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『ママと娼婦 4Kデジタルリマスター版』に投稿された感想・評価

4.9
【死ねナルシスト】

ジャン・ユスターシュ監督×ジャン=ピエール・レオ主演の1973年の作品の4Kデジタルリマスター版。

〈あらすじ〉
カフェで毎日を無為に送る青年アレクサンドルは、ブティックを経営するマリーの部屋に居候している。彼はつきあっていた女にフラれるとすぐにヴェロニカに声をかけ親しくなる。そのことを報告すると、マリーは一度は嫉妬しながらもすぐに許してしまう。やがて3人の奇妙な共同生活が始まり...。

〈所感〉
3時間20分の大作。『親密さ』『リップヴァンウィンクルの花嫁』のようにとにかく長くて緩慢だが、私好みの優れた対話劇だったので見れてしまう。ジャン=ピエール・レオ演じる主人公アレクサンドルがめちゃくちゃクズメンのヒモで全く共感できないけれど、自分には絶対にできない理想の生き方でもあるので、彼のものの見方・考え方には凄く惹かれるものがある。太宰治作品のような清貧の美学すら窺える。ジャン・ユスターシュ監督自身を投影した主人公ということで納得だ。

「今朝は僕も街も全てが明快だった」
「陶酔できた美しい日々はいつまでも手離したくない」
「このパサージュには街から田舎、昼から夜、両方がある」
「倦怠こそが教義なんだ。信仰でなく、倦怠から生まれる無に生きる」
「貧乏は無教養の口実とならない」
「結局料理は生温く柔らかい物が一番なんだ」
「嫌悪感は気高い感情だ」

このような台詞が連なる2時間以上のアレクサンドルのほぼ独りよがりの衒学的トークに付き合わされた後、ママことマリーと娼婦ことヴェロニカの女性陣に大反撃を喰らって、意気阻喪とするアレクサンドルを見てカタルシスがヤバかった。表情と声音のヴェロニカの独白が鬼気迫り、神憑かっていた。

「愛への執着は死に通じる。死ねナルシスト」

脳みそより下半身に支配された男の刹那的・場当たり的な快楽主義の生き方は一人の男としてロマンすら感じるが、結局こういう浮世の侍には破滅がお似合いだ。時代が早すぎたのだろう。人物のカットの切り返しが洒落ていて、単調だが、飽きさせない作り。ジャン・ユスターシュの代表作に相応しいとんでもない傑作でした。
4.3
 定職もないくせにブティックを経営する年上のマリー(ベルナデット・ラフォン)に世話になりっ放しのアレクサンドル(ジャン=ピエール・レオ)は真性クズで、安全圏でぬくぬくと暮らす。その殺風景な部屋にはベッドではなく布団が敷かれ、頭の位置にはレコード・プレイヤーと僅かながらのアナログ・レコードが無造作に立て掛けられている。愛の巣と呼ぶには随分殺伐とした冷たい雰囲気の部屋で2人は仲良く同じ布団で眠るのだが、2人の間にはもはやSEXはない。夜は亭主面して温かい布団で寝たかと思えば、昼間はマリーが知らない細菌学教師ジルベルト(イザベル・ヴェンガルテン)に結婚を申し込む。何という道理のわからないクズ男なのかと思う。然しながら求愛を受ける元カノのジルベルトの反応が微妙で、何かはっきりとした理由があってこの男が無理になったんだろうなと推測する。案の定、長らく粘った末に彼女に拒絶されたアレクサンドルは同じカフェで、ただ目が合っただけのヴェロニカ(フランソワーズ・ルブラン)に声を掛け、彼女の電話番号を聞き出す。このアレクサンドルという男は、成り行きだらけで行き当たりばったりの人生を歩んでいる。将来の確固たるビジョンもないまま、結婚を申し込まれれば女性たちはただただ困惑するしかない。

