自分を愛してくれる恋人を愛さずに、自分を何度も拒否する男性を一途に愛する女性ナタリーの耐え難いほどの狂気を描いた、ノエミ・ルヴォウスキー監督の長編デビュー作となるドラマ映画。

ほとんど全てのシーンに出ているナタリーという女性は、自分を求める男性からは離れていき自分から離れる男性を求めるというまあまあ見かけるタイプなのだが、その身勝手で粘着気質な性格によって周囲に不幸を撒き散らしていく。地下鉄で偶然に元カレのエリックを見かけたナタリーは執拗に付きまとって彼を悩ませる。一方で、アントワーヌという恋人との関係は全く大事にせず、彼から逃げるような態度を取る。さらに、友人クリステルの恋人ファブリスとも関係を持ちそうになり、そのことで友人とも険悪になる。それでも、次第に壊れていく彼女が最後に助けを求めた相手を知ると、ちょっとほっとする。

そんな普通ならば嫌悪感しか覚えないようなキャラクターなのに、それでもナタリーが発する魅力の虜になってしまうのが不思議である。その魅力はヴァレリア・ブルーニ・テデスキの演技に負うところが大きい。こういう役を演じさせたら、彼女の右に出る俳優はいないだろう。また、そんな彼女の魅力を十分に引き出して、デビュー作からこんな映画を撮ってしまうノエミ・ルヴォウスキー監督もさすがである。一方で、ナタリーの友人を演じたエマニュエル・ドゥヴォスはちょっと無駄使いな気がした。

（オランダ滞在中の Netflix にて）

ドラマ

• #撮影Jean-MarcFabre
• #音楽AndrewDickson
• #編集JenniferAugé
• #衣装FrançoiseClavel