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『女優』に投稿された感想・評価

◎新劇女優山田五十鈴百化け爆誕on松井須磨子

1947年 東宝 モノクロ 114分 スタンダード
*前半ホワイトノイズ多く聴き取りにくし

山田五十鈴(1917-2012)と言えば今まで和服姿しか思い浮かばないほど伝統的な日本女性を演じて来た人という印象が強かったが、本作では新劇黎明期の女優松井須磨子(1886-1919)役に挑んでいる。

実際に須磨子が上演した舞台の諸役の扮装も本格的に見せ、トルストイの『復活』は舞台装置も本式に再現して挿入歌として大ヒットした「カチューシャの歌」もベルさんがなかなかの美声で披露している。

【以下ネタバレ注意⚠️】






二度の離婚で心身に深い傷を負った小林正子(山田五十鈴)は女優を志して文芸協会の演劇研究所の募集に応募して合格。
そこで『人形の家』を演出した島村抱月(土方与志)にノラ役を抜擢されたことから女優松井須磨子として頭角を現すとともに、妻子ある彼と不倫関係となる。

このスキャンダルから抱月は早稲田大学教授の退任を余儀なくされ、二人は文芸協会からも追放された。

そうした逆風をものともせず二人は芸術座を立ち上げ、演出家としての抱月も、須磨子も数多くの舞台を成功させ人気を博すが‥‥

抱月は急性肺炎を得て急死。
主宰者を喪った劇団の経営や抱月の妻伊都子(赤木蘭子)との遺産をめぐる争いに疲れた須磨子は、一人劇団事務所に残り、抱月の後を追ったのだった。

‥‥ということで、女優という職業自体が世間的には白眼視されたなか、舞台に対しても、尊敬する指導者抱月との愛に対しても怯むことなく猛然と自己を貫いた松井須磨子という劇烈(激烈という文字よりこちらが妥当だろう)な個性を、山田五十鈴が生な感情をむき出しにして体当たりで演じていて目を離すことができない。

山田五十鈴もまた演技者としての自己を貫いて須磨子同様に不倫愛にも突き進み、逆に娘(瑳峨美智子)へは愛情を注ぐことを知らなかったという意味で、須磨子と共振する内実があったのだろう。

だから、と言って良いのか、本作はマスターピースというより問題作、怪作に近いと思う。

有楽座の支配人倉本源四郎を演ずる志村喬や楽屋番の平助を演ずる三島雅夫らをはじめ大勢の劇団員ら、いわゆる通常運転の俳優陣も多いのだが、須磨子の山田五十鈴と、抱月の土方与志、その盟友である福原圭介を演じた薄田研二の3人は彼らとは全く肌あいの異なる「生な」姿を銀幕に晒しているのだ。

伯爵家に生まれた土方与志(1898-1959)は学習院高等科時代から演劇活動を開始し1924年に自らの出資により築地小劇場を創設、さまざまな転変を経るも演出家として活躍し、プロレタリア・リアリズムを標榜する左翼的な新劇活動の牽引者だった(*1 )。

*1
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/土方与志

そして、彼と同年齢の薄田研二(1898-1972)も、築地小劇場の研究生として俳優活動を開始し、小山内薫没後の劇団分裂騒動では土方与志を支持して、ともに新築地劇団の創設メンバーに名を連ねた(*2 )、実生活においても土方の盟友であった人物だったようだ。

*2
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/新築地劇団

つまり、本作は、日本の新劇界を坪内逍遥とともに草創した抱月を、その後を小山内薫とともに逐うようにして並走して行った土方与志に薄田研二を随伴させる形で演じさせ、山田五十鈴という天才女優を依代に松井須磨子を憑依させて、文芸協会から芸術座の活動までを再現しようとした、極めて実験的な映画/演劇だと言えるのではなかろうか。

もとより衣笠貞之助(1896-1982)は新派出身で、戦後は時代物や世話物の名作が多かったことから保守的な監督と見られがちだが、実際には日本初のシュールレアリズム映画『狂った一頁』(1926年 2024.8.8レビュー)によって現在に至るまで大きなインパクトを与え続けているアヴァンギャルドな映像作家だったのだ。

本作においても、上記のような特殊な俳優陣の配置による実験性の他にも、カメラアングルやショットの撮り方においてもウェルメイドではない前衛性を感じ取ることができる。

実際に本作も東宝争議の甚大な影響下で製作された訳だが、日本の左翼運動の中心の一つでもあった日本の新劇界の黎明期を、松井須磨子と島村抱月を題材に、山田五十鈴と土方与志という実際の担い手たちによって描き出した、二層にも三層にも重なりあった史実を反映した、まさに学ぶべきところの実に多い一作だ。

《その他の参考》
*3
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/女優_(1947年の映画)

*4 女優(1947)
1947年12月9日公開、115分
moviewalker.jp/mv26721/

*5 大衆文化評論家 指田文夫の「さすらい日乗」
『女優』 2013/2/6
sasurai.biz/0002790.html

*6 礫川全次のコラムと名言 13/11/21 08:21
『女優』で映画に初出演した演出家の土方与志
blog.goo.ne.jp/514303/e/1e49773f17cab06acbc294c6e3b34f43

*7 老いの愉しみ 2016/07/09 06:27
戦前戦後を通じて日本代表する女優・山田五十鈴
blog.livedoor.jp/liveyousan/archives/8733575.html

*8 脇役本 増補Web版 2024-08-25
女優の家 赤木蘭子 濱田研吾(はまだ・けんご)
hamadakengo.hatenablog.jp/entry/2024/08/25/211519

*9 キネノート
www.kinenote.com/sp/public/cinema/detail.aspx?cinema_id=26903

《上映館公式ページ》
京都文化博物館
悩み躓く偉人達
2024.12.10(火) 〜 12.27(金)
会場: 3階 フィルムシアター
www.bunpaku.or.jp/exhi_film_post/20241210-1227/
ニッコニコした笑顔や必死にバレエの練習してたりパツキンのカツラ被ってドレスで舞台に立つ山田五十鈴がとても新鮮だった。
だって山田五十鈴のイメージって100%和装なんだもん(笑)
4.0
松井須磨子を描いた衣笠貞之助監督作品。1947年。東宝。主演:山田五十鈴。同年に松竹で溝口健二監督の「女優須磨子の恋」(主演:田中絹代)も公開されているが、全く同じテーマの作品が同じタイミングで封切られたのには何か理由があったのだろうか。

それはともかく、“因習からの解放を求めて思うままに生きた女優” というテーマを前面に押し出した本作は、何だか奥歯に物が挟まった感がある溝口版に比べて分りやすく面白い。演じる山田五十鈴も、まさに本質からして須磨子そのものといった感じで、ぴったり嵌っている。加えて、そうした自由な女性が放つ光に照射されることで、劇団員の男たち(全員では無いが)の醜悪さ、運営や権力やプライドが醸し出す嫌らしさが、浮き彫りにされていてとても良い。

一方、島村抱月が亡くなった後の須磨子の描かれ方は、感情が行きつ戻りつしていて(それが狙いなのかもしれないが)何だか良くわからない。この点については、田中絹代の演技が鬼気迫っていた溝口版に軍配が上がるように思う。

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