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パラダイス・ロスト:ザ・チャイルド・マーダーズ・アット・ロビン・フッド・ヒルズ(原題)

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『パラダイス・ロスト:ザ・チャイルド・マーダーズ・アット・ロビン・フッド・ヒルズ(原題)』に投稿された感想・評価

「ウェスト・メンフィス3事件」に関しては以前から興味がありました。

この事件について2014年に映画化された「デビルズ・ノット」。
コリン・ファース主演で、登場人物を実名で映画化した作品ですが、残念ながら内容の濃いものとはいえない出来でした(個人的には大好きな映画です)

その後、2013年に製作された「ウェスト・オブ・メンフィス」というピーター・ジャクソンが製作に絡んでいるドキュメンタリーを鑑賞しました。
こちらはとても内容が濃く、素晴らしい作品でした。
(ピーター・ジャクソンがマジで素晴らしい)

そして今回
「 Paradise Lost : The Child Murders at Robin Hood Hills(1996年)」
と、その続編である
「Paradise Lost 2 : Revelations(2000年)」
の2本がセットになっているDVDを購入しました。

「メタリカ:真実の瞬間」などで注目されたジョー・バーリンジャー監督作品です。
こちらは3部作となっており、ウェスト・メンフィス3事件を18年間も追い続けたドキュメンタリーで、とても突っ込んだ取材により、真犯人に迫っていく大変興味深い作品です。

残念ながら、パート3である
「Paradise Lost 3: Purgatory」
はまだ購入していないのですが、パート2より更に真犯人に迫るものになっているようです。
(裁判は開かれないので、真相は闇の中ですが、真犯人と思われる人物にかなり迫ったドキュメンタリーのようです)

早くパート3も購入したいと思っています。
qqfowl
3.7
1993年、アメリカのアーカンソー州ウェストメンフィスで、小学2年生の男児3人が失踪し、翌日遺体で発見された。3人は虐待を受けていて裸だった。凶悪犯罪に町中が騒然とする中、1カ月後、3人のティーンエイジャーが逮捕され…

ドキュメンタリーで、関係者へのインタビューと、容疑者として逮捕された3人の少年の裁判が主な内容。現場の映像や写真が出るので注意。

こんな恐ろしい猟奇事件を起こすなんて、どういう少年たちなの!?と思って見ていたんだけど、彼らの裁判は、科学捜査の「か」の字もないというか。首謀者と目される最年長のダミアン19歳が、黒い服を着ていたとか、ハードロックが好きだったとか、黒魔術に傾倒してそういう本を読んでいたとか、だから何?としか言いようがない不毛な話が延々と続いて、いつ本題に入るの?と思ってるうちに全員有罪になって終わってしまった。

アメリカで大変有名な冤罪事件ということを後から知った。
4.3
・ジャンル
ドキュメンタリー/クライム/社会派

・あらすじ
‘93年5月5日、アーカンソー州ウェスト・メンフィスの森林地帯で全裸にされた 8歳の少年3人の無惨な遺体が発見された
当初、捜査は難航していたが約1ヶ月後に1つのニュースが流された
それは17歳のジェシーという少年が友人2人による被害者達への残虐行為を目撃し、自身も関与したという自供についてであった
そうして3人の若い容疑者達は逮捕
警察や検察はこの事件を悪魔崇拝の儀式の一環であると断定
遺族はその情報や噂を根拠に容疑者達へ憎悪と復讐心を剥き出しに…
だが、実際はジェシーの自供を除いて証拠は皆無に等しかった
それでも裁判は偏見と決め付けによって彼らに不利な方向へと進められていく
その流れはジェシーの自供が執拗な誘導尋問による虚偽自白だという警察への疑惑が提示されても変わる事は無かった
弁護士達が懸命に根拠の乏しさや検察側の矛盾や不審点を指摘
しかし、遺族達は聞く耳を持たず容疑者3人への怒りをヒートアップさせていく…
本作は実際の事件と裁判に関する記録映像を主にして構築されたドキュメンタリーである

