Ricolaさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

Ricola

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真実の行方(1996年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

大司教暗殺事件ということだが、宗教色はたいして強くはなく、単純に「人」の恐ろしさが描かれる法廷サスペンス作品だった。

被告人アーロン(エドワード・ノートン)の二面性(というか彼の場合は病気だが)に限
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スサーナ(1950年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

天性の悪魔。厄病神にしてはたちが悪すぎるほど、自分の都合しか考えていない。
そんな悪魔でも神に祈ることはある。それで彼女は一時的に神に試されたのかもしれない…と思うほどだ。
ただ、神からの試練を受けた
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イカボード先生のこわい森の夜/イカボードとトード氏(1949年製作の映画)

3.6

2つの短編『楽しい川辺』と『スリーピー・ホロウの伝説』によるオムニバス作品。全く毛色の違うストーリー2本仕立てである。


『楽しい川辺』は、教訓じみたところのある作品である。主人公のトード氏は派手好
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月光の女(1940年製作の映画)

3.5

嘘偽りない月は女を照らす。彼女をまっすぐ見つめている。いくら人に嘘をつくことができても、その眩しさには耐えきれない。

サマセット・モームの『手紙』が原作であり、秘密を抱える女性レスリーをベティ・デイ
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ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

2017年公開時に劇場での鑑賞以来の鑑賞。
当時この映画の歌に特にどハマリした印象が強かったが、改めて見直してみると、古き良き映画作品へのオマージュで溢れた作品であり、どのシーンがどこの映画からと言う
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私、君、彼、彼女(1974年製作の映画)

3.6

気だるさを常に漂わせている女。
ただ時間を潰すように生きているようだ。
世界も人生もどうでもいいと言うように、ひたすら時間が過ぎていくのを待つように生きている。


部屋から何もかもなくしてしまう。
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都市とモードのビデオノート 4K レストア版(1989年製作の映画)

3.7

「東京人間っていう言葉が好きで、なんだか無責任な感じがしてそれがいい」
自分の言葉で日本語も英語も紡ぎ出す山本耀司。洋服のデザイナーとしての彼だけではない、彼の思考にまで少し触れたように感じる。
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パームビーチ・ストーリー(1942年製作の映画)

3.9

いっけなーい!結婚式間に合わない!なカップル。それぞれ急いで準備してなんとか式に間に合ってめでたしめでたし…から、物語は始まる。
それから5年後…
「長年わたしはあなたを暖める毛布だった」
「愛が消え
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パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

いつ爆発するかわからない。いつもニコニコしている人ほど怒ったときが怖いというのは、そういったゆえんだろう。

内に秘めて堪らえているバリー(アダム・サンドラー)。
姉たちの干渉や揶揄にうんざりし、本当
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波紋(2023年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

『かもめ食堂』や『めがね』のようなのほほんとした雰囲気はありつつも、また違ったピリッとした緊張感を時折感じる。中年女性が家族などの社会的共同体で生きていくうえでの生きづらさや葛藤が主題であり、
社会問
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夜ごとの美女(1952年製作の映画)

4.1

理想の世界を夢のなかで見ることができたなら…。なかなかうまくいかない現実よりも、夢の世界で生きていたいと思うのも自然だろう。
いい夢を見たら二度寝して続きを見ようとするように、彼も眠り続ける。

貧し
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ロイヤル・セブンティーン(2003年製作の映画)

3.2

伝統あるイギリス文化への憧れがありつつも、堅苦しい雰囲気は嫌い!そんな思いを感じるようなアメリカナイズされた都合のいいプリンセス文化は、あまりに夢物語だなと思いつつ、明るくてポジティブな主人公が形式ば>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

お互いに若すぎた父娘。
娘ソフィはお父さんのことをわかっているつもりで、お父さんもバカンスを楽しんでいると思う一方で、たまにうわの空な様子だったり何を考えているのかわからない彼を見てどうすればいいのか
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越前竹人形(1963年製作の映画)

3.7

きめ細やかなうろこ雲に、雪の積もった竹林、晴れた日に風がそよめく木々。
霧がかって灰色のうっすらとした膜がスクリーンを包み、墨色の竹林など、重々しい雰囲気である。
美しくも厳かな風景のショットに、心の
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EO イーオー(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ロベール・ブレッソンの傑作の一つである、『バルタザールどこへ行く』から着想を得た作品で、それもイエジー・スコリモフスキ監督作ということで、公開前からずっと楽しみにしていた。


無垢な魂が、汚れた人間
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ゴダールのマリア(1984年製作の映画)

3.6

処女のままイエス・キリストを身籠ったという聖母マリア。
そんな奇跡がもしも現代社会に起こるとしたらどうなるだろう…?
ゴダールは、哲学と生命の神秘への探究に沿って処女受胎の物語を描いている。

「肉体
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ママの想い出(1948年製作の映画)

4.1

アメリカの良心を体現したような、いい意味で理想主義で固められているホームドラマ。現実はそううまくいかないことも多いけれど、この作品を観たあとには、せめて心だけは理想を掲げて前向きに生きていたいと思わさ>>続きを読む

帰れない二人(2018年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

中国の激動の歴史とともに、ある男女の運命の行方も描かれた壮大なラブストーリーである。
壮大というのは、中国の歴史や大地のみならず、恋人たちの愛の大きさに関しても言えることである。
年代記ともいえるこの
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カラビニエ(1963年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

