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坊やの人形
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目次

坊やの人形の作品紹介

坊やの人形のあらすじ

60年代前半の台湾を舞台に必死に生活を送る人々の姿を描く。「坊やの人形」「シャオチの帽子」「りんごの味」の三部作で構成されている。ホウ・シャオシェンは「坊やの人形」を、ワン・レンは「りんごの味」を監督している。台湾ニューシネマ誕生を告げた記念作。

坊やの人形の監督

坊やの人形の出演者

原題
兄子的大玩偶
製作年
1983年
製作国
台湾
上映時間
108分
ジャンル
ドラマ

『坊やの人形』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

3.6
 うだるような暑さの竹崎の繁華街を、厚着の男が意識朦朧としながら街頭に立つ。頭には三角帽を被り、赤い鼻をゴム紐で耳に引っ掛け、手にはでんでん太鼓を握り、首から映画の看板を背負う男の職業は、楽宮映画館のサンドウィッチマン。貧困に喘ぎながら、美人の奥さんと生まれたばかりの息子を抱える男は、職にあぶれ食うに困る中、不振にあえぐ片田舎の映画館の再建のために、1ヶ月350元の仕事をセールスし、請け負う。日本の雑誌で見たというサンドウィッチマンの仕事。夫婦はボロボロになった布団を縫い直し、お手製の衣装を作る。朱色と紺色に縫い合わされた半纏のような衣装。猛烈な暑さの中、これを着て歩く男の姿は、現代風に言えばゆるキャラの中の人にも似ている。いつも不機嫌な顔をしながら、そろばんを弾く劇場支配人。教会で配られる米の配給、戦争の影響はいかんともしがたく、この街の生活水準はあまり高くない。『川の流れに草は青々』での下宿先の映画館、今作に続く『風櫃の少年』での成人映画館など、初期のホウ・シャオシェンは物語設定に好んで映画館を用いる。

息子が生まれ、あまりにも幸福な家族3人だが、夫婦の表情はなぜか冴えない。机の上に偶然見つけた妻(ヤン・イーリン)の避妊薬。コンドームさえ買う余裕のない夫婦生活。妻は子供をおんぶ紐で背中に背負いながら、夫と自分の食事の準備をしている。テレビもラジオも手にすることのない生活、ここ数日夫婦の間に会話はほとんどない。汽車の音が村中にこだますると、夫は急いで駅に向かって走りだす。黒い汽車がもくもくと煙を吐きながら竹崎駅に到着し、往来の乗り降りに多数の乗客が頻繁に姿を現すが、彼の成果は芳しくない。自暴自棄でトイレに入った瞬間、子供達に悪戯される主人公の滑稽な姿。やかんにお茶を用意するのも窮するような映画館の不入りは、やがて主人公の生活にも影響を及ぼすが、今作の主人公であるコンチ(チェン・ボージョン)はあくまで楽観的に大らかに事の推移を見守っている。そのことが妻をただひたすらに苛立たせる。左翼的な極貧物語はいつも決まってバッド・エンドで終わるが、ホウ・シャオシェンはそのような説教臭さに塗れた定型をあえて避ける。劇場支配人が提案した三輪車での売り子への転身は、3人家族に細やかな幸福を齎すのだが、ピエロの化粧を落とし、ノー・メイクで出勤する父親の姿を見た子供はいったい誰なのか認識出来ない。父親の真の姿を知らない息子の涙に、夫は咄嗟にある行動を取る。ホウ・シャオシェンらしい出来過ぎたハッピー・エンドだが、最後のストップ・モーションからのズーム・アップは真っ先にフランソワ・トリュフォーの『大人は判ってくれない』を連想する。

