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異邦人
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『異邦人』に投稿された感想・評価

本日11月7日はフランス文学において「不条理」の世界を拓いた偉大なるノーベル文学賞作家アルベール・カミュの生誕103周年記念日。

「きょう、ママンが死んだ」「太陽が眩しかったから」
このあまりにも有名な一節で知られる彼の代表作「異邦人」は、私が学生の時分に大変強い影響を受けた作品のひとつであり、今現在も座右の書のひとつに名を連ねているバイブルであります。

そのカミュの名著をイタリアの巨匠ヴィスコンティ監督が実写映画化に挑んだ意欲作。
主人公ムルソーにはマルチェロ・マストロヤンニ、恋人マリーはアンナ・カリーナという豪華キャストを配し、我々を30年代のフランス領アルジェリアへと誘います。

ムルソーは信仰以上に絶対的な真理をその内に抱いており、感覚的に(まるで動物みたく本能的に)実直に物事と対峙する、若者としては至ってリアリズムの極北のような男。
しかし他人から見ると彼の無感動な人格や無神論的な面持ちは「人間味に欠けた異邦人」に写らなくもなく、それはある事件を切っ掛けに「不条理」となって彼の運命を大きく左右することに。
彼は全体主義の罠にまんまとハマり、法と神の2つの「善悪」によって他意的に断罪されてゆくのです。

私のムルソーのイメージは読んだ当初から「太陽がいっぱい」のアラン・ドロンの雰囲気とピッタリ合致していて、
逆にヴィスコンティはなぜマストロヤンニにこの役をさせたのかがずっと疑問でした。
というのもマストロヤンニに20代後半を演じさせるにはあまりにも老けすぎており、恰幅もかなりいいし、何より水着姿が似合わなすぎる…。
ドロンとヴィスコンティは「山猫」を境に決別したと云われていますが(たしかギャラ問題?)、まじでドロンがムルソーだったら完璧なのにぃ…と常々思っちゃいますね。

そして私が特に好きな司祭と対峙するシーンが少々雑に描かれているのも気になっちゃう。裁判よりもむしろここが重要なシーンだと思うので、「ベニスに死す」みたくもっと力を入れて丁寧に撮って欲しかった。
司祭もイメージよりだいぶ若すぎるような…。

ということで、かのヴィスコンティでさえも如何せん作品を持て余した感じが否めませんが、
それもこれも原作が難解かつ傑作すぎるからしょうがないってことで納得!
青二歳

青二歳の感想・評価

3.9
アルジェリアの烈しい太陽に照らされるコロニアル建築の街並みと海。その輝く夏の景色の中、虚無を生きる男。カミュ"異邦人"映画化。原作よりこの男にシンパシーを覚える。
ヴィスコンティの男たちって小物感がたまらない。そのためかキャラクターに色づきがあって、妙な説得力がある。

暑いらしく法廷にはうちわを扇ぐ音が響くのだが、二種類あってその斧みたいな形のうちわが気になる…扇ぎにくそうだけどかわいい。傍聴席もパタパタパタパタとうるさいし裁判長がやたら饒舌な法廷は滑稽。
また主人公カップルが喜劇映画を見るシーンは印象的。フェリーニがよく映画や舞台を鑑賞するシーンを挿入するけれど、ヴィスコンティもよいカットでした。

はよDVD化して。廉価版でいいから勿体ぶらずサッとリリースして(´Д` )
ルキノ・ヴィスコンティ監督が、不条理の哲学を打ち出した・アルベール・カミュの原作小説を独自の解釈をすることなく真正面から映画化しました。

母の訃報を知りアルジェリアのアルジェから母の養老院があるマランゴまでやってきた・ムルソー(マルチェロ・マストロヤンニ)。

母の棺をみても、漠然と悲しいという感情はあるが特段激しい感情もない。
棺の中に収められている母親の顔も見ようとはしない。

翌日アルジェに戻ったマルソーは、海水浴場で元同僚の女性マリ―と再会し、喜劇映画を観て、深い関係となる。

後日、ムルソーは友人のレイモンに誘われマリーと一緒に海岸に出かける。そこで、レイモンに恨みを持つアラブ人の男たちに襲われる。

その場はなんとか収まったのだが、レイモンを病院に連れて行った後にムルソーは先程襲われたアラブ人と出会い、手に持っていた拳銃でアラブ人を射殺してしまう。

裁判にかけられたムルソーは死刑を宣告されるのだが・・・

この作品はここまでストーリーを書いても大丈夫でしょう。
観客はここから自分の心にある不条理との対決に突き進むことになるのですから。

カミュの不条理論は、数多くの哲学者たちが論じていて、一介の映画ブロガーである私が入り込む余地などないくらい研究されているわけですが、文字だけでは難解になりそうなこの原作をヴィスコンティ監督は嚙み砕いてみせてくれたように思います。

「父」としての神もその歴史も拒否して否定し続けたカミュ。
クライマックスで司祭と対面する場面で、その意味が明確となるのですが、その演出はまさに正攻法で、結局神も俗物主義だと思わせる力強い描写に圧倒されます。

裁判で殺人の理由を問われたムルソーは、「太陽がまぶしかったから」という旨の答弁を行います。
一概には理解できない言葉ですが、彼は正しいのです。

独房に入って死刑を待っているときに面会に来た司祭にムルソーは言います。
「何に興味があるかは確信を持てないが、関心がないものはわかっている。例えばあなたの話とか・・・」
「絶望しているから投げやりになっているわけでもない、ただ恐れている」と。

それを気の毒にと司祭は言うのだが、ムルソーは神の存在も含めすべてを否定します。
壁を見つめて浮かんでくるのは神ではなくて愛した女の顔だと。
懺悔を断り、人生や自分の死、その他あらゆるものに対して確信を持てることだけが真実だと。

そして、「あなたも俺と同じいつかは死ぬ運命なんだ!」と。

不条理や実存主義など、詳しく勉強していれば更に本作は深く入り込めるのだと思う。
残念ながら私は薄く、浅い知識しか持ち合わせていないため解釈が甘いのかもしれない。

が、表面的には決して難解な映画ではない。
ただ、観終わった後の深さが凄いです。

ヴィスコンティ監督の代名詞ともいわれるドイツ三部作の制作中に不条理に対峙したのも興味深いですね。

私は、ラストのモノローグで語られる星空や風の臭い、どこからか聞こえてくる音だけが真実なのかなという理解をしています。

「世界の優しい無関心に初めて心を開いた」
重くて深いラストです。

『異邦人』に似ている作品

アルベール・カミュ

製作国:

上映時間:

100分
3.2

あらすじ

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太陽がいっぱい

上映日:

1960年06月11日

製作国:

上映時間:

122分

ジャンル:

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上映日:

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上映日:

2023年07月14日

製作国:

上映時間:

123分

ジャンル:

配給:

  • トランスフォーマー
3.6

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