Panierzさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

Panierz

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殺しの烙印(1967年製作の映画)

5.0

ナンバーワンのやり口で生きていきたい。人生のバイブル。

さらば夏の光(1968年製作の映画)

3.5

時間の流れを刻印するヨーロッパの都市の景観。その中で貿易商として働く岡田茉莉子が、戦後の断層を意識しながら幸せとは何なのか問いかける。喋ってることがなんか全体的にボードリヤールっぽいがカテドラルという>>続きを読む

水で書かれた物語(1965年製作の映画)

4.2

ファルスの存在に苦しめられ続ける男の話。エディプスの構造に岡田茉莉子を置くと無意識の理論に抗えない説得力が加わるのでやばいですね。
前半は鈍足だけど事故起こしてからの演出が尖り過ぎてて一気に目が覚める
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樹氷のよろめき(1968年製作の映画)

3.6

歪曲された『突然炎のごとく』。真冬の北海道で繰り広げられるカオスな三角関係物語は滑稽だけど、雪も寒さも御構い無しの卓越したカメラワークには驚嘆する。雪景色と岡田茉莉子の幽玄の美に見惚れる。

告白的女優論(1971年製作の映画)

3.8

映画を通して女優を解体し、映画と女優の不可分な関係を暴く。この時代の日本映画事情を知っていれば先鋭な女優復権運動として、知らなければベルイマン的なペルソナ論として享受することができるかもしれない。仮面>>続きを読む

煉獄エロイカ(1970年製作の映画)

5.0

傑作。始めから終わりまで完璧すぎるショットの連続。オブジェクトのように配置される人間と、光の反射や撮影装置をメタ感覚で操るスキゾフレニックなフレーム。多重構造により表現される煉獄からいつまで経っても浄>>続きを読む

秋津温泉(1962年製作の映画)

4.7

吉田喜重の完璧なフレームワークに岡田茉莉子の幻想的な美しさ。秋津温泉というタイトルから想像されるスケールを著しく逸脱した温泉物語にめまいを覚えながらも傑作としか言いようのない圧倒的な力がある。旅館から>>続きを読む

ヴェルクマイスター・ハーモニー(2000年製作の映画)

4.5

ピタゴラスの音律からヴェルクマイスターの調律、現代ではバークリーメソッドにより和音は記号化され、ジョージ・ラッセルはそれに抗する宗教的なユートピアを生み出す。こうして創られてきた音楽のほとんどは抑圧か>>続きを読む

アンナ・マグダレーナ・バッハの日記(1967年製作の映画)

4.0

宮廷音楽家としてのバッハを描く眼差しは決して神格化されることなく、淡々と年代記的にテクストと演奏が交互に輪郭を描いていく。感情移入することもなくただ観客として演奏を聴き味わうという姿勢を促される。この>>続きを読む

テオレマ(1968年製作の映画)

5.0

様式化したブルジョワジーの家庭は芝居装置と同期し、やがて空虚なシステムのみが機能するゼンマイ仕掛けの現実を創り出す。神的な魅力を放つ外部によってその空洞は照射され、それは神話的な語りとともに自己省察へ>>続きを読む

寝ても覚めても(2018年製作の映画)

4.3

生まれてから死ぬまで決して完成されることはない、不完全で歪な感情は言葉では取り繕えても身体では誤魔化すことができない。その不完全な感情の発露となる身体の奔放さを律するのが社会性であり、その超自我的な社>>続きを読む

下女(1960年製作の映画)

4.0

主従関係の逆転劇、ひとつの間違いが大きな悲劇を生みます系の教訓ビデオ、あるいはフロイト的性欲動の啓蒙映画、みたいな感じなんですがまあ構造も展開も基本的に雑です。

ネズミや家屋爆発の寓意的な演出は、最
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エデン、その後(1970年製作の映画)

4.0

映画になりきれてない映画、そのペーパーアーキテクト的な現実味を欠いたゆらぎが観客に夢を見させる。ロブ=グリエが想い描く夢をそのままに見させられている。
それ以上は特に何もないというかそれ以上はよく分か
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処女の泉(1960年製作の映画)

4.5

偶然によって導かれる必然性というものを強く感じる作品だった。

教会へ向かう道中で不幸に見舞われる一人娘のカーリンと、その復讐に走る父のテーレ。テーレは罪なき者の陵辱と殺害を看過する神を責めながらも、
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エコール(2004年製作の映画)

3.5

棺から出た少女は学校という檻の中で純潔を守り、性の目覚めとともに外の世界へ。しかしそこも結局は建造物の世界、創られたシステムの中で異性と接触し繁栄という秩序の維持に努めていく。この海から逃げることは出>>続きを読む

ポーラX(1999年製作の映画)