当時の台湾映画界は隣国の映画産業である香港映画や中国映画に押され、長引く不振に喘いでいた。時の台湾国民党の映画制作会社・中央電影公司は新人企画部員・小野(シャオイエ)に対し、若手監督の育成を国家規模で命じたのである。小野は手始めに4人の映画監督によるオムニバス『光陰的故事』を完成させ、その翌年に人気作家・黄春明(ホアン・チュンミン)の小説を3人の監督に任せ、自国の映画産業に静かに革命を起こす。日本同様に、台湾がまだ自立国家として高度経済成長を迎える以前の、庶民の暮らしを描いたこれら7つの短編は、60年代の日本映画との親和性も考えられるものの、実は一番肌触りが近いのはロベルト・ロッセリーニやヴィットリオ・デ・シーカらによる「イタリアン・ネオリズモ」だろう。戦後復興の息吹を、最下層から照らし出したこれらのシリアスな物語の数々は、結果的に戦後世代から前世代への総括となる。大陸中国の言語・北京語に対し、台湾古来の言語である台湾語が積極的に用いられた今作は、香港や大陸中国に対する、母国文化の逆襲を内外に知らしめることとなった。この7つの短編を担当した監督の中に、『坊やの人形』のホウ・シャオシェンと『指望』のエドワード・ヤンがいた。シャオシェンとヤン、この2人の天才監督が、世界の映画祭を制し、映画シーンを席巻することになるのはこの僅か数年後のことである。
菩薩

菩薩の感想・評価

4.3
第1話「坊やの人形」、監督:ホオ・シャオシェン

生きていくには金がかかる、幸せな生活には更に金がかかる。皆にコケにされようと、汗水垂らして働く父、子供の抱き方もあやし方も知らず、赤児は父の本当の顔を知らない。それでも俺はこの子の大きな人形で良い、君が笑うなら俺はピエロにでもなろう、神がかったタイミングで泣き出すベイビー、ナチュラルソフトモヒカンのその髪型…「坊や良い子だねんねしな」が脳内でこだまする。

第2話「シャオチの帽子」、監督:ソン・ジュアンシャン

圧力鍋が後にどんな悲劇をもたらすかなど序盤で既に想定済み。当然インパクトだけで言えばこの章が一番だろうが、豚足の毛って炙った方が早くないか…?なんてどうでも良いことを考えてしまったし、流石に「帽子」の演出はやり過ぎであそこだけ真実味にかける。こいつ絶対ロリコンだろ…なんて邪推をしてしまった俺も悪い。貧困がもたらす圧力、手っ取り早くがもたらす悲劇、積み上げられた「しあわせコンビ」。

第3話「りんごの味」、ワン・レン

アメリカ様、父の両足を粉砕してくださってありがとうございます、ここはまさに天国でございます。ギブ・ミー・チョコレートで培われる奴隷根性、ギブに対するテイクのバランスは取れているのか。それでもきっとこれを幸運と呼ぶ人は少なくない、親の不幸は林檎の蜜の味、初めて知るそれはたとえ甘酸っぱくとも美味。
kyoko

kyokoの感想・評価

3.9
台湾巨匠まつりのラスト。

「坊やの人形」
現代でも「お金がないので子供が持てません」という声は聞かれるが、この時代の、学と職を持たない者の生活の厳しさは比じゃない。
子どもを産めるか産めないかは死活ボーダーラインだ。
どす黒い飲み物をかけたライン際での攻防にうち勝てて良かったよ。
それにしても坊やのかわいさがハンパなかった。
夫の素顔にぎゃん泣きの坊やをあやす妻の、なんだか楽しげな声にほのかな幸せが見える。
ピエロの父は泣き笑いの顔で何を言いかけてたんだろう。

「シャオチの帽子」
え?ロリコンじゃないの?違うの?
そればっかりがひっかかって、本来のテーマを見失ってしまった。
シャオチの友だちがあからさまにブサイクだったもんだから余計に。
鈴木の圧力鍋が恐怖。

「りんごの味」
よくよく考えると物凄く自虐的で皮肉な話なんだが、兄弟があまりにもかわいくて楽しそうで「まあいいか」ってなる。ふと我にかえった顔の父親もそんな感じだったんだろうか。
國語教育を受けていない母親と、学級費が払えなくても学校に通う息子たち。ここでも「教育」の重要性が強調されている。
家族写真でひとり欠けているのは、留学の約束が果たされたから?

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上映日:

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80分

ジャンル:

配給:

  • 松竹
3.6

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