[ドラキュラの控えめな弟、美女を誘拐する]　70点

もうかれこれ8年近くアリス・テリーの可愛さを訴えてきたが、実は『黙示録の四騎士』の断片でしか拝んだことがなかったので、初レックス・イングラムも兼ねて。パリで彫刻家をしているマーガレットが、いきなり製作中の禍々しい悪魔の彫刻のもげた首の下敷きになるという中々衝撃的なシーンで幕を開ける。あのデカさを正面に受けたら確実に死ぬが、アリス・テリーは可愛いので(？)耐え、損傷していた脊椎も優秀な外科医アーサーによって元通りに。そこから二人は親密な関係を築いていく。それを見ていた魔術師オリバーは自信の力を示すためにマーガレットに近付き、彼女に催眠術を掛けて従わせ、彼女の血を使った"実験"を始めるため二人でパリを離れる。という、後のユニバーサルのホラー映画みたいな展開を迎える。そして、本当に『フランケンシュタイン』には影響を与えたらしい。オリバーを演じるのが、サイレント期をして顔面戦闘力53万くらいありそうなパウル・ヴェゲナーなので、ドイツ表現主義や『ドクトル・マブゼ』(というかルドルフ・クライン＝ロッゲ)をそのまま継承しており、ブラウニングとチェイニーのコラボ作品と並んでこの時期の数少ないアメリカ産ホラー映画だった本作品は、正にそれら二つを結ぶ重要な作品と言えるだろう。

公開当時はかなり不評だったようで、イングラムが途中で企画に興味を失って、気に入らない場面は他の人に放り投げたという噂まであるようだ。確かに、ラングの諸作品で八面六臂の大活躍を見せたルドルフ・クライン＝ロッゲに比べると、本作品のパウル・ヴェゲナーは目を見開いて威嚇するというコイキングよりちょっと強いだけのアクションしか起こしていないのは映画の緩慢さに繋がっていると思う。彼の考える実験もちとしょぼい(が、説明書読みながら手術始めようとしてたのは吹いた)。しかし、そんなことはどうでもいい。アリス・テリーが可愛いのだから！！(最低の逃げ)。

サイレント期のホラー映画という超面白そうな本を早速購入したので届いたら読んでみよう。

• #2020ofOdessa
• #SilentFilmOdyssey

手術とか石の螺旋階段とか爆発が良かった

レックス・イングラム監督作品。
彫刻家のマーガレットは、悪魔の像が倒れかかったことにより脊髄を痛めるが、外科医アーサーの手術により回復し、二人は懇意になる。生命創造を使命とする医学生のオリヴァー・ハッドは、生命創造の材料になる処女の血としてマーガレットを狙うが・・・という話。

邪悪な前田吟みたいな顔をしたオリヴァー・ハッドを演じるパウル・ヴェゲナーの顔面力が前面に押し出された作品。マッドサイエンティストのような、黒魔術師のような感じ。目をかっぴらいた顔面を映す、歌舞伎みたいな感じになってた。

最後の闘いが、殴り合いからの相撲というのに笑った。
オリヴァーの城のミニチュアと、崩壊して燃え盛る様が良かった。