のんさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

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ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)

4.4

時空超越コメディ


『サマータイムマシンブルース』や『曲がれ!スプーン』などの原作で知られるヨーロッパ企画が、初の長編劇場映画に挑戦した本作。


舞台ではこれまでも時間をテーマにした作品を披露して
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21世紀の資本(2017年製作の映画)

4.0

トマ・ピケティ教授の『21世紀の資本』は、経済学の専門書としては、異例の大ベストセラーとなり、私も本を購入した口だ。

不思議なことに全部読んだという人にはまだ2人ぐらいしか会ったことがない(わたしも
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アキラ AKIRA(1988年製作の映画)

4.3

もう、はじまっているからね


2020年の東京五輪を当てたり、また劇中で中止に触れたりと一部で予言の書とも言われているカルト的傑作だが、30年以上の前の作品とはとても思えないとんでもないパワーに圧倒
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マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015年製作の映画)

4.3

【4DX字幕】【映像2D】


公開当時に観た時は周りの評価に対して、いまいち乗り切れなかった記憶があるが、多くの熱狂的ファンを獲得したことは間違いない。


それだけでなくキネマ旬報ベストテン第一位
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コンジアム(2018年製作の映画)

3.6

前振りが長い


心霊スポットに足を踏み入れた若者が危険な目に遭う、というのフォーマットはどうやら日本のホラーだけではないようで、韓国発のホラー『コンジアム』は、王道展開ながら中々に怖い映画に仕上がっ
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ハッピー・デス・デイ 2U(2019年製作の映画)

4.0

そんなこと作る前に考えときなさいよ!!


第一作はタイムリープものの新機軸を打ちだしていたが、続編となる本作は、安易なヒット作の続きでは決してない。


作品のプロットはより複雑になり、スケールはよ
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ハッピー・デス・デイ(2017年製作の映画)

3.8

タイムリープ×ホラー=面白さの螺旋攻撃



『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『バタフライエフェクト』など、タイムリープものは既に開発し尽くされたジャンルではあるが、『ハッピー・デス・デイ』はそこ
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イソップの思うツボ(2019年製作の映画)

2.9

ヒロインは可愛い


『カメラを止めるな!』のクリエイター陣が再結集したというふれ込みだが、作品のクオリティも驚きもほとんど全てが劣っていると言わざるを得ない。


そもそも作品自体に高揚感が溢れてい
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影踏み(2019年製作の映画)

3.7

鏡写しの心理ミステリー


ミュージシャン山崎まさよしの3度目の映画主演作は『月とキャベツ』でタッグを組んだ篠原哲雄と横山秀夫の連作短編の映画化。


元地方新聞記者の横山秀夫は、県警キャップの経歴を
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新聞記者(2019年製作の映画)

3.8

この国の民主主義は形だけでいいんだ


ちょうど一年前に『バイス』を観た時に「日本でもこんな映画が作れたなら〜」と呑気に思っていたが、それほど間をおかずに『新聞記者』なる映画が誕生した。


東京新聞
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ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY(2020年製作の映画)

4.0

軽やかに描かれる女性の自立


女性キャラクターの魅力という点では、マーベルよりもDCが圧倒的に強い。



ワンダーウーマンとハーレイ・クインはその中でも際立っているが、どちらも現代の女性を象徴して
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ターミネーター ニュー・フェイト(2019年製作の映画)

3.5

世界線何本あるのよ


『ターミネーター』シリーズは、爆発的なヒットを記録した2作目以降は低迷を続け、「正統な続篇」と位置付けられた作品が複数存在する。


もはや何がなんだかさっぱりで「世界線多すぎ
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初恋(2020年製作の映画)

4.1

バランスの悪さが魅力的


昔から感じていることだが、三池崇史監督は、作品ごとの質にムラがありすぎる。逆にいえば、脚本やスタッフに左右されやすいのだと思う。


多作なこともあり、体感的なヒット率は2
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音楽(2019年製作の映画)

4.4


シンプルに「絵が動く」という感動は、『かぐや姫の物語』『ゴッホ 最期の手紙』に匹敵するものがあり、アニメーションの面白さの原点を思い出させてくれる。



物語はシンプルな映画で、ひねりもなければ余
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.9

暴力的直球で描く喪失と再生の物語


自身の失恋という個人的な体験に本作の着想を得たと語るアリ・アスター監督は、きっと若い時にその柔和な風貌からは想像し難い地獄を味わったのだと思う。


長編デビュー
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この世界の(さらにいくつもの)片隅に(2019年製作の映画)

4.7

普遍的物語から「すずさん」の物語へ



こんにちは。能年玲奈ことのんです。












はい。嘘です。すみません。
2016年に同じネタを書いたのですが、まさか同じフレーズ使うことになる
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

