【一人じゃないっていいよね】
英国の下級階層の人たちのリアルな生態を時に残酷に、時にユーモラスに綴ったマイク・リー監督らしい不可思議で掴みどころのないネットリとした演出が印象的な快作(怪作?)。
主演のデヴィッド・シューリスの半ばニート的な風貌には笑わせる。漫画で例えるなら『俺はまだ本気出してないだけ』みたいな感じか⁉️
堕落した人間たちを愛でるように描いてる辺りはスコセッシや今村昌平にも似ており重喜劇的なアプローチだと思うんだが、英国映画によくある品格…或いはクソ真面目さよりも遥かに庶民性の方が優っている点が肝心。とても朗らかで人間愛に満ちた映画だと思っている。(笑)
バロック音楽みたいなスコアも若干ミスマッチながら後を引く感じがあり、同じ英国に於ける貧困層を描くケン・ローチよりもずっと好感の持てる作品。娯楽性が高く決して敷居は高くないのでフレンドリーな味わいがある。主人公がヤケクソに進んでいくラストも爆笑できて痛快そのもの。