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『サラマンドル』に投稿された感想・評価

4.3
 男性が猟銃を分解し、各パーツを入念に磨くシークエンスで始まるこの映画は、突然銃の暴発という唐突な結末を迎える。マルセル・ヴィダル扮する叔父はロズモンド(ビュル・オジェ)が撃ったと主張するが、彼女は裁判の過程で一度もそのことを事実として認めなかった。やがて2人の友人がこの事件に基づき、映画の脚本を書くよう依頼される。2人のうちの1人、ピエール(ジャン=リュック・ビドー)は脚本家の旅行ライターで、もう1人のポール(ジャック・ドニ)は壁のペンキ塗りをしながら糊口を凌ぐ売れない小説家である。2人はあらかじめ、彼女の犯罪であるに違いないと仮説を立てるのだが、実際に彼女と出会うとその心象はことごとく変化していく。兎にも角にも圧倒的なビュル・オジェの魅力に打ち震える。家父長制的で厳格な後見人に反発しつつも、とにかくロズモンドは仕事が長続きしない。腸詰めの成形は真に退屈な作業で、身も心も折れるひたすら単調な作業だが、ピエールと出会ったことで彼女は彼の元へと逃げ込む。

 紀行文の邪魔はしないからと言いながらも彼女は一瞬一秒の刹那に生きており、逆流する鮭の川登りのようにじっとしていられない。どこにも帰属していないし、帰るところすらもはや失っている。ポールが寝ていると思って彼女を見に行くと起きており、ことごとく予想を裏切る蓮っ葉な態度が堪らなくキュートに映る。ロズモンドは守るべき規範や身持ちの硬さをまるで持たない。あくまで軽やかにしなやかに誰の懐にも飛び込むしたたかなしなやかさを兼ね備えている。既に初老を迎えたピエールとポールにとっては、人たらしな魅力を兼ね備えたジュブナイルな女性で、信じられないことだが継父に殺意を抱いたかもしれない。然しながら刑事による生真面目な捜査のようなものはまったく行われず、真っ直ぐなロズモンドを前にして男たちの全ての目的は雲散霧消化する。腸詰めの成形のバイトから靴屋のセールスに仕事は変われど、彼女の働きぶりは常識人から見ればさっぱりわからない。しばしば狂人扱いされる彼女は然しながら狂人ではない。ニュー・ロックに首を振る様なキュートな女性であるのだが、時代の空気が否応なく彼女の気持ちを塞いで行く。スイス・ニュー・シネマの巨匠アラン・タネール監督の代表作にして、レナート・ベルタのカメラは自由奔放なビュル・オジェの表情を切り取る。ずっと観たかった作品に今、こうして出会えたことに感謝する奇跡のような傑作である。
菩薩
4.0
ビュル・オジエかイザベル・ユペールみたいな映画だなと思ったがユペだと流石に若いしデリフィーヌ・セイリグって訳にもいかない、何よりビュル・オジエのビジュアルが圧倒的に正義である上におじがドツボにハマって狂っていく話でもあるのでやはりビュル・オジエがバチっとハマっている。資本主義に中指を立て誰のストーリーにハマるでもなく窮屈な世界から羽ばたくが如く仕事をブッチしていくオジエ、それが何より金稼ぐ〜に捉われるおじにはぶち刺さるのだろうし、世間が左を否定し右へ右へと進もうとする最中、革命の後の革命的存在として見事にスクリーンに君臨し続ける。10年20年経ったらどうすんのよ…と思わずにもいられないが、あまりにも楽観的に知らんがなと乾いている。フェミニズム、とも違うがやはり革命の映画として、その身を焼かれようと自ら火中に飛び込んでいくトカゲの様に、あんな顔を見せられちゃ流石に敵わない。
3.0
アラン・タネール監督の映画を初めて見た。会場はほぼ満席だったので人気があるのかな。モノクロの映像で少し長めのシーンが多くて集中力を求められた。

あらすじは面白い。ジャーナリストのピエールと作家のポールはある事件の映画化に向けた脚本を書いている。その事件は、叔父が姪にライフルで肩を撃たれたが、故意か事故かは未解決というもの。

姪のロズモンドをビュル・オジエが演じている。大家族出身のため口減しで叔父に預けられ、仕事も長く続かず職を転々としている。ソーセージ工場で腸に肉を詰める作業をしているシーンがあり、嫌そうにやっている感じがシュールだった。ピエールとポールは彼女に会うと心を奪われ、深く知れば知るほど脚本が書けなくなっていく。

逆にロズモンドはポールの助けもあり、靴屋での仕事を辞めないで済んだりと、更生していっているのが面白い。ファムファタールの様に二人を堕落させる面もありつつ、「少女ムシェット」の様な育ってきた環境による歪みも感じられ、複雑な内面が表現されていて凄かった。

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小間使の日記

上映日:

1966年04月12日

製作国:

上映時間:

98分

ジャンル:

3.7

あらすじ

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