主人公のバーディよりもニコラス・ケイジの方が実年齢が若いのがウケる。鳥好きのバーディがあまりにも変人すぎて共感できないし、壊れた心を取り戻す過程が丁寧に描かれていなかったり、オチが意外すぎてうん？となった。

「バーディ」
1985/8/30 公開 アメリカ作品 2017-6
TSUTAYA CINEMA Handbook 2016
1980年代ランキング42位

ベトナム戦争を背景にしながらも、二人の心に傷をおった青年たちの友情を見事に描いてますね。「ミシシッピー・バーニング」といい、アラン・パーカー監督の作品ははずれがないですね。衝撃のラスト？シーンは見事です。また若かりし日のニコラス・ケイジのパワーある演技も最高ですね！

ウィリアム・ワートンの小説を元に、戦争で心に傷を負った青年とその親友との交流を描いた、名匠アラン・パーカー監督による傑作ヒューマン・ドラマ。主演はニコラス・ケイジとマシュー・モディーン。

この世界では傷付く事が多過ぎるから。

空を舞う鳥に魅せられて。
鳥に憧れた男、バーディの物語。

高校時代の親友バーディ（マシュー・モディーン）とアル（ニコラス・ケイジ）は、共にベトナム戦争に派兵された。昔から鳥に病的な執着を見せたバーディは、戦争のPTSDの影響で軍の精神病棟に収監されていた。アルも顔面に大怪我を負ったが、心を固く閉ざし、一言も言葉を発しなくなったバーディの為に、アルはかつての懐かしき日々について、バーディに語り聞かせる。

若きニコラス・ケイジ。
髪の資源もまだ豊富な時代。
劇中の殆どが、顔を包帯に覆われていて、良い意味で彼がニコラス・ケイジである事を刹那に忘れさせてくれる。

マシュー・モディーンが演じた、バーディという男の特異性。

鳥になった気分で高い所から飛び降りたり、
部屋の中に巨大な鳥籠を自作し、裸になって鳥達と戯れたり。

普通じゃないバーディ。
でも、かつての彼は笑っていたのに。
アルと一緒に笑っていたのに。

ベトナム戦争が奪った、彼らの笑顔。

戦争描写こそ少なめながら、彼らが心に負った傷は計り難い程に深い。

ベッドの柵を止まり木の様にして、窓を眺めるバーディ。アルがどれだけ語り掛けても、彼は空虚な窓の外を眺めるだけ。

楽しかった過去と、言葉を無くした現在とを交互に見せ、そのギャップの大きさにただただ打ちのめされる。

何で、何も、言ってくれないんだ。
バーディ頼むよ、喋ってくれよ。
じゃないと此処から一生出られないぞ。

アルの切実な訴えに胸が打たれる。

普通じゃないと言われるけど、
普通じゃないって何だろう？
何が普通なんだろう？
皆んなと同じだという事が普通なんだろうか？

バーディの生き辛さが、痛い程に沁みる。

「鳥が飛び立つ時は羽をはばたく必要はなく、わずかに羽をふるわせるだけ。鳥は、空気の支えがあるという自信だけで飛び立つ」

劇中バーディが語った台詞。

そこに空気の支えがあるという確信。
そこに友の支えがあるという信頼。
それだけで、彼は空を飛べるんだ。

ラストシーンが素晴らしくて震えた。
アルとバーディの笑顔に頬が緩む。



空に 憧れて 空を かけてゆく
あの子の命は ひこうき雲

ユーミンの、「ひこうき雲」の歌詞が不思議と思い浮かんだ。

• #2020akirunaway