サラマンドルを配信している動画配信サービス

『サラマンドル』の
動画配信サービス情報をご紹介!視聴する方法はある?

サラマンドル
動画配信は2026年9月時点の情報です。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
本ページには動画配信サービスのプロモーションが含まれています。
目次

『サラマンドル』に投稿された感想・評価

4.3
 男性が猟銃を分解し、各パーツを入念に磨くシークエンスで始まるこの映画は、突然銃の暴発という唐突な結末を迎える。マルセル・ヴィダル扮する叔父はロズモンド(ビュル・オジェ)が撃ったと主張するが、彼女は裁判の過程で一度もそのことを事実として認めなかった。やがて2人の友人がこの事件に基づき、映画の脚本を書くよう依頼される。2人のうちの1人、ピエール(ジャン=リュック・ビドー)は脚本家の旅行ライターで、もう1人のポール(ジャック・ドニ)は壁のペンキ塗りをしながら糊口を凌ぐ売れない小説家である。2人はあらかじめ、彼女の犯罪であるに違いないと仮説を立てるのだが、実際に彼女と出会うとその心象はことごとく変化していく。兎にも角にも圧倒的なビュル・オジェの魅力に打ち震える。家父長制的で厳格な後見人に反発しつつも、とにかくロズモンドは仕事が長続きしない。腸詰めの成形は真に退屈な作業で、身も心も折れるひたすら単調な作業だが、ピエールと出会ったことで彼女は彼の元へと逃げ込む。

 紀行文の邪魔はしないからと言いながらも彼女は一瞬一秒の刹那に生きており、逆流する鮭の川登りのようにじっとしていられない。どこにも帰属していないし、帰るところすらもはや失っている。ポールが寝ていると思って彼女を見に行くと起きており、ことごとく予想を裏切る蓮っ葉な態度が堪らなくキュートに映る。ロズモンドは守るべき規範や身持ちの硬さをまるで持たない。あくまで軽やかにしなやかに誰の懐にも飛び込むしたたかなしなやかさを兼ね備えている。既に初老を迎えたピエールとポールにとっては、人たらしな魅力を兼ね備えたジュブナイルな女性で、信じられないことだが継父に殺意を抱いたかもしれない。然しながら刑事による生真面目な捜査のようなものはまったく行われず、真っ直ぐなロズモンドを前にして男たちの全ての目的は雲散霧消化する。腸詰めの成形のバイトから靴屋のセールスに仕事は変われど、彼女の働きぶりは常識人から見ればさっぱりわからない。しばしば狂人扱いされる彼女は然しながら狂人ではない。ニュー・ロックに首を振る様なキュートな女性であるのだが、時代の空気が否応なく彼女の気持ちを塞いで行く。スイス・ニュー・シネマの巨匠アラン・タネール監督の代表作にして、レナート・ベルタのカメラは自由奔放なビュル・オジェの表情を切り取る。ずっと観たかった作品に今、こうして出会えたことに感謝する奇跡のような傑作である。
Blu-rayBOXのジャケ裏には見事なまでに若かりし頃のビュル・オジェの美しさ以外書いてなくて、観ながら話の輪郭を掴むのに随分苦労した、ヌーヴォー・シネマ・スイスの旗手の一人アラン・タネールのキャリア初期作品。

金銭的に苦境に立たされているジャーナリスト二人、ピエールとポールが、一昔前に世間を騒がせた、十代の姪による軍用ライフルを用いた叔父への発砲・殺害未遂事件に関するテレビ映画用の脚本を仕上げる仕事を引き受け、その事件当事者である23歳になった姪ことロズモンドの近況に探りを入れるが、思いのほか彼女の足跡は簡単につかめた。

そこまではよかったが、このロズモンドと言う女が結構な曲者で、無垢さと妖艶さを両立できてしまうほど不世出レベルで美人だが、怠け者な上に飽き性、十代のころに出産経験があるほど性にも奔放で、好きと嫌いを自制するブレーキがぶっ壊れていて、仕事はすぐに勝手に辞める始末。
実際に銃撃された叔父や、勤め先からの評価はさんざんで、作中ではコンプラが昔過ぎるからストレートに狂ってるとも言われていた(多分昔のコンプラなら「キ〇ガイ」って普通に言われてるんだろうなと思う)。

ピエールもポールも、ロズモンドの予測不可能な行動に辟易したり惑わされたりもしつつ、彼女の動向を生暖かい目で見てたりするけど、そのせいで脚本は一向に進まず、金銭危機もどんどん作中で加速してしまい、ピエールとポールの関係にもギスギスした空気が漂い始め……と言う感じに話は進む。

ヌーヴォー・シネマ・スイスと言う括りで観ても、アラン・タネール作品と言う括りで観ても、間違いなく重要作だし、ビュル・オジェの存在感もさすがに白眉たるものなんだが、空気感のギスギスさと、ロズモンドって実際いたらすっげえ嫌だなあって思えてくるところとかから、個人としては好きにはなれないタイプの映画だな、とも感じました。
菩薩
4.0
ビュル・オジエかイザベル・ユペールみたいな映画だなと思ったがユペだと流石に若いしデリフィーヌ・セイリグって訳にもいかない、何よりビュル・オジエのビジュアルが圧倒的に正義である上におじがドツボにハマって狂っていく話でもあるのでやはりビュル・オジエがバチっとハマっている。資本主義に中指を立て誰のストーリーにハマるでもなく窮屈な世界から羽ばたくが如く仕事をブッチしていくオジエ、それが何より金稼ぐ〜に捉われるおじにはぶち刺さるのだろうし、世間が左を否定し右へ右へと進もうとする最中、革命の後の革命的存在として見事にスクリーンに君臨し続ける。10年20年経ったらどうすんのよ…と思わずにもいられないが、あまりにも楽観的に知らんがなと乾いている。フェミニズム、とも違うがやはり革命の映画として、その身を焼かれようと自ら火中に飛び込んでいくトカゲの様に、あんな顔を見せられちゃ流石に敵わない。

『サラマンドル』に似ている作品