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西陣の姉妹
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『西陣の姉妹』に投稿された感想・評価

Taul
3.0
『西陣の姉妹』(1952)@シネ・ヌーヴォ「島津保次郎と吉村公三郎 師弟が切り拓いた日本映画黄金期」 の特集上映で初鑑賞。吉村公三郎 監督、新藤兼人 脚本、宮川一夫 撮影という強力な布陣。没落する西陣織の旧家の姉妹の話で、西陣の町家や織元の屋敷をリアルに再現し、また鴨川や市街地でのロケなど、セットやロケ撮影に見応えあり。ただ暗い話なので展開や演出は冗長と感じた。木下千花さんのトーク付き。実は西陣織は贅沢品として高度成長期は栄えた、溝口との共通点などためになった。

*

『西陣の姉妹』冗長と書いたが、こういう姉妹の没落ものを見ると成瀬や市川崑の小気味いいテンポやカット割りに慣れてるせいもあると思う。なお、タイトルの「姉妹」の読み方は「きょうだい」。小津の『宗方姉妹(むねかたきょうだい)』(1950)と同じ。「しまい」も昔からあったが、1960年代以降にそちらのみになったもよう。
光に映るゴミ

/「かわいそうな人たちがただただかわいそうに終わる話を見てカワイソー、カワイソーとシ◯る趣味はない」という曲げようのないスタンスがあるので、チラシであらすじ観た時点で入場を後悔した。
(最初の土下座するお父さん相手に金貸しメガネ爺がタバコ吸ってる時点で退出してよかったかも)
(吉住公三郎・新藤兼人コンビ自体は嫌いじゃない。大映版「自由学校」とか「美女と怪竜」とかは好き)

/住人視点のカメラワーク、未亡人と愛人の友情(若干未亡人プライドないんか?とは思ったけど)、家業を手放せない一家を古いと切って捨てて一人で幸せを掴む三女、次女と番頭さんの一夜限りのロマンス、恐らく実際の鴨川・西陣でロケが行われた屋外シーン(背景の西陣信用金庫を見逃さなかった...)、真面目に頑張ったのに報われなかった結果色々どうでもよくなってパンスケになった元職人の女、何もかも失った中でも家族と主従の絆だけは失わずに逝った未亡人と、要所要所では名シーンが多かったのが逆にイライラする。

/解体される家の中でゲラゲラ高笑いしてる高利貸しコンビを番頭さんが刺してくれたらもうちょっと評価違ったかもしれない。
 でもそんなことしたら婚約した長女が気の毒か。
 兎に角リアリズムが言い訳にならないレベルでヘイトコントロールがゲロブスキモブサクソカス

/調べたら新藤兼人は父親が借金の連帯保証人になった結果没落した豪農の生まれだったそうなので、恐らく彼自身があの一家のような喪失とか、ああいう悪徳高利貸しが報いを受けずにのうのうと生きてることへの怒りを直に経験してたんだろうな、と思うし、そういう思いのはけ口をこの映画の脚本に込めてたんだろうなとは思う。
 観客がそんなもんをわざわざ映画館に足運んで大スクリーンで観たいかは別として。
※ ☆☆☆☆★

日本映画栄光の1952年〜1954年。
この時代が如何に凄かったかかはこの作品がキネ旬ベストテン入りを逃している事実が物語っている。今ならベストワン確実だろう。

この映画の素晴らしさは新藤兼人の脚本に尽きる。時代に取り残され没落して行く西陣の織元を「これでもか!」とばかりに情け容赦無く叩き潰して行く。

そしてその脚本を、富裕層や貴族社会。更には当時の社会情勢等を対象として、とことん没落して行く人達を慈しみながら描くのは。新藤兼人の盟友でもある、名匠吉村公三郎が得意としていた所もあり。その演出力の冴えを堪能する喜びにも溢れる一品でもある。

没落の限り落ちてしまう登場人物には、東山千栄子の女主人と3人姉妹に。夫の妾で、元芸姑の田中絹代がひっそりと支援する慎ましさ。
宇野重吉の番頭を初め織元の仕事で生活している庶民の暮らしぶり。
菅井一郎の悪徳高利貸しは絶品中の絶品だが、進藤栄太郎の偽善者振りも絶品です。

あまりの悲惨な物語は新藤兼人の師匠である溝口健二の名作『西鶴一代女』と同じ年に製作された事に驚く。
『西鶴一代女』にはとことん堕ちて行きながらもどことなく希望の光に満ちた崇高な作品だったのに比べて、この作品にはラストシーンに象徴される様に、それが見いだせ無いのが多少残念ながらも傑作である事には間違い無いところでしよう。


劇場鑑賞 劇場名・日時不明(新・文芸坐?)



※ 嗚呼!自分は『西鶴一代女』といい、とにかく堕ちるところまでとことん堕ちて行く映画が堪らなく好きなんだなあ〜と💦

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