ドライブ中に男をはねてしまった男性二人。その男性は多額なお金を持っており、お金を持ち逃げする。後日そのお金は身代金であることが分かった。誘拐されていた少女は不気味な笑顔を作られたまま殺害されていた。捜査している女性巡査リューシー。プロファイリングが得意で、犯人像に迫っていくが・・

冒頭子供の声だけで始まる。そこからセピア色の子供の部屋の映像に。ひときわ青いぬいぐるみだけ色がついており、本作でキーポイントになるアイテムだということを仄めかす。そこから母親がバスタブで亡くなってるシーンである。セピア色のため過去の話であることは想像できる。

シーンは変わり、男二人が交通事故を起こし、男をひき殺してしまう。大金を持ち逃げし、警察と犯人が迫りくるのを恐れながら暮らすことになる。

殺された少女は白い服を着せられ、不気味な笑みを作った状態を作られている。その二つの事件を捜査するのが女性巡査のリューシーである。男二人の選択から、家族とのかかわり、それぞれの葛藤と、友情関係のひび、淡々とした中にしっかりと人間描写を行い、そこに絡んでくるリューシーの見据えたような表情。異様なまでに少女殺害に執着し、そこから彼女の過去に何かがあることを想像させる。

動物園というキーワード、動物の遠吠え、オオカミの毛など小さな証拠を繋ぎ合わせ、ゆっくりじわじわと迫りながら、過去の回想も交えてくる。小さな証拠や不気味な空気感をどんどん彫り込んで、観客はそこそこ組み立てに労働力を要する。

なにより殺害された少女が美しい。題名にもつながっていくが、その幸せそうな表情はただ口元だけで作られた笑顔に思えない。青白いライトが当たり、さらに透明感が増し、まるでお人形のような質のよい死体が出来上がっている。

二つの事件が結び付き、冒頭の子供のシーンにしっかりとつながっていく。頭の中に残ってる青いぬいぐるみがしっかりラストに一つになり、それでいつつもやもや感が残る。すっきりしつつも、残る謎に再び作品を見返すのだ。その分最初から最後まで膨大な伏線に緊張感があり、画面に釘付けになる。
冒頭に繋がる切ない過去を知ったとき、謎のもやもやに切ないそれが加わり、なんども複雑な感情を残すのだ。こんな形でやっと過去に向き合えるとは皮肉であるが、これでやっと前向いて歩きだせるのだろう。

大動脈

ドライブ中に男性をはねてしまった失業者2人組は、男性が持っていたバッグから200万ユーロもの大金を発見する
その金は、数日前に誘拐された少女のための身代金だった
事件の翌朝、少女は現場付近の廃屋で死体となって発見される
捜査を開始したリューシーは、得意とするプロファイリングで犯人像に迫るが……

フランク・ティリエのベストセラー小説をメラニー・ロラン主演で映画化したサスペンス

アナベル

2人組と警察
奮闘してます

動物
なかなかヤバい話でした

【運命の糸がたぐり寄せた再会】
「羊たちの沈黙」オマージュがちらほら。
レクター博士的な存在は不在です。
そんなフレンチサスペンスでございます。
ある猟奇殺人事件を追う女性捜査官のお話。
主演の女優さんがタランティーノ監督の「イングロリアス・バスターズ(2009)」に出演なさっていた方でした。素敵。

場面繋ぎがあまり上手く行っていないし登場人物のバックグラウンドなど説明不足のためストーリーを追うのが難しかったです。
オープニングカットや蝋燭だらけの犯人のお部屋、大量の剥製などは眼福だと思った。
少女をアナベル人形に見立てて56すというやばい発想。
真犯人の正体。
ところどころハッとするセンスの良さ。

ある動物の解剖シーンで「ネクロマンティック」を思い出しました。
本物だったし。かなり強烈でした。

粗のある作品ではあるもののメインの猟奇事件と関連したもうひとつの殺人事件も同時進行するというプロットはかなり好きです。
何だかとても惹きつけられる映画でした。
アルフレッド・ロット監督の作品、これから調べて行きたいと思います。

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