▪️JPTitle :「失はれた地平線」
ORTitle:「Lost Horizon」
▪️First Release Year : 1937
▪️JP Release Date : 1937/04
▪️Production Country : アメリカ
🏆Main Awards : 第10回アカデミー賞
美術賞 編集賞
▪️Appreciation Record : 2022-201 再鑑賞
🕰Running Time : 132分
▪️Director : フランク・キャプラ
▪️Writer : ロバート・リスキン
▪️MusicD : ディミトリ・ティオムキン
▪️Cast : ロナルド・コールマン、ジェーン・ワイアット、H・B・ワーナー
▪️Review
🖋いつも最後は幸せな気持ちにしてくれるフランク・キャプラ。なので大好きな監督です。そのキャプラが理想郷『シャングリラ』を初めて映像化しました。決まり事は“他者を愛することだけ”。それで長寿や健康や心の豊かさを実現できる世界を映像で描きました。当時から現代社会でも通用する、過度な生存競争や戦争、不要な争いなどを痛烈に批判した作品です。こころが安寧で有れば長寿すら可能になる、そんなことを見事に描いています。そう、人々の持つべき心の拠り所を幻想的に描いたフランク・キャプラの一風変わった作風で、彼の理想の世界を表現した異色の作品です。

🖋当初の予算をはるかにオーバーした製作費200万ドル。シャングリ・ラの造型、及び吹雪の特撮等、今見ても見事な仕上がりを観せています。スタジオ撮影を感じさせない素晴らしい仕上がりですね。アカデミー賞美術賞も納得です。

🖋原作は発表当時、社会現象になり長期にわたり売上1位となりました。理想郷を表す『シャングリラ』が初めて使われた作品として有名です。とりわけルーズベルト大統領が愛読し、大統領専用の公設別荘をシャングリラと名付けたと言われています。（参考:Wikipedia）

🖋またオープニングクレジットにもありますが、1937年公開当時132分だったオリジナル版は年月を経るうち25分ほどカットされた短縮版で上映されていました。 1967年にはオリジナル・ネガは完全に損傷し、完全版のフィルムも消失してしまいました。1973年に完全版復元のため世界中に現存する資料とフィルムを集め、25分の映像 （発見できなかった部の映像は製作時のスチール写真とフィルムから作った静止画のイメージで埋めました） と132分のサウンド・トラックを復元した貴重な復刻版となっています。

🖋物語は。。。
イギリス外交官ロバート・コンウェイらを乗せ、戦乱の中国から飛び立った飛行機はハイジャックに遭います。予定外のコースをたどる飛行機は、折からの暴風雨と燃料不足のため、雪深いチベットの奥地に不時着してしまいます。死を覚悟した生存者全員の前に、やがて、どこからともなく現れた一人のラマ教寺院の僧チャン。 彼はコンウェイたちを、いまだかつて誰も足を踏み入れたことがない伝説の理想郷”シャングリラ”へと導いていきます。。。

▪️Overview （映画. comより）
ジェームズ・ヒルトンのベストセラー小説を、名匠フランク・キャプラ監督が映画化したファンタジック・アドベンチャー。英国領事ロバート・コンウェイらを乗せた飛行機がヒマラヤ山中に不時着する。なんとか脱出したものの吹雪の中をさまよっていた乗客たちは、中国人チャンの案内によって理想郷シャングリ・ラへと導かれる。誰もが幸せに暮らすその地を治める250歳のラマ高僧は、ロバートを自分の後継者に指名するのだが……。

未来

イギリスの外交官ロバート・コンウェイらを乗せた飛行機がヒマラヤ山中に不時着する
なんとか脱出したものの吹雪の中をさまよっていた乗客たちは、中国人チャンの案内によって理想郷シャングリラへと導かれる
誰もが幸せに暮らすその地を治めるラマ高僧は、ロバートを自分の後継者に指名するのだが……

ジェームズ・ヒルトンのベストセラー小説を、名匠フランク・キャプラ監督が映画化したファンタジックアドベンチャー

スゴイ人生ですね

浪漫があります
メッセージ性というかラストがナイス

理想郷と極限状態の対比
なかなかです

飛行機シーンや色んな雪が良かった

暮らしぶりが見応えあり
衣装、女性たちも印象的でした

ジェーン・ワイアットが可愛い

フィルムは、いつか完全に復元して欲しいです

1930年代に制作されたとは思えない、ベストセラー小説のフランク・キャプラ監督によるSF小説の映画化。

1931年、アフガニスタンのパスクルから白人を逃がす手助けをしていたイギリス人のコンウェイ。政府手配の小型機に乗り込むも、実は操縦士は本来の担当ではなく、目的地ペシャワールではなくチベットの奥地に不時着。着地の際に飛行機は事故を起こし、命からがら抜け出したコンウェイたちの前に中国人の一行が駆け付け、彼らの僧院に案内されるが…。

いわゆる”シャングリラ”（理想郷）という言葉が初めて使われた作品とのこと。コンウェイたちが訪れた僧院では、250歳になる老僧のもとで人々は幸福に暮らしています。徹底的に秩序が保たれた理想郷での暮らしに誰もが夢を抱きますが、その一方で実は問題も抱えており…と先が読めない展開に終始ハラハラ。いつの世も人々はシャングリラを求め続けるも、その過程で対立が生じ、紛争が起きてしまう…。今を生きる私たちにとっても耳が痛い、永遠のテーマです。
ロナルド・コールマン扮するコンウェイはじめ、それぞれの価値観やシャングリラに対する思いが浮き彫りになっていく人間ドラマの描き方は、さすがの名匠キャプラ作品…！！

時代背景もあってか、戦争について批判しているシーンなどが戦時中にカットになったりしたそうで、1970年代になってAFIがフィルムの修復に乗り出したとのこと。確かに映画を観てみると、時折静止画のシーンが登場。映画を観るにあたってはストーリーの進みなど違和感が生じるわけではないのですが、あまり体験したことがなかったので新鮮でした！
私たちが古い映画を難なく観られている背景に、膨大な数のフィルムを収集・修復する地道な作業もあるのだなと何だか勉強になりました。

本作のミュージカル版が1973年にコロンビア映画から公開され、歴史的な大コケをしてしまったせいで、いわゆる豪華なミュージカル映画がほとんど制作されなくなったという、長年のハリウッドの映画史にとっては特筆すべき事件があったそうなのですが、そのミュージカル版をいつかどうしても観たい…！！