4.2

この世の隠された真実を追い求めるためには、安定した貴族暮らしから離れ狂気を身に纏う必要があった。しかし狂気で真実あるいは真理へ向かえばその先には統合失調の不可逆な墜落しかない。この世は真実を排除した真>>続きを読む

一寸先は闇(1971年製作の映画)

3.6

罪を告白してるのに罪が認められない、自首しに行こうとしてるのに自首しに行かせてもらえない、というところには少しブニュエルを感じながらも諧謔にはならず、罪の意識やモラルとの葛藤、あるいは個とシステムの葛>>続きを読む

夜よ、こんにちは(2003年製作の映画)

4.0

のぞき穴から相手を覗いたり自分を覗いたり、覗きという行為を手続に現実を二重化させる。それは赤い旅団によるモロ元首相誘拐殺人事件という変えられない歴史に対する主観と客観。

不可逆な時間の流れに揺らぐ信
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ハッピーエンド(2017年製作の映画)

4.5

解放へ向かう死という意味では『セブンス・コンチネント』の嫡出子で月日と共にハネケが少しは丸くなったという幻想はぶち壊された。

データベースに依拠する表面のみの世界において、ハネケが表現してきたコミュ
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狼の時刻(1966年製作の映画)

4.2

あくまでも妻の証言として話が進んでいくことで、妄想的な解釈による現実の二重化を可能にしながら、そもそも冒頭でこれは虚構であるということを示すベルイマンはある意味観客をバカにしてるとも思えるが、それがス>>続きを読む

第七の封印(1956年製作の映画)

4.7

不在の在として存在する神を死として表象させ信仰の虚無を描いてるのが面白い。この独特な視点、色褪せることないオリジナリティ。ベルイマンとは何者なんだ。

見えない恐怖を神として心の拠りどころとするか、芸
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自由の幻想(1974年製作の映画)

4.3

ブニュエル超現実三部作の中で最もふざけてると言ってもいい作品。ゆえにこれを素晴らしいと言えるかどうかはブニュエル信者力が試されるところだ。私にとってのブニュエルは神でありアイドルなのでこの作品も楽しめ>>続きを読む

三人の女(1977年製作の映画)

5.0

『イメージズ』でアルトマンが見せたスキゾフレニアの特異的な景色が三人の女、という更にヒステリックな相貌に分裂、あるいは敷衍して描かれている控えめに言っても大傑作。

噛み合ってない会話、不自然なフォー
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テナント/恐怖を借りた男(1976年製作の映画)

3.8

集合住宅を舞台にした、ポランスキーお得意の心理ホラー。
反撥然り、関係妄想ものを描かせれば流石だなと思う一方で、映画館でポランスキーがイザベル・アジャーニのおっぱいを揉むシーンは果たして本当に必要だっ
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女っ気なし(2011年製作の映画)

4.3

滑稽に図式化されてしまう夏物語。
ギヨーム・ブラックのヴァカンス映画はやっぱり好きだ。
ロメールのアマチュアリズムみたいなものと比べられるけど、この人の映画は役それぞれがキャラ立ちしてるのが面白い。ク
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アイズ ワイド シャット(1999年製作の映画)

5.0

最後のセリフにより結論される夫婦関係を映したものとしてカサヴェテスの『こわれゆく女』を真っ先に思い浮かべたけど、こっちの方が何故かしっくりときた。仮面=人格という、人格の転移可能性を説いたものばかりを>>続きを読む

欲望(1966年製作の映画)

4.0

ファインダー越しに見る"真実らしさ"に取り憑かれた男の話、という印象を受けた。そしてそれはこの男の話というスケールだけで語られるのではなく、真実よりも上にある真実らしさが重要視される現実への皮肉を映し>>続きを読む

こわれゆく女(1974年製作の映画)

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こわれゆく女とあるが、女は最初から躁鬱病の様相を呈しており正常から異常へ転覆するこわれを映してはいない。
そこに期待すると、こわれゆくは寧ろ男の方に顕現されてるように映るが、女が入院して姿を消すとこの
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できごと(1967年製作の映画)

4.3

不穏な色調に不気味なショット、クローズアップされるジャクリーヌ・ササーヌの美しいつり目。アクシデントで始まるオープニングから好きでした。

中年大学教授の下心と負け癖のついた情けない生活が映し出される
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ローラ(1981年製作の映画)

4.0

秘書まで特徴的でそれぞれキャラが立っている、という点では映画でありながらテレビドラマ的な趣も色濃くファスビンダーにしてはポップな印象。
とは言え、内容は急速に経済発展を遂げる狡猾な50年代西ドイツに対
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緑の光線(1986年製作の映画)

3.7

デルフィーヌのことは正直理解できるような、できないような。
拗らせ知識で作った盾を構えているだけでは何も生まれないどころか置いていかれる。分かってはいるけど、本当は空っぽな自分に自信が持てない。
外向
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