の編隊飛行も凄>>続きを読む

沙羅双樹(しゃらそうじゅ)(2003年製作の映画)

3.4

突然、神隠しに遭う双子の兄。そのまま月日は流れ、5年後に彼の死が確認される。家族は試される。手持ちカメラの揺れが弟の、父母の、揺れ動く内面を伝えるよう。時に”忘れなあかんこと”が人生には起きてしまう。>>続きを読む

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

ほぼ言いがかりだった大義なき戦争であっても始めてしまえば兵士らは戦わねばならない。どちらの国から見たって殺されたい者も殺したい者もいないのは当然だ。でも人は大勢死ぬし、その遺恨はまた別の悲劇と新たな憎>>続きを読む

R246 STORY 「弁当夫婦」(2008年製作の映画)

2.7

倦怠期の中年カップル。同棲していても没交渉。食事の時間にも会話はほぼないし、視線すら交わらない。季節が巡れど何ら変化は見えない。しかし膠着状態に業を煮やした女の結婚への投げかけが、意外にもすんなり二人>>続きを読む

探偵スルース(1972年製作の映画)

2.8

シェーファーの舞台劇をそのまま映画に移し替えた二人だけの会話による室内推理劇。妻を寝取られた側の高名な老推理作家から、寝取った側の若くハンサムな美容師へ持ちかけられる提案。その裏にはある意図が隠されて>>続きを読む

Nowa ksiazka(原題)(1976年製作の映画)

1.5

極めて狭い間隔に設置された監視カメラ9台の映像を同時に見せられている感じ。そこを出入りする人々がリンクしていく。少っしも面白くない。映画というよりただの映像。

醜聞(スキャンダル)(1950年製作の映画)

4.0

人は弱い。自分で思っているよりもずっと。すぐ目先の欲得に囚われる。己が試される度にいつも逃げ腰の不甲斐なさ。それでも正義漢の仮面は被っていたい。そうすれば薄汚れた本当の顔は隠せる筈だから。自分では判っ>>続きを読む

仔鹿物語(1946年製作の映画)

3.7

人生は誰にとっても安楽なものではないけれど、辺境の地で生きる厳しさは尚のことである。スイッチひとつで明かりは灯らない。蛇口を捻っても水は出ない。熱いお湯だなんて以ての外。蝋燭で小さな明かりを取る。水を>>続きを読む

老婦人とハト(1998年製作の映画)

3.8

セムの絵画や風刺画のようにデフォルメされた画と、バンドネオンが奏でる洒落た音楽とが、如何にもフランス的なエスプリを感じさせる魅惑の世界観。コミカルでシュールな展開から物語は不穏な空気を纏っていく。都合>>続きを読む

犬が伝えたかったこと(2020年製作の映画)

2.3

ああ、もったいない。シンプルなストーリーの最後に用意されたちょっとしたサプライズ。犬が伝えたかったことを知る場面の心に灯がともるような温かな感触。それなのになんでそのクライマックスに歌を被せちゃうの?>>続きを読む

或る旅人の日記(2005年製作の映画)

3.9

こういう映画を言葉で語ろうとすると却って思いと離れていってしまうものだろう。掌編集らしくお話そのものはとても簡素。旅人が旅の途中で目にする奇妙で心惹かれる1シーン。それに驚くでも騒ぎ立てるでもなく、そ>>続きを読む

Tango(原題)(1981年製作の映画)

2.6

狭い部屋に窓と3つのドアから一人また一人と入って来て、銘々が思い思いのことをし、出て行く。その繰り返し。一人ずつ増えていき部屋の中がどんどん混雑してくるけれど、誰の動作も不思議と重なり合わない。そして>>続きを読む

ウォレスとグルミットのおすすめ生活(2002年製作の映画)

3.0

全10話の掌編集。自分でやれば簡単にできる作業を、楽チン生活を志してわざわざ阿呆な発明品ばかりを次々にこさえては因果応報な目に遭うウォレス。呆れながらも黙して理不尽なとばっちりを甘受するグルミット。安>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

4.4

先にディレクターズカット版を観て、そしてこの通常版を観たのだけれど、正直どちらを先に観たとしても印象には大差ないと感じた。削られたドライブ中の会話(ルーン文字にまつわる云々)や川での儀式(ある死体の髪>>続きを読む

バッド・マイロ!(2013年製作の映画)

