セルバンテス文化センターで行なわれた「3×3 映画上映会」で鑑賞。

ざっくり言ってしまえば母娘の認知症ものだが、普段あまり見ることのないメキシコ映画は、途中まではホームビデオを見ているような、よく言えば自然な演出。後半になって物語は展開するものの、普段見ているような商業映画とは違い、見るのにもスキルがいる感じ。このテーマでの映画には名作が多いだけに、まずまずな印象。

ラテン！ラテン！ラテン！にて鑑賞。自分の人生を生きてイキイキしている母親がアルツハイマーになってしまう。誰にでも突然に起こりうるできごとだし、誰も責めることはできない病だから本当に苛酷だなとしみじみ思った。

迷惑をかけたくないけど施設で雑な扱いを受けたくない、最後までちゃんと1人の人間として扱ってほしいという母の気持ち。人としてそれを望むのは自然なことだろう。一方、自分の名前も忘れ、どんどん別人のようになっていってしまう母の世話をする娘は疲れや哀しみ、戸惑いでいっぱいだ。
幼児なら許されても大人にとっては恥でしかないことをしてしまった（あたりまえにできていたことができなくなった）と自覚した瞬間、この病はいっきに加速する印象がある。プライドが、人格が崩壊してしまうということなのだろうが、作品の中でも印象に残るシーンになっていた。

孫役のコスモ君がとっても可愛い！

Action Inc.ラテン映画特集。感情移入しにくい人物とキツい話なんだが植物と昆虫の映像でメルヘンのような不思議な感触に。挿入される薬草図鑑の頁が鎮静効果を、演奏される音楽が高揚効果を生む演出も味わい。