倫(ロン)敦(ドン)から届いた思わぬ贈り物によって、チセは奥底に沈めた記憶を思い出す――。 幼き頃、ひとに見えざるものとひとの無理解に怯えた日々を。 それらから逃げた先に存在していた不思議な図書館と、管理者たる森の魔法使いを。 『君が気にいる本が、何かあればいいんだけど』 何も訊かず、そう言って優しく受け容れてくれた彼や書物との交わりの中、 チセはある時、カウンターに於かれた1冊の本に目を留める…
倫(ロン)敦(ドン)から届いた思わぬ贈り物によって、チセは奥底に沈めた記憶を思い出す――。 幼き頃、ひとに見えざるものとひとの無理解に怯えた日々を。 それらから逃げた先に存在していた不思議な図書館と、管理者たる森の魔法使いを。 『君が気にいる本が、何かあればいいんだけど』 何も訊かず、そう言って優しく受け容れてくれた彼や書物との交わりの中、 チセはある時、カウンターに於かれた1冊の本に目を留める。 それは、森の魔法使いにとって特別なものであり、そしてチセにとっても 特別なものとなる本であった……。
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