大島拓『カナカナ』、石川寛『tokyo.sora』に連なるアンビエント邦画の中でもその極北。『鉄塔武蔵野線』の異様に長かったワンカットがさらに結びついている。仕上がってる唯野未歩子主演にした『WANDA』とかケリーライカートみたいなノリでリバイバルされてほしい。わしはこの手のJ文学とか市川実日子が載ってた頃のCUTiEが好きだから余裕の満点です（？）　
次から次へ鄙びた、秘湯が出てくる。エンドロール見ながら場所ググるのが楽しい。米沢の笠松旅館、未だにやってるのがすごい。ハチに刺されて倒れるワンカットを初めて見た。

好きな雰囲気の映画

蓮舫を地味にしたような
女優さん（唯野未歩子）がいい。
少年のよう。真っ直ぐな脚、無口で孤独で
さっぱりしたたたずまい。
透明感があって、凛として、涼し気な表情が綺麗

さすがに、というかそのギャップのせいか
着替えで見えた下着姿や
体の線が見えるワンピースが
秘めた感じで色っぽい

静かな映画だ。
母役の松坂慶子はまだ痩せていて、
大仰な表情やしぐさを見せず、
沈黙の中に哀しみをにじませる。
自宅の濡れ縁でネギの束を持ったまま
ぼんやりしているところは印象深い

父と母は駆け落ちの恋だったが、
結局ブラジルで違う女と暮らし死んだ父親。
なんだか怪し気なダメっぽい男を
好きになる娘。
その男とどうなるのかわからないまま
ラストを迎える。
大丈夫なのだろうか、と心配してしまう。
駄目な男を好きになってしまう母娘なのだろうか。
幸せになってほしいなあ
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山形は東北の京都と言われるくらい
独特の文化があって、祇園みたいな所もあるらしい。
山形に娘、和歌山に母というのも新鮮な設定だ

温泉っていい。
まずは山形・米沢。秘湯。「奥津館」。
ひなびた宿だが温泉は出てこない。
自然が美しい。山奥感がいい。
ラスト近く、母娘で泊まる凌雲峡という
温泉がいい。景色が素晴らしいし、宿も情緒がある。

しかし「凌雲峡」は実在しない地みたい。
宿のロケは、名前から松之山温泉・凌雲閣かと
思ったが、欄干や廊下、部屋の造作が違う。
景色は合成のように見える。
結局不明なまま

ジャケが良さげだったし配信になかったのでDVDで。1.50:1くらいの範囲にヨーロピアンビスタの映像を格納する額縁スタイルでがっかり。

味とは捉えられないギリギリの塩梅の棒読み演技が若干しんどい。演出の問題かな。恋愛を当たり前のものとし過ぎてる物語だけど、DVDに同梱の冊子を読むと孤独を尊重するような作り手の態度が見て取れるので、そんなに悪くはない。はっきり言って冗長で2時間かける話か？とは思うし、強度のあるショットだらけかというとそうでもない（フルHDとかフィルムで見られたらまた違うのかもしれないけど）。ほぼ全編フィックスで固定カメラへのこだわりは感じられた。カメラを振ることが無かったと思う。動くとしてもレール。自転車を追うとこだけ怪しいかも。電車の車内のカットはセットで撮って周りの景色だけスクリーンに写した映像を動かしてるのかなってくらいビタっと固定されてた。

特典映像の舞台挨拶では若いトヨエツが出てくるだけで会場がどよめいていた。