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The History of Sound(原題)
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『The History of Sound(原題)』に投稿された感想・評価

[君と集めたフォークソングについて] 50点

2025年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。オリヴァー・ハーマナス長編六作目。ベン・シャタックによる同名短編小説を本人の脚本で映画化した作品。物語は音楽を"見る"ことが出来るというライオネルが、ケンタッキー州の田舎から出てきてニューイングランド音楽院に入学するところから始まる。彼はそこでフォークソングの収集を趣味としている作曲科のデヴィッドと出会った。それが全ての始まりだった。第一次世界大戦にアメリカが参戦することになって音楽院は閉鎖され、デヴィッドは戦場へ行くことになったが、ライオネルが視力が悪いので免除され、田舎の農場に帰った。2年後、音信不通だったデヴィッドから冬の間に曲の収集をしないかという誘いを受けたライオネルは二つ返事で了承し、二人は短い旅に出ることになる云々。既に様々な媒体で比較されている通り、『ブロークバック・マウンテン』とあまりにも似すぎている。年代記であることやその構成まで似ている。異なる点は彼らが集めるフォークソングにあるのだが、どうにも主軸となる物語とフォークソングとその収集の食い合わせが悪い気がするというか、フォークソングの歌詞や成り立ちが持つある種の普遍性と二人の恋物語が上手く混ざり合ってない気がする。それに加えて、冒頭で登場したライオネルの特技"音を形や色として捉えることができる"というのが最後までよく分からないまま進む(視覚を共有する必要まではないと思うが、完全に忘れられているようではあった)ことや、そもそも二人の出会いから別れから全てに温度を感じないことのせいで、結局は数多ある『ブロークバック・マウンテン』の亜流作品の一つに落ち着いてしまったという印象。主演はポール・メスカルとジョシュ・オコナーで、前者はクロエ・ジャオ『ハムネット』、後者はケリー・ライカート『マスターマインド』にも出演している。彼らの下の世代が出てくるまで暫くは、この二人の独壇場が続くかもしれない。って、これを書きながら気付いたけど、二人ともアメリカ出身じゃないんかい!
4.0
【書く行為の転用としての音楽】
日本では黒澤明『生きる』のリメイクで知られるようになったオリバー・ハーマヌス監督だが、その認識はニコラス・ウィンディング・レフン『ドライヴ』に近い。要はフィルモグラフィーの中ではかなりの異端であるのだ。

南アフリカ出身のオリバー・ハーマヌス監督は同性愛にまつわる作品を軸としており、『Beauty』『Moffie』でスリリングでリスキーな描写でもって同性愛と社会との関係に鋭い眼差しを向けた。

カンヌ国際映画祭に出品された『The History of Sound』もまた、同性愛を扱った作品であり一貫している。一方で、本作は『生きる LIVING』後ともいえよう雰囲気の変容が見受けられ、以前のような荒々しさは息を潜め、静謐に思える世界の中で抱く葛藤へとフォーカスが当たっている。

ニューイングランド音楽院の音楽学生ライオネルはパブでデイヴィッドと出会い同性愛たる関係となっていく。しかし、時は第一次世界大戦。デイヴィッドは徴兵され、ライオネルは学校の閉鎖、父の死で音楽の道を諦めることとなる。数年後、デイヴィッドからフォークソングを集める旅に同行してほしいと頼まれ再び親密な関係となるが、またしても別れてしまう。

本作は、音楽を通じて繋がっては別れを繰り返すライオネルとデイヴィッドとの関係を通じて人生の侘び寂びを表現した内容。物語としてダラダラとしているような印象があるため、カンヌ国際映画祭上映時に低評価だったのも納得だが、感傷的なムードに包まれた人生の悲哀と刹那の感動は日本の観客の方が受け入れられるような気がする。

なんといっても、過去を象徴するものとして物理的な音楽がある点が重要であり、通常は紙を主体にこの手の演出はされるのだが、音を集めていき、最終的に独り愛でる着地へと向かっていく過程が美しく、個人的には好きな一本であった。
2.7
ジョシュオコナー目当てで。
ストーリーに目新しさはないし、後半が結構退屈でちょっと期待外れだったかな〜唯一良かったのは、音楽!
あと、思いがけずアレッサンドロベデッティが出てきてテンション上がったけどあれは何の役だったんや笑

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