あまりに皮肉な悲劇。
戦争はいつだってそうなんじゃないか。
一般市民は利用されるだけされて、戦いが終わったあとにようやく何も得るものはなかったことに気づく。

素人俳優の采配が効いていたようだ。
彼ら
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ウイークエンド(1967年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

短気なフランス人の日常から、「おとぎ話の世界」および「映画の世界」に迷い込んでしまう。非現実から抜け出せない。当人たちがもはやそこから抜け出したいのかもわからない。

まるで寝ているときに見ている夢の
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私、オルガ・ヘプナロヴァー(2016年製作の映画)

3.6

チェコスロバキアで実際に存在した、最後の女性死刑囚のオルガ・ヘプナロヴァーの人生を元にしているという作品。
彼女は自分の周囲の人間に失望し、社会に対する恨みと絶望をつのらせていき、ついにそれを行動化し
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ゴールデン・エイティーズ(1986年製作の映画)

3.6

地下のショッピング街で行き交う恋心。
それらは交わったり交わらなかったりすれ違ったり流されていったり…。
美容室で働く女の子が恋するのは前のブティックのオーナーの息子。でもそんな彼が恋するのは美容室の
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愛と追憶の日々(1983年製作の映画)

3.7

毎年自分の誕生日、そして大好きなシャーリー・マクレーンの誕生日でもある4月24日には、マクレーン出演作を観るというのがお決まりになっている。
相変わらずキュートで芯の強い役の似合うマクレーンの魅力にぐ
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レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989年製作の映画)

3.8

頭のてっぺんからつま先まで尖っている、バンドメンバーたち。というか一族。彼らはアメリカでのデビューを指示され、右も左もわからないままやって来てアメリカを横断することになる。
実際のバンドを主役に持って
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この広い空のどこかに(1954年製作の映画)

3.9

皆善良な人間ではあるが、どこか素直になれなくてなかなかお互いに心を開けない。
戦後のまだ混沌とした世の中で生きる家族の物語である。
筋書きは理想主義的すぎるかもしれないが、その前向きで優しい心の彼らに
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13回の新月のある年に(1978年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

本当の孤独とは、ひとりきりでいる以上に、苦しいときに友人や知り合いがいても自分の心の内を明かせなかったり、逆に踏み込んでもらえないときに感じるものかもしれない。


体は男性で心が女性のエルヴィラは、
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スナッチ(2000年製作の映画)

3.5

さまざまな人たちの思惑が連なっていき、なんとか目的に到達するために奮闘するが、なかなか思い通りにはいかない。
なぜなら、皆バラバラだからだ。


個人的に、筋書きよりも素早い編集などの演出が気になった
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地獄の英雄(1951年製作の映画)

3.7

皮肉なことに、何も事件がない=平和なのであるが、それでは新聞のニュース欄はつまらなくて、話題性に欠けてしまう。
それじゃあ事実をもとに事件をでっちあげてしまえばいいのでは、ということでひとりの新聞記者
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離愁(1973年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

こんな世の中じゃなきゃ、戦争なんてなければ…出会うことなんてなかった。
だからこそ、彼らの許されない恋はより儚さと切なさを帯びていく。
ジャン・ルイ・トランティニャンとロミー・シュナイダーという美男美
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お引越し(1993年製作の映画)

3.9

両親の離婚に心が揺れる少女レンコ。彼女の傷つきや発見、奮闘ぶりが繊細かつノスタルジックに浮かび上がる。
子供だからというだけで、自分の意見を通したり聞いてもらえないことのもどかしさが、レンコの周囲の人
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カンフー・ヨガ(2017年製作の映画)

3.3

もう何もかもめちゃくちゃだけど、笑っちゃうことはたしかだろう。
頭を空っぽにして観るには最適だった。

とはいえ、まだ現役でキレキレのアクションを繰り出すジャッキー・チェンには驚かされる。彼の出番は少
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

3.8

逃避行というと、駆け落ちとか大犯罪とかそういっただいそれた出来事ゆえのものだと思っていた。
でも、そんな大がかりな理由がなくたって、
何もかも捨てて逃げ出したっていい。
むしろ、日常生活の倦怠から抜け
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ベネデッタ(2021年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

信じることがどれほど難しいことか。それは特に、対象が人の場合さらに難しいのではないか。
中世の時代と比べて様々な事象の原因が解明された現代においても、そのことは変わらない。

奇跡を起こし、街を伝染病
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レザボア・ドッグス(1992年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

信頼関係が無駄な関係性に陥ることが、場合によっては稀にある。その一つは強盗の共犯者同士の場合なのではないか。
強盗失敗によって危ういバランスを保っていた共犯関係がもつれていくなかで、男たちの信念のぶつ
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小間使の日記(1963年製作の映画)

3.6

腐敗したブルジョア…だけではなく、社会そのものにメスを入れるような視線。
パリから田舎にやって来た小間使のセレスティーヌは、仕えている屋敷の住人たちやその周囲の人間をまじまじと観察する。
さらにある事
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秋立ちぬ(1960年製作の映画)

4.0

田舎から母親と一緒に上京してきた少年。
都会といった環境からだけではない少年の孤独が、少年の視点から物悲しくかつ残酷に描かれている。
少年は期待と失望を繰り返すのだが、それは渡ること、乗ることといった
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