“リボルバーのロールス・ロイス”と称されるコルト社の誇る名銃パイソンをタイトルにしたイヴ・モンタン主演のフィルム・ノワール。
少々使いづらいシリンダーラッチや粘りあるダブルアクションといった欠点も、ロイヤルブルーで表面仕上げされた美しく輝く独特なデザインの前では霞んでしまう、冴羽獠も愛用する芸術品。

そんな愛銃パイソンだけを信頼する孤独な中年刑事フェロー (モンタン)は、ある事件をきっかけにイタリア娘と出会い結ばれるが、ある晩彼女は何者かに殺害されてしまう。
捜査上に出てくる証拠品は全てフェローを犯人と示す物ばかりで、全てが狂い始める。
刑事としての勘を頼りに、真犯人との駆引きが息を呑む。

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アラン•コルノー監督の長編2作目。
イヴ•モンタン主演の異色フレンチノワール。

ジャケ写がいかにもな雰囲気だが、ハードボイルドを期待すると肩透かしを食らう。若い女に翻弄され人生が狂いだす焦燥感と悲哀が漂う中年刑事の姿を描いたカルト的人気作品、ようやく鑑賞。


◉ストーリー
フェローはミニマルな部屋で独り暮らし。職務に有能な孤高の部長刑事。朝起きると目玉焼きを作る傍ら、愛銃コルトパイソン357の弾丸をハンドメイドしている。いかにもなハードボイルドを生きる男だった。しかし、謎多き女シルビアに出会い恋に落ちる。だがシルビアは上司のガネイ署長の愛人だった。互いに惹かれ合い深い関係になった矢先のある晩、シルビアが自宅で死体で発見される。周辺住人たちの証言はシルビアと一緒にいた男を目撃していて、なんと殺人の嫌疑が自分に向いているのを察知したフェローは、証拠隠滅を図るために驚きの行動に出るのだった...



50を過ぎた男が若い女に翻弄されてまさかの犯人に疑われ嘘に嘘を重ねていく。
署長の妻は病気で寝たきりの車椅子生活で、夫の不倫に寛容な姿勢を示しシルビアとの仲は公認。
フェローの若い部下が気を利かせるラストシーンが印象的だった。



この作品はキャストの関係性を楽しめる。

⚫︎イヴ•モンタン（55歳）は『仁義』でも元警官役。若くないのでアクションは多くないが決めどころはしっかりありました。

⚫︎シルビアは『暗殺の森』等のステファニア•サンドレッリ（30歳）

⚫︎ガネイは『居酒屋』等のフランソワ•ペリエ（58歳）

⚫︎ガネイの妻はシモーヌ•シニョレ（55歳）
なんとイヴ•モンタンと絡みは少ないながらも夫婦共演でした。
観終わって知ったんですが、モンタンがマリリン•モンローと不倫してシニョレは自殺未遂を...でも64歳で亡くなるまで夫婦関係は続いたんですね。


『仁義』に似せた弾丸を作るシーンを取り入れたのは、コルノー監督によるジャン•ピエール•メルヴィル監督へのオマージュとも言えるのでしょうか？

これは面白い！！！
ヒッチコック作品にダーティーハリーをくっつけたみたいな展開で最高
どんどん窮地に追いつめられる主人公がどう事件を解決するのか予想できない
ラストの銃撃戦はカッコイイ

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