19世紀から20世紀に移ろうイタリア・フィレンツェを舞台に、青年メテロの階級闘争を描いた人間ドラマ。

かつて革命に身を投じたメテロの父親と同じ運命をたどり、支配階級の搾取や国内の王政主義によって自らの階級意識とストライキへの奮闘を綴りながらも、
恋愛や家庭のあるあるネタもちゃんと盛り込んである本作。

公開当時はフランス五月革命以降、先進国では続々と学生や労働者によるストライキやデモが頻発し、左翼化の勢いが凄まじかった時代。
世代を通して受け継がれる階級闘争の模様は、当時の人々をも煽動する意識が見て取れます。

ただアナキストとして反体制を唱え、勇猛果敢に奮闘する男の姿だけを描くのではなく、
身を削りながらそれを健気に支える女性にしっかり寄り添った脚本も素晴らしい。

男が女に(というか色事に)滅法弱い性質はいつの時代も変わることがなく、
搾取と戦うメテロが女性問題ではある意味で搾取されちゃってる構図もなかなか秀逸です。
メテロに激しい共感を覚えつつも、嫁さんには本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになる…。
でもやっぱり隣の奥さんのセックスアピールはまじで最高。

愛を通してまたひとつ成長できたメテロは、続いてファシズムが台頭する激動の時代へと突き進んでゆくことになるのでしょう。

そんな脚本を手掛けたのはヴィスコンティやデ・シーカなど、ネオレアリズモ時代から数々の名作を世に送り出してきた巨匠ズーソ・チェッキ・ダミーコ。

父の出所と息子の出所がシンクロする演出、フェルメールを彷彿とさせる絵画的構図やエンニオ・モリコーネの甘美なスコアも印象的です。

• #イタリアネオクラッシコ映画祭2017

はじまりはとても絵画的。

セピアの色調で魅せる
冒頭の美しき街並み。
このまま
映像美だけを堪能して
終わっていくのではないかと
不安になるほど。

流れるモリコーネのメロディ。
それだけでグッと哀愁。
ねっとりとロマンティック。

フィレンツェで
労働闘争をする父の元に生まれ、
田舎で育ち、
再びフィレンツェに戻り
父と同じように革命を掲げて過ごした、
なかなかのハンサムボーイの物語。

彼はとても良い人かと。

そして彼と関係を持つ3人の女性の
彩の良さ。
皆それぞれの雰囲気があって
とても魅力的。

4人目、〆の女として
フロレンスなる方が登場なのかと
思っていたのですが
フロレンス＝フィレンツェなんですね。
フィレンツェに別名があったとは。

待ちわびちゃったわ、
フロレンスちゃん。
（いないってば）

• #待ち人来ず

暗い街角、川沿いの風景、印象派絵画みたいな家の庭…どこをとっても絵になるフィレンツェ（フローレンス）の風景が素晴らしかったです。

主人公の政治的思想は良いとして、女グセが悪すぎやしませんか…
とも思いましたが、ストや闘争ばかり描かれてもそんな映画あまり見たいとも思わないから良いのか。でもどうしても、高潔な感じを求めてしまいますよね、ハハ
というかこのジャケットの女のひとは誰。奥さん？