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『BROTHER』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

3.9
 カリフォルニア行きのタクシーの車中、英語が話せない山本(ビートたけし)は強張った表情を浮かべながら、一点を見つめていた。運転手は「いい女を紹介しようか?」と笑いながら話すが、英語が話せない彼は無反応だ。やがてホテルにチェック・インし、ドア・ボーイに100ドルのチップを気前良く渡す。数ヶ月前の東京、花岡組の幹部だった山本は花岡の身に危険が迫るのを察知する。場末のキャバレー、貸し切りで飲む花岡はクラブのママ(かたせ梨乃)に上機嫌で話しかけるが、ある従業員の怪しい行動が目に留まる。山本は抗争相手を後ろから撃つことにも躊躇しない冷酷無比な男だった。弟分の加藤(寺島進)を従え、兄弟分の盃を受けた原田(大杉漣)とも緊密な関係を築いて来たが、平和な日々はある日突然、崩壊する。組長は殺され、警察官僚(大竹まこと)と久松組幹部(六平直政)の組織解体への見えないプレッシャーを感じ、花岡組は2つに割れた。花岡組長をたった1人の師と仰ぐ山本は、原田たちの久松組合流を快く思わず、追われるように、留学したまま消息が絶えてしまった腹違いの弟のケン(真木蔵人)を頼って単身、アメリカに渡る。ケンに会いに行く道中、黒人の男デニー(オマー・エップス)と路上でぶつかった山本は、躊躇なくデニーの左目を割れた赤ワインの瓶で小突く。この場面の衝撃は、初期作品の頭突きのように至近距離から唐突に繰り出されたいわば「不意打ち」の手つきである。

 散々煙たがられた山本のアメリカへの旅は、『3-4x10月』や『ソナチネ』の沖縄への旅と同工異曲の様相を呈し、その目的はただただ雲散霧消化し、本筋を逸れて行く。山本は原田の進言が無意味なものであることを最初から熟知している。すっかりアメリカナイズされ、彼らの流儀で生きるケンとは対照的に、山本はもはや時代遅れとなった任侠の世界を地で行く。英語を話せず、多めにチップを配る山本の姿は滑稽に描写されるが、数十年間貫いて来た仁義を今更変える気など毛頭ない。ヤクザ流でシマを拡大する山本の強引なやり方に最初はケンもジェイもデニーも困惑した表情を浮かべるが、次第に山本の死をも恐れない大胆さの虜になる。花岡組長を生涯の師とした山本と同様に、加藤も山本に何があっても突いて行く昔気質で時代遅れのヤクザだが、彼の身を呈した自己主張がやがて組織に悲劇をもたらす。ここには武が『その男、凶暴につき』から『ソナチネ』で見せた自殺志願者たちの死をも恐れぬ欲望が露わになる。加藤のこめかみに突きつけられた拳銃、原田が仁政会組長(渡哲也)の前で見せた割腹未遂、死をも恐れぬ任侠精神はやがて日本人の血に伝染して行くが、黒人たちにはわからない。「Fuckin' Jap」の滑稽さのメタファーとなる加藤のバスケット・ボールの場面の秀逸さ、『HANA-BI』でトランプ・ゲームに興じた西と美幸夫婦のように、デニーと山本とは賭けに興じるたびに友情を深めるが、日本人の精神性までは理解し得ない。今作はヤクザとマフィア、ドラッグ・ディーラーとの違いを明らかにしながら、滅びの美学に興じる日本人の殉教精神の狂気をも露わにする。クライマックスのダイナーの場面は、武が憧れたアメリカン・ニュー・シネマそのものの残酷で痛ましい末路に他ならない。
NAOKI

NAOKIの感想・評価

3.7
黒塗りのベンツはいつものように家の前で待っていた。
山下は車に乗り込むと運転席のリョウジに言った。
「事務所まで頼む」
「はい」
リョウジは車を出した。
山下はいわゆる反社会的組織の一員だったが最近はそんな毎日に何かしら空しさも覚えていた。
組のトップは幹部も含めてあらかた引っ張られて服役中だ…
警察はここぞとばかり反社会勢力の壊滅に動き出し、多くの仲間が足を洗って組を抜けた…
もっとも堅気への再就職に苦しんではいるようだが…

「音楽でもかけますか?」
リョウジが聞く…
「ああ、頼む」
車内に軽快なジャズが流れはじめる。
若い頃から趣味らしい趣味もなく、音楽を聴くことなどもなかった。
最近…聞き始めジャズがお気に入りだ。
極道には歳をとってからそういった趣味に走る人間がよくいる。
カラオケにはまって自宅にミラーボール付きのステージを作ってしまった人や、古美術や骨董にはまって財産つぎ込んでのめり込んだ人を…山下は知っていた…

