宮崎駿が影響を受けたとの事で視聴。鳥がメインキャラクターなのもあり「君たち〜」との関連も気になった。

アンデルセンの「羊飼い娘と煙突掃除人」を原作にした52年に公開されたフランスのアニメーション。当時日本でも評価が高かったらしい。

タイトル通りの暴君が住むお城が舞台。絵画に描かれた煙突掃除人と、羊飼いの娘が恋をして、絵から飛び出る。同じく羊飼いの娘に一方的に恋をした王様が、二人を追いかけるというストーリー。

城の空間描写がすごく、エッシャーの絵やゲームのICOを連想した。
また、煙突から外に出て、地下に逃げ、そこから地上に上がるという上下の使い方も凄かった。

「天井桟敷の人々」(1945)などフランス詩的リアリズム映画を牽引した脚本家ジャック・プレヴェールがシナリオを手掛けたアニメ作品。日本での上映は1953年で、当時本作を鑑賞した高畑勲がアニメの道を志すきっかけとし、宮崎駿にも大きな影響を与えた一本。アニメ史上初の搭乗型巨大ロボットも登場する。ヴェネツィア国際映画祭で審査員特別大賞を受賞。

※後に監督のポール・グリモーが自ら作り直したディレクターズ・カット版「王と鳥」(1979)を発表し本作は封印された。

砂漠の真ん中に立つ高い城に国王シャルル5＋3＋8＝16世が住んでいた。彼は手元のスイッチ一つで気に障る臣下を次々に処分する独裁者だったが、一枚の絵の中に描かれた美しい羊飼い娘に片思いをしていた。一方その娘は隣合わせた絵の中の煙突掃除屋の少年と両想いだった。ふたりは絵の中から抜け出し、一羽のふしぎな鳥の助けを借りて城からの脱出を試みるのだが。。。

ずっと気になりながら見逃していたのを「君たちはどう生きるか」(2023)の元ネタ要素と知ったのを契機に鑑賞。

凄い完成度かつとても好みのアニメだった。社会の上下関係を視覚的にも示す高い城を舞台に、抑圧の恐怖と解放への脱出劇が描かれる。少年と少女を導くのは上下空間を自分の赴くままに飛ぶ鳥で”自由”の象徴として位置付けられている。

絵柄が好みで、曲線の中に無限に伸びる直線のパースは仕込まれた画面はダリの絵画のよう。ダリとディズニーのコラボアニメ「デスティーノ」(2003)よりも本作の方がずっと好みみに感じるのは、思ってる以上にキャラクターデザインが世界観にマッチしているからかもしれない。

また本作の見所の一つであるロボットはどこか「アイアン・ジャイアント」(1999)を彷彿とさせる。同作がオマージュしているかは調べていないが、本作のロボットの未来の姿がアイアン・ジャイアントという解釈も可能に思える。

リメイクの「王と鳥」も描き込みが多くなり悪くないとは思う。しかし、1985年の日本国内初上映の際は本作と比較され、手塚治虫や評論家の小野耕世など多くの業界人が「改作前の方が優れている」と発言したとのこと。自分もラストシーンは本作の方が好み。

高畑勲や宮崎駿など日本アニメを牽引してきた映画人に大きな影響を与えた伝説のアニメ
ワンダーバードと呼ばれる鳥が出てくるし『君たちはどう生きるか』との関連性も気になって観たけど特にない
それよりも『カリオストロの城』がわかりやすく影響を受けてるな
ダリの『デスティーノ』っぽさもある
キショい王様が他の男と結婚したがってる女の子と無理やり結婚しようとする話で映画としてはあんま面白くないかな
修正版の『王と鳥』も観ます

• #2023ofあー