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美しく、黙りなさい
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『美しく、黙りなさい』に投稿された感想・評価

katoyu
4.7
2026年劇場鑑賞139本目。
公開初日、仕事中抜けして鑑賞しました。とても意義ある作品、というか、なんか生々しいというか、色々考えさせられましたし、この70年代半ばの状況から基本は良くなっているのかなぁ、と希望を持ちつつ、彼女達よりも遥か昔から映画界に関わってきた女性達が五万といる中で、創作現場でのジェンダー的な問題、男尊女卑的な概念が横行するのは、ある場においては今も変わらないのかなぁ、っていうのも思っちゃうわけで。今、この現代にこの作品を劇場で観ることはとても意義あることだと強く思った次第です。うん。
菩薩
-
シンプルなインタビュー集なのでこれを映画と認識するのはなかなか厳しいものがあると同時にここでの語りの重要性に関しては何一つ否定出来ないので面白く見た。今もなお「お気持ち」と揶揄されそうな叫びにも似たそれに端を発し、映画界に蔓延るホモソーシャル、ミソジニーに話が及ぶと次第に語り口調は熱を帯びる、今後自分達は如何にして主体性を獲得し与えられるだけでなく既存の型に押し込められるだけで無い人間性も言うものを「役」の中に見出していくか。いつまでも代替可能でおよそ40歳までと年齢制限を課されるでも無く俳優として、女性としてスター性を維持していく為に目指すべきもの、ホモソーシャルにおける女性の扱われ方に関してはこれ上野千鶴子で読んだやつだみたいな気分になった、ジョン・ウェインは同性愛を許さないが同性愛(的関係性)の再生産を続けるハリウッド。タバコふかしながらのマリア・シュナイダーの語りがめちゃくちゃかっこいいのだが、ちょうど『タンゴの後で』公開中と考えるとむ〜んとなる、観てないけど。
3.7
客席は7割から8割埋まってる感じ。
予想よりも女性客が多かった。

【↓以下ネタバレがございます↓】

『美しく、黙りなさい』(原題:Sois belle et tais-toi!/1976年)は、女優デルフィーヌ・セリッグが監督とインタビュアーを務めたドキュメンタリーである。セリッグはハリウッドとパリで活動する23人の女優を訪ね、映画界で女性が置かれている立場について話を聞いていく。ジェーン・フォンダ、シャーリー・マクレーン、ジュリエット・ベルト、アンヌ・ヴィアゼムスキー、マリア・シュナイダーらが、女優という職業を選んだ理由や撮影現場での経験、女性同士の関係、男性中心の映画産業における待遇や役割について、それぞれの立場から率直に語っている。

女優デルフィーヌ・セリッグは、シャンタル・アケルマン監督の代表作『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』(1975年)をはじめ、他のリバイバル上映で観る機会が増えており、本作の公開情報を知って気になっていた一本である。

①「もしあなたが男性だったとしても、この職業を選びましたか?」

②「他の女優と友好的な場面を演じたことがありますか?」

この二つは、かなり異なる角度から「女性として女優であることには、どのような意味があるのか」を問う質問だといえる。①は、女優という職業の選択とジェンダーの関係を問うものである。「もし男性だったとしても同じ職業を選んだか」という問いを通して、性別によって職業選択や、女優として置かれる立場がどのように変わるのかを考えさせる。②は、映画における女性同士の関係性や、その描かれ方を問うものである。女優同士が友好的な関係を演じることがあるかという問いの背後には、女性同士が対立や嫉妬、競争の関係として描かれやすい映画表現への問題意識がある。

ひとつのテーマに沿って女優たちが順番に語っていく編集も悪くはないが、あえてオーソドックスに、一人の女優ごとに区切りを設ける編集方法も個人的には観てみたかった。ちなみにオリジナル版では、英語を話す女優にはフランス語、フランス語を話す女優には英語というように、あえて本人とは異なる言語の声を重ねている。この仕掛けによって、女優自身の言葉が翻訳によって覆われる構造がつくられ、映画の中で女性の声や主体性が他者によって規定され、奪われていく状況そのものを音響的に浮かび上がらせているようにも思える。最新版では、失われていた音声資料のうち前半部分が発見されたため、その部分だけは女優本人の声に戻されている。一方、後半の生の音声は見つからず、従来の吹き替え音声のまま残されているという、やや複雑な形での修復となっている。ただし、英語とフランス語の違いを理解できない一部の観客にとっては、この言語の入れ替えに込められた意図が伝わりにくく、音響的な仕掛けの意味も十分には感じ取りにくいだろう。

製作当時は、かなり挑発的な内容だったかもしれない。2017年のワインスタイン事件をきっかけに映画業界の性差別や性加害が改めて社会問題として可視化されたことを考えると、あまりにも年月がかかりすぎた問題である。私が勤めていた会社は女性の比率が多く、気を配っていたほうだと思うが、どこかで無意識に傷つけていたのではないかと思ってしまう。こうして公の場で赤裸々に語られていることを考えると、すべてを時代のせいにするべきではないにせよ、改善に向けて動けなかった事実がこうして記録として残ったことは意義深い。日本にも男女雇用機会均等法はあるが、どこか建前に終わっている面があるように思う。

普段のジェーン・フォンダは、映画で見せる印象とはだいぶ違っている。それにしても、よく喋る人だと思う。彼女の主演作のひとつである『バーバレラ』(原題:Barbarella/1968年)は、男性側の性的ファンタジーを象徴するような作品ともいえるので、言いたいことが山ほどあるのも理解できる。

フィルモグラフィを見ると、アンディ・ウォーホルを銃撃したヴァレリー・ソラナスの著書『SCUMマニフェスト』を朗読するフィルムを共同監督していることを知る。こうした活動歴を見ると、セリッグにはかなり思想的な活動家という印象も受ける。

パンフレットは、A5サイズのコンパクトな仕様である。イントロダクション、監督・インタビュアー・女優としての紹介、フィルモグラフィ、スタッフ情報、インタビューを受けた女優の紹介、女優たちの発言〜二つの質問から、ダンカン・ヤンガーマン(デルフィーヌ・セリッグの息子)、著名人からのレビュー、ジェンダー平等の歴史、監督や作家による短いコメントなどが掲載されている。

[Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下]

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