ダミアン君に恋してる

The Strange Thing About the Johnsons(原題)のダミアン君に恋してるのレビュー・感想・評価

4.0
※※※ 注意 ※※※
『ヘレディタリー 継承』『ミッドサマー』の内容に一部触れてます



少し前から始まった奇妙な現象に見舞われておりまして、『ヘレディタリー』と『ミッドサマー』を交互に見続けてるのよ私…昨日も『ヘレディタリー』を観たばかりで…

『ヘレディタリー』は劇場鑑賞以来だった。もう家で3回観たかな?アマプラにあって嬉しい!あの荘厳で神々しいラストシーンで遂に泣いちゃったよ…。スゥーっと何かが剥がれ落ちて楽になっていくのを感じた。映像も音楽も綺麗でめちゃくちゃエモーショナルじゃん。再鑑賞レビュー書き足したいくらいの感動。

あれも愛だね。本当(あるいは偽り)の愛。ある意味、自傷行為とも言える。命。生きている実感。私は完全にあっち側の気持ちになってしまったのかも。

アリ・アスター監督の作品には地獄を癒しに魅せゆく不思議な力がある(悪夢という美しい幻想を見ているかのような)。いや、むしろその地獄自体が心地良いと感じるのかもしれない。そうとなれば私も相当な悪趣味嗜好だ。

何度か同じ映画を観ると、登場人物以外の所に目を配ろうとして、新たに何かを発見できたりする。

今回気になったのは【鏡】。鏡は真実(嘘)を映し出す。例えそれが裏をかく場合でもそう。そしてそれは人物の内面をもさらけ出す。隠し通せない心の闇。

そこで二面性という表現。

『ミッドサマー』で部屋の鏡に映るクリスチャンの姿、あれは彼自身の真の姿だってことなのだろうと思う。そして逆にそれは偽りのかたちであるという暗示でもある。だから同じように壁にかかる絵の額縁に反射するダニとクリスチャンの姿も偽り(幻影)の恋人だということなのだろう。主人公たちを直接カメラに映さないことで違和感を感じさせる上手い演出だと思った。そういえばマヤもペレも鏡に映ってたなぁ…ペレは机を反射鏡としてね。

『ヘレディタリー』の場合はジョーンが鏡に映りながらとある言葉を発する。はぁ…もう、そういうことか!と納得。"真実"であり"嘘"であるわけだ。ピーターも教室であんなことが…

そう、アスター監督作で【鏡(反射鏡)】がでてきたらまず何かあると思っていい。

これらから自分が感じたものを言葉じゃ書きづらいものがあるけど、こういう特異な映像表現方法というか、繊細な空気の歪ませ方みたいなものが抜群に感性があって凄く好き。

でこれ"負の無限ループ"という可能性もあるよね。だってさ…鏡と鏡を合わせると…抜け出せない迷宮世界になるから。



さて、そんな私を虜にして止まないアリ・アスター監督が卒業制作として撮ったという短編問題作を初鑑賞!!!これが処女作だっていうからもう驚きしかない。理解したくて連続2回で観た。

炎って見てると落ちつくなぁ…メラメラと燃えて…綺麗で儚く幻想的で…ねぇ、アスター監督って"炎"が好きよね…?破壊と再生を司るものだから。

鑑賞し終えると『ジョンソン家の奇妙なこと』っていう一見フワッとした感覚を覚える題名から、どこか架空の世界の作り話(おとぎ話)のように思えて来る。本当は怖いグリム童話的なエンドというか。絶望と安堵がせめぎ合うみたいな不思議な気持ちにさせられる。

内容は流石トンデモものだけど、それに相反するように働くものがあることに気づく。

身近で現実味のある恐怖やトラウマを描きつつ、それを感じさせないように優しく介抱してくれる、まさにドラッグ的な癒し効果を感じる。これがアスター監督作品の真の特性なのかしら!?
救いがないからこそ他から救いが与えられるみたいな…なんか少し分かった気がする。彼の作風の特徴がつかめた気がして、ちょっと嬉しい♡でもそれだけ中毒性があるってことかもしれない…なんてことだ…

息子イザヤを演じたブランドン・グリーンハウスさんは監督の友人らしくて、本作は彼と「タブー」について話し合う過程で生まれたアイディアが基になって作られたものだとか。オリジナルアイディアがまたタブーのフルコースに仕上がっているという…でこれを映画にしちゃおうという発想がもう恐怖だよね。と同時に芸術的だけど。

家族ドラマがドロドロのサイコスリラーな展開になるの凄いったら!息子の歪んだ愛情もまた偽りのない真実の愛だっていうこと、そして息子の名前はイザヤ(聖人)という意味を含むこと、そしてそんな聖人が最後は…本当に皮肉で悲しい。彼が涙浮かべて訴えるシーンは超切ない。やりきれない。救ってあげたい…そんな気持ちになった。


愛は地獄の業火でこそ生きる―――


アリ・アスター式【家族=愛憎=呪い】の法則が効いた大変危険な劇薬作品。

精神的に追い詰められ心エグられるキツい物語展開、人間関係の複雑さ、陰湿で異様な雰囲気、後味の悪さは一級品。彼の並外れた創作能力を改めて見せつけられた。

この頃から奇抜な才能を発揮してらしたのね!!!ここから全てが『ヘレディタリー』『ミッドサマー』へと受け継がれていくのかと思うと感動すら覚える。

特別開花されまくった彼をますます応援したくなりました。

アリ・アスター監督すきだぁぁぁあああ~~~!!!!

あぁそしてまた『ミッドサマー』が見たくな~る♡♡♡

*☆Keyword☆*
『断末魔のモルヒネ ヒーリング♪』