珍作、怪作、飛び越えもはやカルトの域ながら、これはおそらく傑作。終始異常なまでのテンションでひたすら破茶滅茶な事が頻発するドタバタすぎる和製コメディミュージカル。集団就職でラーメン工場で働きだしたかと思いきや、そこの社長が悪いやつで、夜皆が寝てる間に催眠術をかけて洗脳、その怪電波のせいで近くの動物園のカバが不眠症に…意味分かんないけど凄いぞこの展開。主演のピンキーの初恋→失恋を軸に置きながらも、個性的な俳優及び動物たちが大活躍、もはやピンキーとカバのW主演と言っても過言ではない、終盤カバが結婚式を粉砕する下りなんて圧倒的。いずみたく、和田誠両名の貢献もさる事ながら、前田武彦、マドンナ由紀さおり、そして「老人と子供のポルカ」左卜全最高の仕事、いやぁ凄い時代だ…羨ましい。トークショー付きだったけど、監督曰くそこまで制作費はかかってないとのこと、にしてはアニメーションとの掛け合いとかラーメン工場、催眠術マシーンのセットとか見事だったし、ピンキーは劇中そのまんまでパワフルだった、生歌も聞けて大満足。

バラエティ風味の和製ミュージカル。筋や一部出演者の演技は雑だが、映画自体は観ていて楽しい。

上野、赤坂、新宿あたり・・劇中の東京の街並みも時代を思わせていい。

そしてストーリー云々よりも、ある意味豪華なキャストに目がいく。
きっちりと悪い前田武彦、よくしゃべる土居まさる、ヤメテケレ左卜全、いいじゃないの佐良直美、珍しく躍動的な多々良純、熊倉一雄や山田康雄といったアテレコ陣、そして一瞬だけ出てくる植草甚一etc・・。

アニメーションとの融合もコミカルで、こういうミュージカル作品が国内でもっと作られていればなぁ、とも思ってしまう。

• #ミュージカル

映画ももちろん良かったのだが、何より羽仁進とピンキー（監督と主演）が48年のときを超え、本作について語り合うという事実がやばすぎて渋谷のエロスの真ん中に君臨する映画ビルが沈んだ。和田誠中である（麻雀放浪記キッドナップブルース真夜中までのポスターは家宝）僕的にはカバのセルアニメを劇場で観れただけで感無量である。「初恋・時獄篇」との和田誠タッグも「彼女と彼」の久里洋二タッグも良いんだけど、羽仁作品には和田誠がベター。そしていずみたくの映画界いやCM、アニメ、クリエイト界隈に影響を与えた隠れた音楽家であるのは言うまでもなく、本作のパワフルでエネルギッシュな完全オリジナルのミュージカルの世界観をつくりあげた貢献度はバリ高い。サウンドトラック欲しすぎる。ピンキーの生歌は人生の経験値として胸にしまっておきたい。そして「愛奴」に引き続き、植草甚一が出てるのもあつすぎる。

• #2017〜