作品の最初、海に面した会場に向かう修道士を乗せた車を、横からと上空から映すシーンを観ると、映画だなあと思ってしまう。それを含め、全編にわたって、落ち着きと重厚さを感じる作品だ。
金融システムのグロー>>続きを読む
男目線のせいかもしれないが、全く共感できるものがなかった。
私にとっては、本作品と同様に十代後半の少女の揺れる気持ちをテーマにした『恋は雨上がりのように』のさわやかさと躍動感を味わった後では、只々退>>続きを読む
久し振りに映画館で味わった至福の時間だった。
もし、映画的なものというものがあるとして、それが映画でしか表現できないものであるとしたら、そんな高尚なものは、この作品にはなかったのかもしれない。通俗的で>>続きを読む
またしても、期待を裏切られた。ここまで、裏切られると期待する方が馬鹿なのだろう。
作品の約2/3まではかなりのものだったのだが。
生田斗真演じる元ジャーナリスト廻りの話が陳腐で、一気に気持ちが萎えてし>>続きを読む
粒子の粗い画面から始まるこの映画の中の映画から、あの余りにも美しいラストの別離まで、曽根中生の眼は、一人の堕ちて、朽ち堕ちていくしかない女を、冷徹にそしてストイックなまでに厳正にみつめ続ける。
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大好きなミシェル・ウィリアムズと監督リドリー・スコットということで、本年上半期で、最も期待した作品だった。
しかし、心に響くものがない。
ミシェル・ウィリアムズ演じる母親に、3人の子供を独力で育て>>続きを読む
あのように、投げ出され、突き放されると、あの二時間は何だったと思ってしまう。
家に帰ると、朝日新聞の夕刊に監督のインタビューが載っていた。そこで、彼は、次のように述べている。『商業的な繁栄の陰で貧困>>続きを読む
私にとっては、5月15日現在、本年公開され、観た洋画で、本作品は、最も気に入った作品だ。
監督アーロン・ソーキンは、脚本家として、『スティーブ・ジョブズ』、『マネーボール』、『ソーシャル・ネットワー>>続きを読む
なにか、変わったあるいは新鮮なことはあったのだろうか。
昔を知っている我々にとっては、『ALWAYS 三丁目の夕日』の別バージョンのように思えて仕方がない。
それにしても、なぜ、真木よう子にあんなセ>>続きを読む
あの国では、アマスポーツの世界でさえ、ヒールが必要なんだろう。
エンドロールに、ハーディング本人が滑る映像が挿入されているが、嫌われるような顔をしている。
ハーディングを演じたマーゴット・ロビーは魅>>続きを読む
うぅっ。
面白くなかった。
寝てしまった。
ジョージ・クルーニーが何を言いたかったのかがわからない。
まさか、今更、人種差別でもあるまいし。
邦題のとおり、「仮面」の世界?
少年たちの純粋さと大人た>>続きを読む
観終わった時、私は、この二人の「成就した」恋よりは、さりげなく触れられる、主人公の女の母と誰だったかも忘れられた男との「叶わなかった」恋に思いを馳せた。
この作品を、どういうわけか、封切り時に観たこ>>続きを読む
確かに陰謀だった。
あの言い訳は、何度聞いたことか。
なぜ、マイケル・ダグラスがこんなとこにいるのか?
それで、この映画は終わってしまった。
主人公の女尋問官の苦悩の表現が、うわべだけだ。
しか>>続きを読む
私的に、かなり好きな映画だ。
最近観た『扉をたたく人』が、初老の男の孤独からの再生の物語だとしたら、本作品は「二人」の孤独な女の再生の物語といえるかもしれない。
年老いた母を看護し、自らも介護療法>>続きを読む
静けさと落ち着きの漂う印象的な映画だ。
良質な映画というのは、この映画のようなことを言うのだろう。数分観ただけで、画面が、「この映画はいい映画ですよ」とささやいたようにさえ思えたのだから。
主人公>>続きを読む
どうしようもなくやるせない、桃井かおり主演の『生きてみたいもう一度 新宿バス放火事件』(85,恩地日出夫)を観た直後に、この作品をみて、妙な感慨に浸ってしまった。
片や、安っぽいヒューマーニズムなんか>>続きを読む
妻の連れ子にボロクソに言われ、家族を守るために左遷させられ、それでもつぎはぎだらけの家族というちっぽけな共同体を守ろうとする浅野忠信。
ちっぽけだからこそ守る価値のあることぐらい、家族を積極的に持とう>>続きを読む
私は観る前、この作品は、インドという国で、女性がレスリング界という特殊な世界に入っていく時の、制度的な障壁、閉鎖的な社会風潮に対する苦悩などが描かれているものと思っていた。
