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旅立ちのラストダンス/ラスト・ダンスの作品紹介

旅立ちのラストダンス/ラスト・ダンスのあらすじ

ウエディングプランナーのトウサン(ダヨ・ウォン)は、コロナ禍で多額の負債を抱え、葬儀業者への転身を余儀なくされる。しかし結婚式と葬式は大きく違い、トウサンは様々な困難に直面する。最大の難関は、共に葬儀を取り仕切る「葬儀道士」であるマン師匠(マイケル・ホイ)に認められることだった。利益の追求が第一のトウサンと、伝統を重んじるマン師匠は、考え方の違いから絶えず衝突し、2人の関係は最悪に。だがマン師匠と娘・マンユッ(ミシェル・ワイ)、その一家と関わるうちに、マン師匠へのわだかまりは徐々に消えていく。 そしてトウサンは次第に、マン師匠が葬儀で行う儀式「破地獄」の真の意味に気づいていくのだった。

旅立ちのラストダンス/ラスト・ダンスの監督

アンセルム・チャン

原題
破・地獄/The Last Dance
公式サイト
https://lastdance-movie.com/
製作年
2024年
製作国・地域
香港
上映時間
140分
ジャンル
ドラマ
配給会社
ツイン

『旅立ちのラストダンス/ラスト・ダンス』に投稿された感想・評価

背骨
3.8
葬儀社を引き継いだ男とパートナーの道士、その家族がさまざまな経験の中で人の生と死について考えていく物語

感動させるまでには惜しいと感じてしまうエピソードと演出、ひたすら泣かせにくる音楽に正直少し冷めてしまった。概ね良いお話ではあるんですけどね…
kuu
3.9
『旅立ちのラストダンス/ラスト・ダンス』
原題または英題  破.地獄 The Last Dance
製作年 2024年。上映時間 140分
映倫区分 G 製作国 香港
香港の喜劇王マイケル・ホイと、香港を代表するコメディアンのダヨ・ウォンが32年ぶりに共演を果たし、香港映画歴代興行収入第1位を塗り替える大ヒットを記録したヒューマンドラマ。香港の葬儀業界を舞台に、「家族」「伝統」「死生観」といった普遍的なテーマを丁寧に描き出す。

2024年に香港で公開され、社会現象を巻き起こした今作品は、単なるヒューマンドラマの枠を超え、現代社会における生と死、そして家族の解体と再生を問い直します。
香港映画界のレジェンドMr.Boo!マイケル・ホイ(許冠文)と、現代の興行収入請負人とも呼ばれる子華神ダヨ・ウォン(黄子華)が32年ぶりに共演したという事実は、香港映画としてはそれだけで歴史的な出来事やけど、物語はその期待を遥かに超える深みに到達していました。

これまでアクションや犯罪ものが主流やった香港市場において、葬儀業界ってテーマを扱った作品が歴代興行収入1位を記録したことは、いかに魂の救済ってのと、家族のあり方への指針を求めているかを如実に物語ってるに違いない。

​作中で描かれる『破地獄』って道教の儀式は、炎の中を駆け抜け、死者の魂を地獄の苦しみから救い出すための伝統的な通過儀礼です。
※道教は、老子を祖と仰ぎ『道(タオ)』との一体化を説く、中国の土着宗教で、不老不死を希求する神仙思想と老荘の哲学に、古来の民間信仰が結びついて形作られ、現世での幸福と長生を究極の目的としてる。

しかし、今作品が示す鋭い洞察は、この儀式が死者のためだけやなく、実は遺された生者のためにあるって点に集約されてる。
特に、物語の中核を成す伝統的な父権主義と現代的な個の解放の衝突は、単なる世代間の意見の相違じゃなく、救済の本質を問う構造的な対立として描かれていました。

​マイケル・ホイ演じる老道士が体現するんは、厳格な規律と性別による役割分担を重んじる旧来の父権的価値観。
そこじゃ伝統を守ることが絶対的な正義やし、たとえそれが個人の感情や現代的な倫理と乖離していても、形式を継承することにこそ救いがあると信じられてる。
一方、ダヨ・ウォン演じる新参者の葬儀屋は、破産したウェディングプランナーって過去を持ち、形式よりも今、目の前で苦しんでいる人間(生者)の心を優先する。

