ウディアレンがイングマールベルイマンに憧れ過ぎて、オマージュを超えて真似に挑戦しているようだが、見事にピーンとした緊迫感と意地悪いユーモアに満ちた静逸な女系家族の物語を綴っている。

海辺の映像も美しい。

たまに見返したくなる隠れた傑作。

ウディ・アレンらしい皮肉の効いたコメディ感が全くないシリアスな家族ドラマが果てしなく続く展開に面食らった。父親と母親に翻弄される娘たち同様、100分未満の上映とは思えない程観賞していて疲れる作品だった。

ー　お母さんは完璧よ！
ー　それは一時だけの話でしょう？

完璧主義が生んだ大きな亀裂。
幸せだった家族が父の発言で崩れていく。美しいインテリアのような完璧な家族は、所詮母の作り物だった。

ウディ・アレン監督の作品あんまり見てないなぁということで鑑賞。アレン監督は昔の作品の方が評価高いですよね。王道は「アニー・ホール」とかかな。これも結構初期の方の作品ですね。なかなか面白かったです。イングマール・ベイルマンの『叫びとささやき』にかなり寄せてる感じありますね。

物語の中心となる母は何事にも完璧主義のインテリアデザイナーです。なので登場するセットがどれも美しいです。ちょっとした会話のシーンでも美しい部屋の間取りにうっとり…。アレン監督の作品は巧みな会話が特徴だと思います。美しいセットがその会話を一層引き立てていて見応えがありました。

ストーリーとしては結構胸糞展開です。家族がどんどん壊れていきますので…。「過渡期」として捉えることもできますが、物語の終わり方からしてあまりハッピーエンドとは思えません。多分人生の中で一番深く関わる家族。そんな家族にも変化は訪れますよね。家族全員が良しとしなくても、いつかその変化はやってくる。それをどのように受け止めていくのか。生活はバラバラになっても結局は家族なんでね。

ロングアイランドの高級住宅地。インテリアデザイナーのイヴは、30年連れ添った夫・アーサーから突然別居話を持ち掛けられる。ショックを受けたイヴは自殺未遂し、3人の娘たちは父親を責める。そんな中、アーサーは新しい恋人を娘たちに引き合わせる。W・アレンが敬愛するイングマール・ベルイマンにオマージュを捧げ、その世界観を再現。富裕家庭が崩壊していくさまを、音楽や効果音を排した静ひつなタッチで映し出す。