あれだけ清貧に甘んじてたジャベスの変貌ぶりが笑っちゃうほど露骨で、中盤から急に登場する使用人のベラはなんだか余計なキャラに感じた。契約満了直前に正気を取り戻したジャベスの権利を巡り、ウェブスターが彼の弁護人となって、かつて悪魔と契約した死者を陪審員として呼び出した裁判が繰り広げられるクライマックスが圧巻。ウェブスターの大演説が、アメリカ建国の精神に立ち返って人としての尊厳を訴える感動的な内容で、公開年からして国威発揚的な雰囲気も漂う。原作小説のタイトルは“The Devil and Daniel Webster”で、それまでジャベスを主人公として進んできた話が、終盤で一気にウェブスターが主役に踊り出る展開がスリリングだった。