銀幕短評(番外)
「ヒューマン・ポジション」
2022年、ノルウェー。1時間18分。
はてなと思うタイトルですが、原題は冠詞aを帯びており、情勢、形勢などという題意がありそうですね。わたしなら「落ち着きどころ」くらいの邦題にしそうだ。おきつきがわるいですが。
(以下 本作のネタバレ)
表には出さないが、主人公は おおきな かなしみと失意にまみれている。それをまわりの誰もがしっている。しかしおおげさな慰めをしない。その効き目がないことが分かっているから。そのあたりの事情を知らないのは、わたしだけです(あるいはあなたも)。彼女が自身でどうやって立ち直ることができるか。そのプロセスを、この映画はドキュメンタリーのように気長に追います。そういうストーリーの種明かしが 映画のさいごにくるでしょう? 全体にカメラが長いでしょう。で、そのカメラが垂直と水平の直線にトコトンこだわるでしょう、カメラをパンせずに ことさらに。その徹底を見ていて ちょっとつかれましたよ。
「よもやま短編集」
2021年、日本。3分。
オチがうまい短尺アニメーション。眠気ざましにちょっと一息。
「みんな元気」
1990年、イタリア。2時間7分。
ロバート デ ニーロの米リメイク版(2009年、4.0点)を先に観ていて、大変気に入っていたので、マストロヤンニ主演の本作をとても楽しみにしていましたが、半分手前でギブアップしました。どうも作りが粗雑で下品ですね。「ひまわり」の作風とまるでちがうなあ。
「小さなレディ」
2022年、仏・ベルギー。1時間27分。
あまりに無神経で無責任な邦題ですが、原題は主人公の名「ダルバ」。
衝撃的なテーマですが、なかなか良作だと思います(フィルマ3.8点)。
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」
1993年、日本。45分。
岩井俊二監督、脚本のオリジナル実写版。マドンナは奥菜恵さん。童心に帰るかも、と思いましたが、そうはなりませんでした。わたしには もう残っていないのかも。プールのシーンはすてきですね。
「本日公休」
2023年、台湾。1時間46分。
この映画は楽しみにしていました。が、まったくつまらないですね。手あかにまみれた展開手法や小ネタばかりを無責任に放り込んで仕立てた人情ばなし。フィルマ3.9点に幻惑されました。
でござる。