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煉瓦女工
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『煉瓦女工』に投稿された感想・評価

街の大騒ぎを横目に、死と別れが日常だったころの貧しき日本を誠実に映した「映画」をじっと見る。なにもない未来をさも希望があるかのようにはしゃぐ欺瞞に心は動かない、一旦立ち止まり過去を見つめ直し考える、人間はだらしなくて下品で、理不尽な不幸を抱えながらそれでも生きていかなければならない。ずんずんと前を向いて歩き、走りだし、橋の奥からこちらに向かってやって来る子供たちのラストはさすがに涙をこらえることが出来なかった。
3.0
〖1940年代映画:小説実写映画化:南旺映画〗
1946年製作で、野澤富美子の短編小説を実写映画化らしい⁉️

2023年1,955本目
3.7
1940年という世相のなかでよくこれだけプロレタリアな映画を日本で作れたと感心してしまう、横浜鶴見区の貧しい生活を送っている人たちの暮らしを虚飾抜きで描く演出が圧巻で戦争のさなか時代に取り残されたかのようにその日の暮らしに追われる人たちのドラマを鑑賞できるのが貴重。

そして主人公の少女が親しくなる朝鮮人の生活が細やかに描写されているのも見所、しかしこんな責めた内容がゆえ&時局によりに検閲で許可されず(太平洋戦争はこの映画が製作された翌年)戦争が終わったあと新作が乏しいため公開されたというのが皮肉。

この映画が作られる二年前に公開された貧しい人たちの暮らしをセミドキュメンタリータッチでとらえた作品『綴方教室』とキャスティングが被っていることも興味深い、あと本作に出演する滝沢修、宇野重吉、信欣三が戦後左翼的な独立プロ作品に出ていることを考えると戦前と戦後の日本の社会派映画を繋ぐ一作と呼べるのかも。

学校に通う友達が生活苦により働きに出るなど世知辛い暮らしのなかでも前を向いて生きようとする少女(後に黒澤明夫人となる矢口陽子が好演)を軸にして描かれるドラマも見所充分で、ほんの少しの希望で前向きになり高らかに歩むラストに胸が熱くなる。そして『鬼火』や『羽織の大将』などで人の死をあっさりと、それでいてリアルに描く千葉泰樹監督の手腕がここでも発揮されておりどうしようもない状況の人間たちのドラマに悲哀をもたらす。

黒澤明作品で知られる中井朝一による光と陰を巧みに使った撮影も見事で、汚い長屋や川が舞台なのに冒頭の水面に太陽の光が反射する場面など美しさを帯びたフォトジェニックな趣を感じさせ映画のグレードを高める。

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