 18の時に初めて観た時は何が何やらさっぱりわからず、地獄のような3時間40分だったが、いま観ると大変わかりやすい三角関係の映画であり、男と女の映画であり、虚実入り乱れた「言葉」に埋め尽くされた映画である。大した根拠もないまま女に迫りまくるクズ男の描写はこれまでのユスターシュ映画の中でも頻繁に登場したが、今作ではジャン=ピエール・レオがおそらくジャン・ユスターシュの倒錯的な自伝をかなり比喩的に演じているのだ。つまりジャン=ピエール・レオとはトリュフォーの映画に出る時はトリュフォーの分身で、ユスターシュ映画に出る時は時にユスターシュの自信過剰なナルシストっぷりをカリカチュアして演じている。というかユスターシュはトリュフォーの『大人は判ってくれない』を観た時点で自分の実人生と何かしら共鳴する部分をジャン=ピエール・レオに感じ取っていたように思う。どこに行っても自分の主義主張がないまま、根無草的に生きる男の運命はしっかりと女性たちに手綱を握られてしまっている。然しムルナウ映画の原理をドヤ顔で説明する場面のカット割りと再度のドヤ顔には思わず声に出して笑ってしまったし、3時間過ぎたあたりの女同士のシスターフッド的な連帯からどんどん無口に萎れていくアレクサンドルの描写には苦笑いを禁じ得ない。その癖、すっかり草臥れた美しさを誇るシャンソンの調べに魅せられたアレクサンドルの姿が若干愛おしく感じられる。呪われた作家の悪魔の3時間40分。
5.0
43歳で拳銃自殺してしまった、フランス伝説の映像作家、ジャン・ユスターシュ作品初挑戦😳

現在公開中のスコセッシの「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」を長い長いと散々ブーたれておきながら、それより13分長い本作を観ちゃう開明獣って我ながらお茶目🤣

主演は、存在そのものが現代映画史と言っても過言ではない仏の名優ジャン=ピエール・レオ。トリュフォー、ゴダールなど仏の巨匠だけでなく、伊のパゾリーニ作品や芬のカウリスマキ作品にも出演している重鎮中の重鎮の若き日の姿が見られる😌

いかにも70年代のフランスのインテリが創った作品らしく、ホルヘ・ルイ・ボルヘスからの引用、ロバート・マッコールも読んでいたマルセル・プルーストの「失われた時を求めて」、仏の映像作家ロベール・ブレッソンへの言及、プログレッシブ・ロックの名盤「クリムゾン・キングの宮殿」のジャケット、70年代に入ってからは定番のアンガージュマン、サルトルへの批判、などなど、ペダンティックな小道具を見てるだけでも飽きない。一番驚いたのは、ブリティッシュ・ハードロックの雄、ディープ・パープルがオーケストラと競演した時のアルバムがかかっていたこと。ギタリストのブラックモアのフレージングで気づいたが、この頃はストラトではなくES335のハムバッカーサウンドなので、ちと戸惑う💦

閑話休題

働くことを拒み、ヒモとして生きている色男のアレクサンドルは、口先だけは達者だが中身は全くない空っぽな男。マリーという年上の女性の家で同棲しているのに、他の女性に片端から色目を使い、女性と寝ることを至上の悦びとしている。そんなアレクサンドルに時折激怒はするが、愛想も尽かさず同棲を許すマリー。そこに、ヴェロニカという、誰とでも寝ることを公言して憚らないエピキュリアンな麻酔士が加わり奇妙な三角形が形成される。

どうせ死んでいく人生ならば、好きなことをやろうという刹那的で退廃的な生き方はユスターシュ自身の経験を投影したものだという。ヴェロニカのモデルとなった、ユスターシュと関係のあった美術担当の女性は、本作の完成後に、作品に最大の賛辞を贈りながらも自死してしまったそうだ。

倫理的にはとても共感出来ない、3人の男女の生き様の背後には常に死の影がちらついているようだ。30代くらいまでだったら、本作を全否定していたかもしれない。だが、自分の周りや自分自身もある程度、人生の行く末が見えてきた今、本作をただの堕落した低モラルの作品と切り捨てるような感情は浮かんでこなかった。

粗削りながら、感情剥き出しにぶつけてくる台詞の多い脚本にいつしか魅力され、長さを忘れて魅入ってしまったことを告白しておこう。経年による影響は劣化だけではなく、時に成熟という結果も伴うということなのかもしれない😌

フィルマ王国で、開明獣のフランス映画の先生のお一人、bennoさんが、4K版ではない方に素晴らしいレビューを書いておられますので、本作にご興味ある方はそちらも是非‼️

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