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エレファント6レコーディング・カンパニー

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『エレファント6レコーディング・カンパニー』に投稿された感想・評価

Mcom
3.7
いい音楽ドキュメンタリーでした。
正直90年代の洋楽シーンはよく知らないんですが、それでも豊富な楽曲とエレファント6の人々の熱量を画面越しで感じられる作品だったと思います。
最高の才能の集まりだったなと。
これを機にエレファント6を履修してみようと思います。
これを読んでる方の、たぶん99%くらいが知らない90年代後半を中心に活躍したアメリカのDIY精神溢れるインディ音楽レーベル「エレファント6」のドキュメンタリー。※正確には「コレクティブ(共同体)というらしい。

このドキュメンタリー、2010年代に10年かけて関係者へインタビューを敢行。2019年に完成したものの、そのDIY精神が故に、なんと

「チラシをレコード屋に置いて、連絡が来た人にVHSテープを貸す」

という、21世紀とはとても思えない方法で公開。その後、ようやくこの2026年に日本でも公開。観に行くのは相当なマニア(俺)しかいないよね、と思ったら俺がフォローしてる方でも3人くらい観てて、さすがfilmarksと思った。

「エレファント6」は、ルイジアナ州のラストンという田舎町で高校時代を送った4人の若者が創始者。なんとなく4人の元に、似たような志向を持つ若者が集まってコミュニティが出来て、安アパートで4トラック機材を使ってみんなで仲良く創作活動に打ち込んでくうちに、「エレファント6」が生まれた。

今風に例えると、創作活動に打ち込んだ「ヤニねこ」みたいな愛すべき連中。フードスタンプを頼りに、酒やドラッグをやりながらその場限りでセッションを続けてく。そこから世界の人に届く音楽を作れるのだから面白い。

音楽的にはローファイと言われるジャンル。参考にしてるのは60年代のビーチボーイズのような甘いハーモニー、ゾンビーズや初期ピンク・フロイド、カート・ベッチャーの諸作のようなサイケデリック風味。出演者の一人は

「1969年ではなく1967年とか68年くらいの感じ」

に影響されたと語る。

ゾンビーズ「オデッセイ&オラクル」、ミレニアム「ビギン」、ハーパースビザール「エニシング・ゴーズ」、ラブ「フォーエバーチェンジズ」、それにロジャー・ニコルス。ビーチボーイズは「スマイル」が完成しなかった時代。ポップスの魔法を信じることの出来た幸せな時代に思いを馳せ、30年近く経って若者たちが新しい音楽を作り出すというのは素敵じゃないか?

とはいえ1960年代だけにのみ影響を受けてるわけではなく、おそらくインディ・レーベルのちょっと先輩、キャルヴィン・ジョンソン率いるKレコーズ(ベックもメジャーデビュー前に1枚出してる)とか、ペイブメント出してたマタドールレコーズからも影響受けてると思う。

その後、Neutral Milk Hotelの2ndアルバムにして最後のスタジオ・アルバム「In The Aeroplane Over The Sea」が、ピッチフォークの「1990年代のロック名盤」で第4位(3位はニルヴァーナで5位はペイブメント)に選ばれたこともあり「エレファント6」は伝説化。ちなみに「アンネ・フランクの日記」にインスパイアされた当作はUSインディー・ロックの名盤として聴き続けられている。

映画「イエスタディ」(2019年 ダニー・ボイル監督)を観たとき、主人公がビートルズの名曲「イエスタディ」を友人たちの前で披露するシーンでも、

「ビートルズとか……ニュートラル・ミルク・ホテル知らないの?」

みたいな台詞があったの、「あー、主人公は音楽好きなんだな」と思って、映画見たときニヤっとしたの覚えてるわ。

……と、ここまでめっちゃ早口で喋ってしまったが、1990年代後半から2000年代前半はめっちゃこのへんのCD買ってた。

ここからは自分語りになるが、CDライブラリから「エレファント6」関係で持ってるアーティスト全部あげとくと

Neutral Milk Hotel、The Olivia Tremor Control、The Apples In Stereo、Of Montreal、Dressy Bessy、Elf Power、The Ladybug Transistor、The Marbles、The Minders

あたり。マジでバイト代を全部CDとレコードに突っ込んで、飢え死にしそうになってた時代。あの頃、もっとテニスとかスキーとかやってれば、もうちょっと陽キャな人生が送れてたかもしれん。ただ、新宿のラフ・トレードとかVinyl Japan、渋谷のシスコにZEST、下北沢のDisc Unionの100円コーナーで過ごした時間、後悔はしていない(負け惜しみ)。

そういえばTower recordsのフリーペーパー「bounce」でピープルツリーっていう、そのバンド周辺の人脈とか音源を詳細に紹介する狂ったページがあったけど、なんかそれ思い出した。

Of Montrealは「Philter Records」ってレーベルのイベントでZepp Tokyoにライブ観にいった。探したらViewsicの映像がYouTubeに貼ってあった。
https://www.youtube.com/watch?v=MdnN4GfLSBU

最後にほとんど自分への備忘録として、主要な4バンドから1曲づつ貼っておく。

Jumping Fences / The Olivia Tremor Control
https://youtu.be/58wXs1-JZvI
→中期ビートルズみたいなサイケかつハーモニーの素敵な曲。これはピッチフォークでの演奏

Tidal Wave / The Apples In Stereo
https://youtu.be/1wajl4oCw9Q
→冒頭のギターとボーカルが入るところめちゃくちゃカッコいい

Song Against Sex / Neutral Milk Hotel
https://youtu.be/lFFusRQGTUg?t=66
→粗削りだけど前のめりな歌が疾走感あって素敵

Baby / Of montreal
https://youtu.be/-NaiohCukOI
ローファイなんだけどとてもメロディが切なくて好き

現在、Apples In Stereoのロバート・シュナイダーは、ミシガン技術大学で数理科学科の助教授として数学を教えている。

残念ながらThe Olivia Tremor Controlの二人、ビル・ドスとウィル・カレン・ハートはすでに他界してしまったとのこと。

「エレファント6」の若者たちが1960年代に憧れて音楽を始めたように、30年後の現在の若者たちが、このような作品に刺激を受けて何か新しいものを作りだしてくれると嬉しい(俺も明日から本気だす)。

最後に、今日は火曜日で祝日ということで、The Mindersの名盤「Hooray for Tuesday(火曜日に万歳!)」より「Yeah Yeah Yeah」を貼っておく。
https://youtu.be/4Ux5W44P2Nc

みなさん、よい祝日&お盆をお過ごしください。

(おしまい)
菩薩
-
にわかファンなので多くも深くも語れないのだが、エレファント6をダダ→シュルレアリスム→フルクサスから派生した芸術運動として見る事もまた可能なのでは?なんて事を思った。にしても豊かなコミュニティ、コレクティブで、誰もが主役であり脇役であり、自分の音を鳴らし歌を歌う事に積極的で、今日のインディロックの隆盛とはまた違う異形の才能の塊に改めて驚く、ただそんなユートピアが永続しないのもまた宿命…。情報量、速度共に猛烈なので正直ちょっと疲れたが面白い音楽ドキュメンタリーだった。

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