しかし、インドという国でさ>>続きを読む
また、掘り出し物をみつけました。
「みんな、それぞれの場所で、いろんな人生を演じている。たとえ、舞台に立たなくても、女はみんな女優なの。苦しいこと、つらいことがあっても、演じることで、一日が幸せに過>>続きを読む
猟奇殺人の話なのだが、韓国映画の暴力描写はきつい。
映画自体が猟奇殺人者のようだ。
失踪したデリヘル嬢の母親を探す娘が健気だ。
一瞬、レオンに似たものを感じたが、そんなに生易しくはなかった。
救い>>続きを読む
この映画も、やはり映画館で観るべき映画だった。
今回、映画館で観ると、数年前、DVDで観た印象と全く違っていた。
映像の迫力、音は当たり前だが、物語さえもが、グレードアップしているように思えたのだから>>続きを読む
あのラストに衝撃を受ける人もいるかもしれない。
しかし、私は逆にああいう終わりかたゆえに、何の衝撃も、何のカタルシスも、何の感動も感じることができなかった。
それに、最後の説明は嫌いだ。
もし、言い>>続きを読む
おそらく、1959年頃の四国、四万十川周辺の貧乏な村で、貧乏な雑貨屋を営む小林 薫・樋口 可南子夫婦と5人の子供たちのひと夏の生活を、次男の小学生を中心に描いた物語である。
我が国が、高度成長期に入る>>続きを読む
空虚だ。
昔、アン真理子は、「若いという字は、苦しい字に似てるわ」と唄った。
この映画から、そんなもんどこにも見えなかった。
胸キュンも、○○の痛みもなく、あったとしても、上っ面の空っぽの映画だ。>>続きを読む
スティーブン・スピルバーグらしいヒューマニズムに溢れた映画だったと言えるでしょう。このような映画が公開されると「報道の自由の大切さ」とか、「我が国の映画にこのような映画がないのは情けない」とか言ったス>>続きを読む
ただ、ただ、面白かった。次の展開がどうなるのか、待ち遠しくてたまらない感情を久しぶりに、映画をみて感じた。
本作品と1月公開の『悪と仮面のルール』を観て、原作者、中村文則の世界が、ある程度わかったよ>>続きを読む
チャン・イーモウの子供に向ける視線は、幸せに満ち溢れていた。だから、あんなに、ぬくもりのある作品をつくれるのだと思った。
もうひとつ、彼は教育の大切さを出演者の子どもたちに繰り返し述べていた。彼の作>>続きを読む
【いつかこの映画を思い出してきっと泣いてしまう】
1971年から88年まで、日活ロマンポルノは、数多くの名作とその後の日本映画を支える映画人をきら星のように輩出した。その後期の代表作のひとつがこの作>>続きを読む
寒村の代用教員となった少女が、親の借金のために、出稼ぎにいったイジメっ子の小学3年生の男の子を、町へ探しに行くだけの話だ。探すシーンはドキュメンタリーのように描写される。
町へ行くためのバス代を計算す>>続きを読む
映画の王道は、若者たちの姿を描くものであることを、この作品を観て、あらためて思った。
しかし、この映画は、若者たちを描いていたが、現在の若い人たちのためのものではなく、団塊の世代より少し遅れた昭>>続きを読む
探し求めていた映画。思い出すだけで胸があつくなる映画。
映画をつくるという強固な意志、映画に向かいあう誠実さを感じさせる映画。
チャン・ツィイーの愛らしさ、初めての出会いでのはじらい、髪留めをみつけ>>続きを読む
映画への愛、映画へのオマージュ、映画への勇気、映画への希望、映画への夢、そして映画への未来に満ち溢れた作品。
「映画」としてほぼ完璧な作品。
けれども、私は、こんなに素敵なテーマを見つけたのだから、>>続きを読む
そこには、きちんと物語があって、きちんと映画があった。
応援したくなるほど、若い二人に、好感が持てた。
吉野家での食事の場面で、彼女が左利きだとわかって、席を左から右に移る些細な事だけで、左利きの私に>>続きを読む
岡崎京子とは何者だったのだろう、何がすごいのだろう。漫画にまったく興味のない私にはわからなかった。後で知ったことは、彼女の壮絶な人生を。
行定勲監督は大好きだ。特に、美しい物語だった『クローズドノート>>続きを読む
「皆、人生の後始末を急ぎ始めている。」
寺山修司が生きていて、この作品を観たら、そんな風に言ったような気がする。
彼よりは、少し遅れた世代の私にとっては、ずぅっと彼は神様のような存在だった。けれども、>>続きを読む
『あしたはどっちだ、寺山修司』を観るため、本棚から、古い彼の本を引っ張り出して読んでいたら、彼は、ヴィヴィアン・リーの『哀愁』の予告篇を17回観て、17回泣き、待ちに待った本篇を観た時は全然泣けなかっ>>続きを読む