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カメラになった男 写真家 中平卓馬

『カメラになった男 写真家 中平卓馬』に投稿された感想・評価

4.3
【新たなる凝視👁】

生きた人間としての写真家=中平卓馬を身近に感じることができるドキュメンタリー。

もっと怖い人なのかと思いきや、フレンドリーでヒョロヒョロなおじさんにしか見えない辺りがミソである。

彼が横浜→沖縄→横浜と往来しながらシャッターを下ろす際に撮る「対象」は何処にでも存在し、且つ「未だに世界総体を把握し切れていない」と断定する態度が中平らしいアンビバレンスを醸成していると言える。

中平他、元PROVOKEの仲間達アラーキー、森山大道、東松照明らが特別出演。写真が好きなら一度は観ておいた方がいいドキュメンタリーの佳作。きわめて気っ風のいい中平卓馬がこの映画には存在する。
nx
-
東京工芸大学で行われた、監督の小原先生と加瀬亮さんのトークセッション付きイベントにて鑑賞。正直に白状すると、生の加瀬亮さんを拝見したくて伺ったゆえ、中平卓馬さんどころか写真業界に関する見識ゼロの完全素人なのに参加してしまったが、予想に反して90分いろんなことを考えながら楽しめた。なんならトークセッションもいったん「うわー本物の加瀬亮さん格好良い…」という感情を横に置いといて、素直にお2人の話に聞き入るほどこの作品自体に興味を持てた。そして家に帰ってWikipediaで調べたら中平卓馬さんはなんと私と同じ大学を卒業した先輩だった。あの一点に突き抜ける純粋な感じ、記憶障害の背景がもちろんあるとは思うけど、あの大学には似たものを彷彿とさせる感じの方がよくいたので、きっと中平さんも元々の魂レベルであの要素があったのではと勝手にしっくりきた。

私たちは生まれてからどんどん知識と経験と記憶を増やして、それに伴ってより多くのことが見えるようになっていると思って生きてしまいがちなんだけど、実は逆に脳内に蓄積されるものが増えれば増えるほどそれにがんじがらめになって何かが見えなくなっていく側面もあるんだよなと思わされる90分。つい「奇人」という言葉がパッと浮かぶようなエキセントリックさを見せてくる中平さんの姿は、都内で同じ電車に居合わせたら絶対ギョッとしちゃいそうな異質さがあるんだけど、彼の姿を見続けていると、無意識かつ純粋に他者や周囲の空気といったものを完全に無視しているその姿の一貫性に、絶対に私がどんなに頑張っても今後得られないものを感じてその尊さと格好良さが羨ましくなる。小原先生が仰っていた「剥き身の人間」が非常にしっくりくる芸術家だった。「人間の自意識とは」、という考えても答えのないことを反芻して脳が熱くなりながら夜道を歩いて帰った。

なかなか映画館で上映されることも、配信されることもないような貴重な作品をこうやって大学という機関がカジュアルに一般市民に紹介してくれるのって本当に良いなと思う。東京工芸大学さんありがとう。
mingo
4.2
「卓馬」とは馬鹿だけどほんの一瞬ずば抜けた才能を放つという意味らしく、アルコール中毒で記憶と言葉の大部分を失うこととなったがそれ以降写真を撮ることが生活となり、遂には毎日を生きる彼自身の眼がカメラアイへと成り果て、その眼を通した日々の一瞬を想うだけで人生がたまらなく愛おしく切なく涙がこみ上げてくる。本作を観るために静岡県立美術館まで行ってきたが、観る価値充分かなりの傑作。

そんな本作はショートホープの箱に赤ペンで忘れないようにその日の事象を記す中平卓馬という稀代の写真家の全貌が浮かび上がる。上下色褪せたデニム、猫背にもかかわらず鋭い眼光、この人何者なのだ。武蔵美時代デザインをやる前に写真を長島有里枝や山崎博に習っていた時期があって、その頃やたらと皆さんの中平卓馬という作家に対する特別視が気になっていたまま、2011年オペラシティで開催されたホンマタカシのニュードキュメンタリーで中平卓馬を撮影した映像作品「Short Hope(ポートレイトとして)」に惹きつけられたあのときの気持ちを再度胸に挑んだのだが、東松照明展のシンポジウムの副題である「写真の記憶、写真の創造」にケチをつける(ケチではなく中平なりの言葉の解釈)中平の筋の通った道理に背筋が伸びる。そして自己解体の手段だったはずの撮影行為を通じて自己再構築の営みを続ける様に愛しさを感じずにいられないのである。つまり目の前にいるのは猫のようにしなやかで毎日リングにあがるこの人物から、私たちは目を離すことができない。

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