核戦争もの。
1964年の映画『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』の舞台化。
60年以上も経つのに、このコメディが有効とはね。進歩のない人類。

映画の細かいセリフは忘れてしまったが、イギリス風ことば遊びは好きじゃない。そもそも直訳できないしね。
爆撃機のセット、背景の映像もあって素晴らしい。やっぱり舞台は大仕掛けがないと。
映画はモノクロだったので、この舞台の方が面白い。

基本的に映画版のストーリーをなぞってはいるんだけど、より分かりやすいコメディ然としたテイストに。セリフは若干トンがって、よりブラックに、よりコントに。トータルで毒気が倍増、ブリティッシュな笑いが炸裂。

映画版のピーセラの一人三役が、今回は四役使い分け。舞台になることで、早変わりの面白さが加わった。

そしてエンディング、そうくるかぁ（笑）。映画版と同じヴェラ・リンの「We'll Meet Again」を、シュールでバカバカしい演出に。明らかにモンティ・パイソンのノリ。しかも「輪っか」の使い方が秀逸。その辺りの斬新な舞台美術も見どころ。

さらに、ダメ押しで流れるランディ・ニューマンの名曲「Political Science」の採用に拍手。

冒頭のユルいミュージカルの歌詞や、パイロットがスイッチを必要以上に愛おしくいじくり回す仕草が、クライマックスの「妊娠収容所」なるセリフと女神降臨で回収され、舞台版オリジナルのメッセージが浮かび上がる。

あと、個人的には、映画版のソ連首相がロシア大統領になって名前がキスオフ（＝kiss off＝終わってる・お払い箱）、大使がバッコフ（＝back off＝失せろ）ってのがツボでした。

初めてのNational Theatre Live、キューブリックの映画は好きなので、大枚叩いて鑑賞。
でも基本会話劇で、自分の能力の限界なのか、笑いのセンスが違うのか、訳が良くないのか、字幕の多さも相まってついて行けず、入れないまま度々意識が飛んだ。

インターミッション(15分)後はだいぶ持ち直したものの、最後まで状況は変わらなかった。




文法と言うより、句読点法の問題だ。

やっぱり僕は、映画の方が好き。