「リョウジ…これは誰のなんという曲だ?」
リョウジはモニターを読んだ…
「えーと、フレディ・レッドの『Who killed Cock Robin』ですね…」
「フー・キルド・コック・ロビン?誰がコック・ロビンを殺したか?なかなか物騒な曲なんだな…」
「はい…」

いかにもフランスの暗黒街の映画に出てくるクラブでかかっていそうな楽曲だ…コック・ロビン…誰なんだろうな?暗黒街のボスかなにかか?そいつが暗殺されたような曲なのかな?
山下はその軽快なジャズに何かしら闇を感じて…事務所までのつかの間…車内でのジャズと妄想を楽しんだ。

車を降り際に山下はリョウジに言った。
「リョウジ…暇なときでいい…コック・ロビンについて調べて…今度教えてくれ」
「はい…わかりました」


皆さんは反社会勢力…ヤクザやギャング…好きですか?
「おれがそうだよ!」
って人もいるかもしれませんが…大抵一般の方々はなるべく関わらないようにしたいもんだと思っているでしょう?

おれだってそうです…現実には関わりたくないし、憧れてる訳でもありません。

なのに洋邦問わずヤクザ/ギャング映画は作られ続け…みんな喜んで観てるわけです…なぜか?

「映画はメタファー」という典型ですね。例えばゾンビ映画が格差社会のメタファーであるようにギャング映画も人の営みのメタファーになっているからでしょう。
「ゴッド・ファーザー」はシシリーからの移民一家を描きながらもアメリカ社会そのままの縮図になっていたし、「仁義なき戦い」は戦後の日本の政治闘争を模していると言われます。
今、まさに日産で起こってるゴーン騒ぎなんてまさに日仏対立の構図をそのままにヤクザ映画が作れそう…
「ファッキン・ジャップくらい分かるよ!ばかやろう!」
…というわけです。

人は地味な慎ましい自分の生活を派手でアクションに満ちたギャング映画に重ねて楽しんでいるのでしょう。

この「BROTHER」の前だったか後だったか…
「もう、ギャング映画は作らない」
…とたけしが宣言したことがありました…
たけしの「暴力映画」のファンであるおれは大いに落胆しましたが…その後「アウトレイジ」三部作を完成させてくれました。
この「BROTHER」はその原点とも思える映画です。

日本に居場所がなくなったヤクザが渡米して結局同じ暴力の連鎖を続けていく…

ロスの打ち捨てられたようなビルの屋上から飛ばす紙ヒコーキのシーンが大好きでした…


「リョウジ!起きなくていいの?遅刻してない?」
茶髪で素っ裸のリコが熟睡しているリョウジのブランケットを引き剥がす…

「うるせえな…山下さんが逮捕されたから…もうしばらく迎えはないんだよ…昨夜は遅かったんだ…寝かせてくれ」
「怪しいね…よーしスマホチェーック!」
「やめろよ…人の携帯…」
「怪しいラインは…ないみたいね…ようし検索履歴チェーック!これなに?『コック・ロビン』?」
「あぁ、山下さんに調べとけって言われたんだった…もう、いいんだよ…逮捕されたし」
「誰がコック・ロビンを殺したか?…」
「え?リコ…知ってんの?」
「コック・ロビンはコマドリのことだよ」
「コマドリ?コマドリ姉妹の?!」
「マザーグースの一節だよ…『誰がコマドリを殺したか?』って」
「まざーぐーす?」
「ねぇねぇ…なんでヤクザがマザーグースのことなんか調べてんの?」

「知らねぇよ」
ほーく

ほーくの感想・評価

3.9
蔵出しレビュー。
時は、2001年2月19日

【破滅願望】
私にも、少しあります。


邦題「BROTHER」
原題「BROTHER」
破滅願望と己の意地、これがキタノワールドだ。
<コメント>
 北野武の映画は、いつもこうだ。と思ってもいいぐらいじゃないだろうか。すくなくとも、己の意地というものはいつも強烈に伝わってくる。己の意地と保身とを秤にかけると、迷わず意地を通す。たとえ、その先に破滅が明らかに広がっていようとも・・・。そういう北野武の世界観には、とても強く惹かれる。なぜなら、ぼくらはどうしても計算してしまうから、打算ぬきでは動けないから。
 キャストに関しては、文句なし・・・といいたいところだが、一点だけ。渡哲也親分だけはどーもねえ(笑)。それ以外は最良。もはや北野作品には必須アイテムな寺島進&大杉漣。キレてる加藤雅也。なんといっても最高なのは、やはりオマー@デニー。ラストシーンの彼の口からでた「BROTHER!」。これがこの作品の総てを語る。
最後に。なーんか変わったスーツだなと思ったら、そうですかヨージ・ヤマモトですか

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