2.8

大腸が”第二の脳”と呼ばれるのであるならば、大腸が心を司り暴走することだってあるやも知れず。主人公の負の感情の結晶たるポリープとして大腸に命を宿し、肛門から産まれたマイロは、ストレス社会の咎を大掃除す>>続きを読む

自転車泥棒(1948年製作の映画)

3.7

人生において都合良い時は続かない一方で、都合悪いことはいくらでも続き得る皮肉。それは苦境下でその人の中の悪しき部分が表面化し易くなるからであり、その所為で周囲から見放され易くなるからである。視野狭窄に>>続きを読む

左側に気をつけろ(1936年製作の映画)

2.2

付け焼き刃ではもちろん歯が立たぬ。みんなを巻き込んで組んず解れつやっていたら何となく勝てちゃった。でも最後にママンが全部持ってちゃうのだ。マニュアルを読みながら拳闘するのが可笑しいけれど、全体の印象は>>続きを読む

ストレスフルスイング(2020年製作の映画)

2.3

”アンガーマネジメント”なんて言葉が言われ始めて久しい昨今。怒りを感じたらハイ6秒耐えて!なんてちゃんと出来る人がどれだけいるの?怒りの条件反射を抑えたところで何になろう。たとえその場は凌げたとて、相>>続きを読む

DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン(1983年製作の映画)

2.2

ふざける時ほど真剣にといった感じだろうか。細部の作り込み、雰囲気作りなどは”それっぽさ”を超えて真に迫るものだと思う。玄人はだしの仕事ぶりはもはや大学生制作の域外。本人たちがノリノリなのも伝わってくる>>続きを読む

膨らみ(2018年製作の映画)

2.2

掌編として必要にして十分に怖がらせてくれる。テレビなどで見るようなちょっとした怪談テイスト。見せ過ぎないのもいい。

Omusubi(2020年製作の映画)

2.2

子供の頃に食べた母が握ってくれたおむすびの味。何にも特別じゃないそれが巡り巡って結局は一番旨いってことに気づく。その時もそうだったけれど、思い出すそれは尚のことである。

みんなで作れば(2020年製作の映画)

2.2

コロナの時代だからこそ生まれた映画だろう。冒頭からリモートでの会話っぽい雰囲気があったから、仕掛けの効果が幾分弱まってしまったのが惜しい。3分の掌編だけれど欲張らないシンプルなストーリーは好印象。

母さんがどんなに僕を嫌いでも(2018年製作の映画)

1.6

このレビューはネタバレを含みます

たとえどんなにひどい母親像であっても子供は母を愛するし(憎悪もその裏返し)その愛を本能的に求めてしまう。母さんが辛く当たるのは僕が駄目な子だからと自分を責めてしまう。主人公はそんな自分をおどけながら貶>>続きを読む

ペンポイント・パーカッション ーペン先の音楽ー(1951年製作の映画)

2.2

ノーマン・マクラーレンによる音への飽くなき探求。ペンパイナッポーアッポーペンとは何ら関係ありません。

ザ・チャイルド(1976年製作の映画)

3.7

冒頭、戦争にまつわる幾つものドキュメント映像が延々と映し出される衝撃の幕開け。それを観ながら雑貨屋の主が”ツケを払わされるのはいつも子供たちだ”と言ったのが、物語の以降の展開で反転することとなる。主人>>続きを読む

カノン(1964年製作の映画)

2.9

反復される被写体の動作と音のニュアンスが少しずつ変化していく。ずっと観ていられる面白さ。全体的にユーモアを、時に哀しみすら帯びる不思議な映像。聴覚的な心地よさはもはや快楽である。画の世界観も可愛らしい>>続きを読む

シンクロミー(1971年製作の映画)

2.6

昔のコンピューターゲームっぽい感じ。チカチカした映像とピコピコした音が目に耳に心地よくて、何故だかずっと観ていられる不思議。

ばかばかしい!(フィードゥル・ディー・ディー)(1947年製作の映画)

2.4

フィドルによる軽快なカントリー音楽の演奏のタッチと、アニメーション映像のタッチやノイズ感がちゃんとシンクロしていて面白い。以上。

ロボットの誕生(1936年製作の映画)

2.3

レン・ライの人形アニメ。そのままシェル石油の広告。過度の石油依存の気運に傾いていこうとする時代の要請であったのだろうか。可愛らしいけれど面白いわけではない。世界観がイジー・トルンカに少し似ている気がし>>続きを読む