ドニー＆ジョー・エマーソン兄弟(知らんけど😅)の音楽伝記映画。「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のケイシー・アフレック主演、「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」のビル・ポーラッド監督ですが、ガチでこの二作を掛け合わせたようなメランコリックな雰囲気が他の音楽伝記映画とは一線を画す作品です。

1979年、ワシントン州で農場を営むドンは、音楽に熱中する息子15歳のドニーと17歳のジョーのために、大枚をはたいて二人のレコードを製作する。時は流れ2012年、ドニーは妻と細々と音楽活動をしながら倒産寸前の録音スタジオを経営、ジョーは実家のすぐそばで音楽と無縁の生活を送っていた。ある日突然、かつてのレコードが30年余の時を経て音楽評論家の間で絶賛され、NYタイムズを始め取材が殺到するも、ドニーは次第に過去の重みに耐えられなくなっていく...

才能あるアーティスト気質故のプレッシャーや苦しみで全体にメランコリーな雰囲気が徹底され、過去と現在が交錯していく作りはまさにブライアン・ウィルソンの伝記映画「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」そのまま。また、田舎の故郷を舞台にどこか厳かで宗教的な空気感が漂いながら、終盤に向けて少しずつ過去が明らかとなり、罪の意識と向き合っていくのは「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のケイシー・アフレックがすっかり板についています。

正直誰か存じ上げない方で、他の有名歌手の音楽伝記映画と比べると圧倒的に地味でドラマがなく、ようこれ映画にしようと思ったな(笑)と思ってしまう。でもだからこそ、誰もが人生で感じる家族間の普遍的な感情がゆったりと丁寧に描かれ、非常に共感性が高い作品になっています😊

ケイシー・アフレックの独特の歌声もとても素敵なのですが、音楽伝記映画のお決まりで最後に本人たちに切り替わるとやっぱり「おぉー！」となりますね。主人公の良妻役はズーイー・デシャネル。全体にビジュアルは美化しすぎ(笑)？まぁこれも有名歌手じゃないからできる技ですね。

予告編
https://youtu.be/CV9Q05R66Nc
実際のレコード音源
https://youtu.be/7TdLNiys27A

すごくよかった。。後半涙。。

クリエイティブなことをしてる人なら、ドニーの気持ち超わかると思う。
全盛期の自分を歳をとったあとに超える難しさ、めちゃわかる。自分のくせにほんと難しいよ。。
それなのに、あの頃と同じパフォーマンスやレベルを求められることに対しての強烈なプレッシャー。。
また失敗したらという恐怖。グサグサ刺さってしまったぜ。。

優しいお兄ちゃん、お父さんに涙。
息子の才能を信じて、苦労を重ねたお父さんとお母さん。
才能のある弟に対して、平凡な自分を受け入れて、自分がいると弟の夢の妨げになると、弟の背中を押すお兄ちゃんにまた泣ける。
ウォルトンさんの演技よかったなぁ。。

音楽も素晴らしかったし、家族の絆や温かさにグッとくるとてもよい作品でした。

ケイシーは個人的に久しぶりだった。やっぱりこういう苦悩してるおじさんの役が超似合う。
歌声も素敵でした。

リイシューから始まる音楽物語

Donnie & Joe Emerson主役の映画なんて渋すぎるw
本当に日本公開するのか？コレ

インターネットでにわかに盛り上がったことでレアミュージックディグ界の雄、Light In Atticよりリイシューされ、全米の注目の的となった田舎の家族バンドの物語。はっきり言うと、映画としての出来は凡庸だったように思えるが、テーマ選びが素晴らしく、興味は持続できた。

30年前のアルバムが急騰する現役ミュージシャンの複雑な気持ち、ティーンエイジだった当時の自分が敵に見えてくる感覚。神経質になってバンドメンバーに当たってしまうドニーを、それでも彼を受け入れ続ける家族を見ていると、ブライアン・ウィルソンにもこういう世界があればよかったのに、、と思わずにいられない。

https://pitchfork.com/reviews/albums/16841-dreamin-wild/
↑劇中でも登場するPitchforkのレビュー。映画でも言及があったブライアン・ウィルソンとの対比はもちろん、同じく後世に評価されたヘタウマ家族バンド、The Shaggsと比較しているのが興味深い。そして、このレビューでも書かれている通り、彼らの父親・ドンがカバーではなくオリジナルを演奏させた功績はとても大きい。2010年代に入って70年代のアンセムと化した「Baby」のメロウでロウファイな空気感は90年代のオルタナR&B感を先取りしていて、今聴いても錆びることはない。

• #プレ的2024年鑑賞