・感想
“ウェスト・メンフィス・スリー”の異名で知られる殺人事件の冤罪被害者3人の思いや事件の詳細、裁判の展開、遺族の言葉、メディア報道などを元に構築されたHBO製作のドキュメンタリー映画
音楽には偏見の1つである3人の内の年長者、ダミアンが愛聴していたMetallicaの楽曲群が使用されている
U-NEXTで配信期限が迫っていたので鑑賞

無修正の遺体映像、遺族の暴走、容疑者達の苦悩、警察や検察の理不尽な追及と苦しい言い訳…
観ていて気持ちの良い物ではないこれらの要素に共通する物
そして冤罪事件の発端でもあるのが地域や時代に根付いた強烈な偏見である
物的証拠も無しに強姦及ぶ拷問だとされるだけではなく、こじ付けで悪魔崇拝に事件は結び付けられていく
ウェスト・メンフィスは信心や保守性の目立つ村社会で容疑者の1人、ダミアンが語った通り“現代のセイラム”
即ち魔女狩りと全く同じ事がこの町では行われていた
その風潮を刺激し、膨れ上がらせる様な露悪的な言葉を並べる当時のマスコミも極めて悪質
彼らがしているのは報道ではなく煽動であったというのは誰の目にも明らかだろう
事件の残虐な手口と容疑者の個人的な趣味や信仰、交友を結び付けて遺族達の怒りを更に引き出す
どちらが悪魔なのか?と観ていて怒りを禁じ得ない

その様子と比較すると容疑者の少年達は苦しみながらも理性的で論理的
特に年長者のダミアンは理路整然として淡々と事実を述べていく
その為、結果としてメディア・警察・検察は仕事でやっているので遺族も方が余程、異常に見えてきてしまう
本作の段階でそう感じたが、2作目以降はその違和感が疑惑へと発展するというのが闇深い

具体的にはまず遺族の中でも特に口汚さが目立ち、パフォーマンスじみた信仰と怒りの表現が狂気的な犠牲者クリストファーの継父であるマーク
本作は冤罪を通し、偏見の恐ろしさを説く作品なのであまり言いたくがないが、彼自身も見るからに“ヤバい奴”だ
それもあって「どの口で証拠も無い少年達を犯人だと決め付けているのか」と感じさせられる
彼の妻、メリッサも容疑者達だけでなく、彼らの母親が産んだ事にまで憎悪を向けるなど、冷静さを欠いても仕方ない状況下とはいえ、到底まともとは思えない
次に怪しさを感じたのが犠牲者スティーヴンの母、パム
彼女はメディアの取材に対して酒や薬で酩酊しているかの様な態度でヘラヘラと笑って答えており、テレビに出るという事に喜んでまでいた
こういった人々が親であるというだけで怪しまれず、比較的貧しい家庭の少年達が印象や偏見だけで悪人だとされた事実には恐怖を覚える
家庭内の事は闇に葬られ、自分達と“違う”力の無い若者を排斥する様子は村八分その物であるからだ

3人が疑われた要因はダミアンにある
彼は長髪で黒い服を常に身に纏い、メタルを愛し“ウィッカ”という“異教”に関心を持つ
ただこれだけの事が悪魔崇拝者という所まで飛躍し、親しかっただけの2人まで巻き添えになった
しかも容疑者の1人、ジェシーには知的障害がある
警察はそんな彼を真っ先に12時間も尋問し、警察側が吹き込んだ通りの自供の部分だけが録音として残された
そして彼の自供を元に2人を逮捕し、世論を誘導して裁判でも印象操作をした
この所業もやはり“悪魔”の様だった

以上の事から改めて感じさせられたのがキリスト教という信仰が持つ歪さ
唯一神とその息子を崇めるのと同様に、自分達の信じる事こそが真実なのだとして、それ故に“異端”や“魔女”を刑に処す権利があると無邪気に考えている
殺人事件への怒りが暴力性を以て表現されていた事も“自分達は良い”とでも言わんばかりで非常に気持ちが悪い
一神教は往々にして排外主義に陥りやすいが、それが小さな町の中で最悪の形で芽吹いてしまったのが裁判まで含めてのこの事件だったのだと思う
司法より信仰の道理や町の“常識”を重んじる人々とそれを利用して過ちを覆い隠した者達
つまり遺族や彼らを支持する住民達、警察、検察、判事、陪審、メディアは概念的な意味で“法廷侮辱罪”に等しい行動を取っていたと言えるだろう
感情的にイメージと風説を互いに刷り込み合って膨れ上がらせ、最終的に“罪”を犯したのだから

