父を殺された青年の少林寺での武術修練を描いた作品。　
リュー・チャーフィーが主演、李海生、羅烈、唐偉成、張午郎、韋弘らが共演。　　

明の統治から清に代わり、海産物問屋の息子リュー・ユウダ（リュー・チャーフィー）は、明の復興運動に加わっていたが、反乱分子として仲間は弾圧され、リューを庇った父は殺されてしまう。リューは復讐心から武術を学ぶため友人と二人で少林寺に向かう。道中で秦の兵士に見つかり、リューは右足を負傷するが何とか少林寺へとたどり着く。リューは少林寺の35の修行房で武術を研鑽していく…　　　

オープニングクレジットはリュー・チャーフィーの演武で始まり、本編では35房を1房ずつクリアしていき、独得の厳しい修練の様子が興味深い。
クライマックスでは修行を生かした格闘戦が繰り広げられ、見ごたえあった。
三国志の清に倒された明の立場で描かれており、山崎賢人主演の「キングダム」を観ていると、より楽しめるかもしれない。
リューの弟子となった洪熙官、春米六、童千斤、陸阿采は実在した人物がモデルで感慨深い。　　

2025.7　BS12で鑑賞（リマスター版・日本語吹替版）

• #海産物問屋の息子
• #反清復明運動
• #少林寺三十五房
• #総長との試合
• #三節棍
• #三十六房

非常に洗練された、良く纏まっているカンフー映画。

一般人が達人になるまでの努力が、詳細に描写されている。
観ている人も思わず力が入ってしまう様な、キツイ修行をこなしていくのが見どころ。
そして、その努力が、戦闘で実際に役に立つ所まで描かれているのが良い。
修行の終盤辺りから、とんとん拍子に事が進みすぎている感はあったが、主人公の苦労はかなり伝わってきて素晴らしかった。

また、主人公がカンフーをやる動機がしっかりとあり、共感も出来る。

数あるカンフー映画の中でも、かなり質が高い方だと思う。
とても昔の映画なのだが、凄く映像も綺麗だった。

ジャッキーチェンの昔のカンフー映画、観れるものをほとんど観てしまって次なるところへ。

前の部署の上司からこれが面白いと勧められたことを思い出してリューチャーフィーの世界へ、、、想像以上に面白かった。

彼の作品はコメディや魅せるカンフーエンタメというよりも武術を極めんとする本格志向の作品が多い印象。

この頃の少林寺系のカンフー映画はジャッキーの作品でも同じだが、国内の王朝の変遷や、近隣の村々との摩擦が背景の作品が多い。

少林寺拳法は僧侶として俗世間から達観して心身共に己を高みへと導く武術として研鑽に励む道。

だけども、それが結果的に暴力による支配に苦しんだり、大切な人々の命が奪われる民衆に対する脅威に立ち向かう“弱きを助け、強きを挫く1本の槍”になる。

そんな少林寺拳法、武道の真理を体現する、これもそんな作品。

冒頭から
「◯人捕まってひどい拷問を受けている」
「私なら、そうなる前に命を絶つ」
「何とか広東を治めたい」
など、なかなか物騒な会話から始まり、中国各地が割拠してて揺れに揺れてる背景を刷り込んでくる。

そんな中で、大切な人を失った“リュウユウダ”が必死の思いで命からがら頼る場所、、、それが少林寺。

門弟になって“サンダ”の名前をもらい、1年ほど経っても武道の修行がなく、やや腐りかけていると、導師からついに修行を薦められる。

「35の房で修行が積めるぞ、行ってみなさい」と。

しかし、行ってみたら偉そうな老僧侶達が仏典を暗記して読み上げているだけ。
“最強の武術”とはなんぞ。

ここからの“生活”と“己”と共にあることを体現する少林寺の35の房で行われる彼の修行による学びがとても興味深い。

ただただ俊敏に力強く飛び回って拳を振り回すのが少林寺拳法ではない。

精神を統一し、己を律し、素早さと、力の瞬間的な出し入れ。
逆に、どんなことが起きても耐え続ける強靭な肉体。

精神と肉体、静と動、俊敏さと強さ、優しさと厳しさ、冷静と情熱、、、。
常に対となってる要素を併せ持ち、全てにおいて極限まで高める道。

今のご時世なら確実に“パワハラ”案件になりそうだが、これもサンダが望み、高みに登ろうとする強き意思が修行のその先の道を切り開く。

全ての房で厳しい実戦で身に付ける修行の1つ1つに意味があって、それを越えるたびに彼が強くなっていく姿がとても興味深く面白い。

これが映画である程度修行を演出している面はあるのだろうが、結構地味で失敗すると痛々しい数々の修行が、すごくリアル。

リューチャーフィー自体はこの時点で既にそれなりに腕がある俳優だろうけど、ど素人ならこの撮影だけでもかなり耐えられない修行になることは間違いない。

というか、武術として極め過ぎてて現代ではもうリメイクとかできない次元なのではないか。

昼も夜も休みなく。
個人のコソ練でもしっかりとイメトレしたりして、創意工夫してみたり、アイデアや独創性もある。

もはや、復讐のために強くなる、という当初の目的すらも凌駕していく彼の直向きでストイックな姿に心を打たれる。

そして、彼が35の房での修行を終えた時、彼は“36番目の房”の創設とそこの房長になることを申し入れるが、、、。

武術により己を磨き上げ強さを身に付けることと、僧侶として仏の教えと慈悲深さを学ぶこと。

彼は、少林寺で学んだことを、少林寺の教えに背いてでも、外へ出て、“弱気を助ける”方法を模索する。

この姿が、かつて絶望し、復讐に燃えていたただの血気盛んな若者ではないことが明白。
この成長と、その厳しい修行1つ1つが彼の血のなり肉となっている様が最後に繋がっていくこの物語、話としてもとても面白い。

これ、『続』と『新』があると知る。
それだと、もはや“36”ではないじゃないか、と言いたくなるけれど、これはもう観るっきゃない。

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