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光る女
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『光る女』に投稿された感想・評価

4.6
【オペラ・デスマッチ】

相米慎二監督×武藤敬司主演の1987年の作品

〈あらすじ〉
北海道の滝上町から、熊のような大男・松波仙作が東京へやってくる。彼の目的は、東京へ行ったきり連絡が途絶えてしまった婚約者・桜栗子を捜し出すことだった。そこで、怪しげなナイトクラブ「ジョコンダ」のオーナー・尻内に拾われ、クラブの地下で行われている秘密の賭け格闘試合のリングに出場することになり…。

〈所感〉
珍作。相米慎二監督がプロレスラーのレジェンド・武藤敬司を主演に迎え、北海道から上京した大男と、声を失った元オペラ歌手の歌姫との宿命的な愛を描いた異色のファンタジー・ロマンス。そういえば私が小学生の頃、地方公演で初めてプロレスを見に行ったときに、何かのイベントで武藤敬司と握手したなぁというのを思い出した。子供からしたら当然だが、力強い太くて大きい腕だった。そんな武藤敬司が本作では、まさに野人のような佇まいで、東京の街を闊歩する姿が周りとの異様なギャップを生んでいて面白い。勿論、演技で言うとそこまでではあったのだが、あの怪しいナイトクラブでオペラが入り交じった中のデスマッチで見せる、動きは本職とあって素晴らしい。派手なエンタメ性とベーシックなスタイルを併せ持ち、観客を魅了するオーラとセンスを放っている。プールでの芳乃への求婚シーンは一見暴力的だが、その狂った彩度がどこか彼らの戯れを幻想的に映し出す。また、栗子と芳乃が初めて電話で話す場面では、物理的な距離を超越するかのように、クラブで受話器を取る芳乃の背後の暗がりに栗子が存在するかのような独特の映像表現が使われていて、回転する床も舞台演出として異質ながら目を引くものがある。何より相米映画はラストシーンが如実に記憶に残る。本作も例に漏れず。興行的には失敗したのも頷けるし、なんかチグハグな作品ではあると思うが、全体的にシュールで開放感のあるユニークな逸品でした🙂

"俺の嫁になってくれねえか?"

《2026年 636本目》
あー美しかった〜あー素晴らしかった〜幻想的で芝居のような創作劇だ。相米慎二監督の4K修復版を見れて幸せでした。私の最も好きな題材だ。山で生まれた山男と、歌えないソプラノ歌手のありえないような出会いと、愛と救済の物語。純粋にただ心だけに集中し、他のまがい物は一切ない。しかし、モチ現実が舞台だし、恐ろしい大都会の、垢にまみれた大金持ちやヤクザやクズが集まる世界の中で繰り広げられるから、純粋であればあるほど、彼らはクズ達の食い物にされる。安田成美が若い!まだ20歳くらいだったのかな。令和の人たちからすると田舎から出てきて、クリコがなぜここまで簡単に堕ちてしまったのか疑問だと思うが、当時の世の中は演歌みたいな世界だったのですよね。実に芸術だね、素晴らしい作品でした。
菩薩
3.6
確か5年前くらいにフィルセンでかかった時に休みだったのに京橋まで行くのダルい…との理由だけで行かなかったら後々後悔し過ぎてゲロ吐きそうになったのでようやく観られて感慨深い物があるが、予想以上に怪作で珍作だったもので正式に困惑している。途中何度か冷静に自分は今何を観ているんだろう…と頭を抱えそうになったが、結局最後まで自分が何を観ているかはよく分からなかった。言うなればまぁキングコングなのだろうしそこにフェリーリやら寺山が加わるいつものテイストなのだろうが、突然水のない例のプールでおせっせが始まったと思ったら、バス人体発火爆発が発生したりと説明のつかない事しか起きない、そもそも裸足の武藤がゴミ山を歩いてたら粗大ゴミの山の上で秋吉がオペラしてる最初から説明不能なのだが…。街中のシーンはゲリラなのか通行人が武藤に冷ややかな視線を浴びせているし、コンサートシーンはちゃんとしたエキストラなのか主演二人より演技らしい演技をしている。主演二人は終始台詞カタカナなんかっ?とツッコミを入れたくなる程のカチカチ棒読みで、ごっつええ感じの「産ませてよ」ばりに辿々しいのだが、いざ運動が始まると一転して流石の武藤である。電話のシーンではいとも容易く時空を超えるし、しかも塩田千春より前に塩田千春みたいな美術をしている、秋吉が武藤を探しにいく際の謎の廃屋は小林正樹の『怪談』ぽい。理解も想像も超えた先に突如広がるユートピア、ここでようやく冒頭のゴミ山がこのラストシーンの裏返しである事に気付く。にしても武藤のケツがめちゃくちゃ綺麗だ、これを観て「『光る女』を成功させる会」の人達が何を思ったのか知りたい。

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