リチャード・フランクリン♡×トム・ホランドのコンビで「僕のことを知っている、ぼくにしかみえない敵」なんて『サイコ２』をもう一度やりながら、もっと過激に遊んでいる作品。ビデオゲームがATARIで派手に遊んでぶっ壊してるのも笑うけど、『レディプレイヤー１』を思い出さないはずもなく。バスでゲロはいて脱出、バスから走ってる姿を横移動で捉える活劇感に楽しくなったり、ヤケクソポチョムキン編集、ヒッチコック感あるマクガフィンと移動の連続にデ・パルマっぽさと出来損ないのスピルバーグを感じる。でもあの死んじゃうゲームオタクのおっさんだったり、冒頭のボードゲームだったり、B級ともカルト作家ともいい難い「ヘン」さは飛び抜けてる。そりゃタランティーノ好きですよね。こんなん午後ローでやってたら学校休んたことを全力で肯定しにきてくれてる嬉しさに何日でも学校を休んでしまう。

「これが続いた間は楽しかったかい？
きみはもう大人なんだ
タバコを買ってきてくれ」

超絶大傑作でした。
子供が主役の巻き込まれサスペンスで、指がなく手袋をしたスパイや、爆弾を持ってバスに乗ってしまう少女など、完全にヒッチコック。『サイコ2』撮ってるくらいだし相当ヒッチが好きなんだろうな。


子供が車を運転して逃げる駐車所のシーンなんかも足＆視界が届かないのをうまく演出に使っていた。

ただ、ヒッチからは倒錯した部分が抜かれて爽やかさが残った感じ。
指のないスパイのくだりはもっと拘って見せて欲しかった。

ニューバランスの靴箱を箱庭にしてサバイバル人形と遊ぶヘンリー・トーマスくんの友だちはその人形ことオッサン軍人。ゲームカセットの中に仕込まれたマイクロチップには軍事機密。チビの女の子キムと肥えたオタクのゲーム屋の店員。子ども相手に本気で銃を乱射してくる悪人。子ども騙しじゃないアクションに感動するし、こちらも本気で引き込まれる。セントラルパークや博物館のセットも素晴らしい。そしてここでもヒッチコック風味を効かせるリチャード・フランクリン。クライマックスはもう号泣。赤のパーカの「ET」から今作は赤のコーチジャケットでキメてきたトーマスくんイイぞ。