この二人の対立は、心理学者ジャック・ラカンの説く『父の名(Nom-du-Père)」』って象徴的な秩序と、それに抗いながら自らの主体性を確立しようとする個人の葛藤を鮮やかに描き出していました。

​この葛藤は、道士の娘というキャラを通じてより痛切に表現され、女性であることを理由に伝統的な儀式への参加を禁じられる彼女の姿は、父権主義がもたらす抑圧の象徴と云える。
彼女が求めるんは、父に認められることであると同時に、古い秩序から解放され、自分自身の専門性で死者を送ること。
ここで『破地獄』って言葉は二重の意味を持ち始めるが、それは地獄の門を破る儀式であると同時に、家族ちゅう名の閉鎖的な空間が生み出した、心理的な地獄を打ち破る行為へと昇華される。

​今作品は他者の期待や伝統という鏡に映った自分を生きる段階から、不完全な自己を受け入れ、自らの足で踊り始めるまでのプロセスを描いてると思います。

地獄に囚われているのは死者ではなく、親の呪縛やこうあるべきや!という社会的な強迫観念に縛られた、生きている人間たちであるという逆説は、現代を生きる小生の胸を激しく揺さぶりました。
古い価値観をただ否定するんじゃなく、その中にある祈りの本質を汲み取りながら、いかに現代的な救いへと変容させていくか。
その止揚のプロセスこそが、今作品の真骨頂と云っても過言じゃないかな。

​上映時間は140分とチト長く、道教の葬儀という香港独自の文化が色濃く描かれるため、受け手によって評価が分かれる側面はあるには違いません。
しかし、ダヨ・ウォンとマイケル・ホイって二大スターの32年ぶりの共演、とりわけマイケル・ホイの重厚な演技は今作品の大きな魅力でした。
儀式『破地獄』を軸に、死を超えて残された者の救いとなる生と死、家族の絆を描いたストーリーは、小生にとって感動的なものでした。
また、結婚式から葬儀への転身という設定が、人生の光と影の対比をより鮮明に際立たせていました。


あらすじ・キャスト
ウエディングプランナーのトウサンはコロナ禍で多額の負債を抱え、やむを得ず葬儀業者に転職するが、結婚式と葬式は大きく異なり、さまざまな困難に直面してしまう。利益を追求したいトウサンに対し、ともに葬儀を取り仕切る厳格な道士・マン師匠は伝統を重んじており、2人は絶えず衝突する。しかしマン師匠やその娘マンユッと関わるうちに、マン師匠に対するトウサンのわだかまりは少しずつ消えていく。やがてトウサンは、マン師匠が葬儀で行う道教の伝統的な儀式「破地獄」の真の意味に気づきはじめる。

葬儀業者トウサンをダヨ・ウォン、マン道士をマイケル・ホイが演じた。監督は、脚本家出身で本作が長編監督第3作となるアンセルム・チャン。2025年・第43回香港電影金像奨で主演女優賞(ミシェル・ワイ)など5部門を受賞した。第37回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門では、「ラスト・ダンス」の邦題で126分のバージョンが上映された。劇場公開は140分のディレクターズカット版。
傑作でした。そして、号泣

第43回(2025年)香港電影金像奨18部門ノミネート、主演女優賞(ミシェ-ル・ワイ)など5部門受賞。
香港映画歴代興行収入第1位(『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』の記録をさらに塗り替えた作品)

出演:葬儀屋へ転職したトウサンをダヨ・ウォン(『毒舌弁護人 正義への戦い』)が演じ、道士のマン師匠をマイケル・ホイ(「Mr.Boo!」シリーズ)が演じている。
共演も、豪華で、マン師匠の娘で救急隊員を、ミシェール・ワイ(衛詩雅)、息子で、道士の弟子をチュー・パクホン(朱栢康)
その他にも、最近、一気にスターとなったジョン・シュッイン(鍾 雪瑩)(『私たちの話し方』『正義廻廊』)やカーキサム(『縁路はるばる』)

道教の伝統的な儀式「破地獄」を軸に、「死」を中心に、「死にゆくもの」「残されるもの」の心を描く。さらに、この作品は、描かれるテーマが重層的で多彩。改宗、移住、夫婦の愛、親子の情、離婚した夫婦の子、高齢化など、丁寧にちりばめられたエピソードが、いい感じに編み込まれている脚本も素晴らしい。香港歴代興行収入1位は、伊達ではなかったです。おすすめ作品。
2026年5月16日@京都シネマ

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