根本的な話をすれば、キリスト教とは罪を贖う事が出来る信仰ではないのか?
神が全知全能で人間を守る存在なら何故、こんな事件が起きた?
そういった違和感を抱かざるを得ないし、信心に基づいて罵声を浴びせる姿が“カルト”的だった事も実に皮肉だ
検事の“宗教の名の下に何百人も殺されてきた”という言葉は滑稽でさえあり、思わず「キリスト教の話か?」と言いたくなった
結局、遺族や住民達は溜飲を下げる事が目的で真犯人探しを拒んでいた様にも捉えられ、彼らの主張こそ“儀式”の様だった
そして警察や検察も彼らの怒りを自分達から逸らしたかったが為に証拠能力があるかも疑わしい根拠を並べ立てた

確かに幼い我が子が殺されて冷静でいる事は難しい
だが、怒りをぶつける事でなく真相究明こそが犠牲者達の為になる
裁判とはその為の検証であり、捜査や証拠集めとは魔女狩りではない
判決が出る前に結論を出して良いのなら裁判の意味は無い
この基本的な前提が遺族だけでなく、住民達にも共有されていなかった為にこうなってしまった
犯人を刑に処したいという事と容疑者を刑に処したいという事は似て非なる物
後者は刑罰が目的化してしまっており、もはや胸を痛めずに処せるなら誰でも良いと言っているも同然ではないのか

本作は刑事司法制度の問題を指摘している
同じくらいに浮かび上がらせていたのは“家族”のあるべき姿
有罪か無罪かに関わらず親として支援する姿勢のジェシーの父や家族達と彼の恋人のリーとの間に溝が生まれていた場面はそれを象徴していた
勿論、遺族との対比もそうだ
刑務所とはただ処罰を与える場所ではなく、主目的は更生であるべき場所だ
実際、多くの凶悪犯罪者には背景として劣悪な家庭環境がある
少なくとも第三者はその事を踏まえて考えなければならないはずだ
でなければ司法は私刑の代理人に成り下がる
だが本件では社会だけでなく司法も感情に訴えていた

容疑者=犯人ではなく、築かれた悪印象と事件は別物と本来は知らせるべき仲裁者の立場にありながらである
それが遺族まで別の“加害者”にさせてしまった
何なら“依頼主の意見と一致しないと証人として呼ばれる事は無い”などという発言まであり、被告になった時点で弁解の余地は無いと法を否定する様な論理まで展開していたのだから始末に負えない
ただでさえ虚偽自白を強要した事で、警察及び検察側の提示する証拠に疑問符が浮かぶ状況を自ら作り出していたにも関わらずだ
杜撰さを隠す事もしない杜撰さ
それが彼らに受けた印象だった

陰謀論者や統合失調症患者の様に無関係の物事を繋ぎ合わせ、恣意的に解釈
同調圧力を正当化し、悪魔の証明を迫る
自分に都合の良い情報だけを信じる一方で、容疑者にはそれを許さない
内心の自由を侵害し、矛盾には目を瞑る
口にされる怒りはことごとく“ブーメラン”
これが司法と遺族のやった事だ
彼らは結局、その罪から逃げ仰せてしまった
まるで真犯人の様に…

この一連の悲劇は詰まる所、”表現の自由“を認めない風潮に端を発していた
日本でも宮崎勤の事件によってゴア映画やアニメなどが槍玉に挙げられた時代があった
現在はそれらへの偏見もかなり解消されたが、今でも決して他人事ではない
昨今のネトウヨの”国籍透視”などを見ていれば良く分かるはずだ
冤罪事件も過去に数多くあり、つい最近も前検事総長が“袴田事件”を冤罪と認めない様な発言をしていた
とにかく、ファクトベースで物を見るのが通常である世界になって欲しいと切に願う

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