先日観た「世界一キライなあなたへ」と類似点の多いストーリーだったけど、うける印象は何故かだいぶ違いました。

ハッキリと説明しにくいけど、個人的にはこの作品での尊厳死の描かれ方のほうが幾分か受け止めやすいものでした。

介護の姿や最後の一連の手続きや手段がよりリアルに描写されてて切なかった。

デンマーク、コペンハーゲン、病院で仕事をしているマリアは孤独に満ち足りた日々を過ごしていた。患者の青年ニールスは不治の病に身動き取れず、安楽死を希望していた。マリアは彼の希望を叶えるため一緒にスイスに向かう。

冒頭からラストまで雪景色が印象的である。細かく繊細な雪が髪の毛にパラパラと舞い落ち、雪に包まれ幻想的かつ、寂しさと孤独感がヒリヒリと浮き彫りになる。マリアの日常の平坦さと虚しさ、鳴り響く音楽に身を任せなんとか現実から目を背けようとしている。無音・無表情のセックス、心は別の場所にあり、ただその思いが叶うことはない。

ニースルは悪態ついて、マリアを怒らせるが、それは信頼関係があってこそだ。壮大な景色に包まれ、付き合いたての男女のように昔の恋愛話をしたり、側からどう見えてるかを妄想し、2人の恋愛物語を作り上げる。埋まらない距離、超えられない境界線は近づけば近づくほど虚しさとなって重くのしかかってくるのだ。

体の欲求を埋めるように男と抱き合っても、残るのは現実だけ。一瞬でも忘れようと離れようとした分その存在の大きさは明らかに全てを超えていく。わずかな時間にニースルの妻や子供のエピソードもしっかり埋め込み、並行する鹿の事故が彼女の決心を滲ませる。淡々な流れの中に、悲しさと瞬間の幸せを交差させ、どうしようもなさの中に確かに存在した愛の重なりが、悲しさよりも深い幸せとして光り輝く。

同じ雪景色、冒頭と同じ雪、しかし悲しさの中にどこか光を感じさせる。かれの最後をしっかりと見せ、命の重さを苦しみと共に見せる。彼女が出来ること、その存在を忘れないでいること。そうして日々は続いていく。同じ雪景色だが、まるで彼女を包み込み抱きしめているように見える。その繊細さは彼の心と交差する。重いテーマを寄り添う孤独の悲しみから見る。その命が確実に誰かのこころを埋め、温もりとなり、未来への扉を開くのだ。彼女は確かに生きている。命は続いている。。

あ〜〜〜映画館で観たかった〜〜←音楽的に←日本未公開らしいけど
大好きな映画「光のほうへ」で弟役を演じた俳優さんで
大好きな映画「しあわせな孤独」の続編みたいな流れで
ラースフォントリアーが製作総指揮らしくソノ臭いもしつつのデンマーク産
このジャケットに騙されてはいけない
甘くないかなりビターな「安楽死」がテーマの物語

• #がい2017