[紙を愛する男たちによる地獄の椅子取りゲーム]　50点

2025年ヴェネツィア映画祭コンペティション部門選出作品。2026年アカデミー国際長編映画賞韓国代表。パク・チャヌク長編12作目。ドナルド・ウェストレイク『斧』の二度目の映画化作品(一度目はコスタ＝ガヴラス)。製紙会社で25年の経験を持つ専門家ユ・マンスは、長年の憧れだった生家を取り戻し、最愛の妻ミリ、妻の連れ子シオン、そしてチェロの才能にあふれる娘リオン、二匹の犬と共にこの世の春を謳歌していた。しかし、そんな幸せは会社の合併と解雇によって一瞬にして崩れ去る。長期間定職のないマンスは家を失う寸前まで追い詰められた。ある時、製紙業界の新星"ムーン・ペーパー社"のチェ・チョンソルに屈辱的な扱いを受けたマンスは、彼を殺そうとするが、彼を殺してもポスト狙いが過激化するだけなので、先に自分より優秀なライバルを殺しておこうと思い立つ…云々。資本主義との戦いで犯罪行為に手を染めるという点では『パラサイト』にも似ていて、自宅が自身の置かれる状況を視覚化するメタフォリカルな空間になるのも似ているが、マンスたちは元々は寄生される側に近いところにいる点、戦いの過程で人間性を失って家族がバラバラになっていく点が違いか。殺人シーンは特に無様に描かれていたのが印象的だが、全くハラハラしなかったのは予定調和すぎるからか演出力不足からかは分からない。というか、先の上映時間が決まってたのか？というくらいテンポが悪く、素人の殺人なんてバリエーションもないので、繰り返しに作業感が出てしまっていた(特に二人目)。警察の描かれ方も適当すぎるし。雑誌広告も動画も出してるんだから普通に特定されるだろ。映像も相変わらず仰々しくわざとらしいので、好きになれる要素がなかった。原作は未読だが、本作品のラストシーンは改変されているはずで、原作の描かれた1998年から27年経った21世紀の資本主義への戦いが幕を開けたように思う。

• #2025ofOdessa
• #劇場鑑賞2025ofOdessa
• #Venice2025ofOdessa
• #VeniceofOdessa

エドモントン国際映画祭

そう終わるんだね…

『お嬢さん』の終わり方があんなに爽やかなのはやはり原作があるからなのだろうか…
そして私は『お嬢さん』が最初にみたパク・チャヌク作品だからそういう爽やかな終わりを期待してしまうのだ

一瞬しか出てこない人の人生に思いを馳せさせるのがめちゃくちゃうまいな🥺

原題は「仕方がない」。韓国では9月24日に劇場公開され、地元の映画館でIMAX観覧。

製紙会社で勤めるある一家のサラリーマン。愛らしい妻と子どもたちと暮らし、すべてを成したと思ったが、ある日、突然会社から解雇されてしまう。家族をために一生懸命で再就職を目指すが、切羽詰まれた彼は、自分と同じ競争者たちを除去する計画を決行する。

切羽詰まれた人間は、どこまで残酷になれるのか。果たして人間は、家族を守ため何でもできるのか。残酷な物語だが、人物たちがさらされたあきれな状況に失笑が止まらない。一方で、ほろ苦い選択が我々と社会を振り返らせる。

主人公が勤める会社が'製紙'会社という設定を十分活用して、意味深なメッセージを残る傑作だった。