3.9

職人映画

長年、無冠の帝王だったハリウッドの名カメラマン、ロジャー・ディーキンスが『ブレードランナー2049』で悲願のオスカーを手にしたが、まさかこんなにも早く二度目の撮影賞を獲得するとは思ってもみ
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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

4.2

観客の穴を突くライアン・ジョンソンの妙


熱心なファンからはすこぶる評判の悪い『スターウォーズ 最後のジェダイ』だが、シリーズの定石に囚われず観客にも媚びを売らないその姿勢が私は好きだった。
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犬鳴村(2020年製作の映画)

3.8

正統派ジャパニーズホラー


何を隠そう私は清水崇監督の『呪怨』『呪怨2』が日本映画史に残る名作だとずっと言い張っているので、そうした系譜に連なる『犬鳴村』が劇場で観られて嬉しい限りなのである。
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ラストレター(2020年製作の映画)

4.1

レベル99のメルヘンファンタジー


広瀬すずと森七菜の透き通るような美しさをビビッドに切り取っている点は、是枝裕和監督の『海街diary』を彷彿とさせる一方で、 物語の骨格はおそろしいまでにファンタ
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劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明(2020年製作の映画)

-


評価以前の問題として、子供が痛めつけられるシーンがたくさん出てくるので、虐待に加担してる様な気分になり、とても陰鬱だった。


テレビシリーズ、総集編に続く本作は、深界五層での鬼畜森川智之ことボンド
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.5

ジャンル分け不能の大傑作エンタメ


カンヌ国際映画祭は、是枝裕和監督の『万引き家族』に続き、ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』をパルムドールに選んだ。


2つの作品が選ばれたのはおそら
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

4.1

絶対王者に挑め


レースにもクルマにもからっきし詳しくないが、『フォードVSフェラーリ』については、予備知識がないほうがむしろ楽しめたように感じる。


元レーサーのキャロル・シェルビーと、型破りな
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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年製作の映画)

3.8

まとまりと精細さを欠く完結編だが…


『フォースの覚醒』を全力で楽しみ尽くし、『最後のジェダイ』も抜群の傑作だと思っている私だが、この完結編は手放しで絶賛するにはあまりにも問題が多い。


製作途中
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ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

4.4

地獄の扉よ 開け


『ヘレディタリー 継承』は、『エクソシスト』や「オーメン』といった系譜につながる、近年のホラー映画の流行とはまた違う古典的だけど新しい不思議な映画だ。



心臓のビート音がじり
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ヒックとドラゴン 聖地への冒険(2019年製作の映画)

4.5

ほろ苦くハッピーな大団円

『ヒックとドラゴン』シリーズは、日本の映画市場において苦渋を舐め続けてきた。

一作目の公開時期は『トイストーリー3』ともろかぶりで、興行収入に大きく水を開けられた。

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アナと雪の女王2(2019年製作の映画)

3.9

セオリーを覆し続ける革新性


日本で255億円という超ウルトラスーパー特大ヒットを記録した『アナと雪の女王』はレリゴーを筆頭に楽曲の話題が先行してしまっているが、この映画の真の素晴らしさは、ディズニ
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ルパン三世 THE FIRST(2019年製作の映画)

3.7



モンキーパンチ原作の『ルパン三世』シリーズは、基本的な設定さえ押さえておけば、あとは何でもオッケーという制約の少なさがクリエイターにとって魅力的な作品で、宮崎駿の『カリオストロの城』はじめ、多くの
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ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

4.3

「映画『シャイニング』で本当に恐ろしいのはホテルそのものなんだ」

その昔、父に言われた言葉がずっと理解できなかった。

スティーブン・キングの原作を読んでない私には、キューブリックの『シャイニング』
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マチネの終わりに(2019年製作の映画)

3.7

髭の似合わない福山雅治



小説『マチネの終わりに』を読み終えた私はいたく感銘を受けて、そのまま映画館へと向かった。

結果的に読み終えたばかりの原作と比較しながら鑑賞することになってしまったが、映
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IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。(2019年製作の映画)

4.2

闇鍋フェスティバル


ホラー作品として全世界興行収入歴代1位という爆発的なヒットを記録した前作は、スティーブン・キングの往年の名作へのオマージュを捧げながら、少年少女の成長を描く青春群像劇を軸にした
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ジェミニマン(2019年製作の映画)

3.9

地味に映像革新

どう考えても『ライオンキング』と並んで今年公開の映画で革新的な映像技術の飛躍を遂げている『ジェミニマン』だが、そうした部分が話題になっていない。



若い姿の自分が自分を殺しにくる
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空の青さを知る人よ(2019年製作の映画)

4.2

井の中の蛙大海を知らず されど…


地方の田舎町で、地元から離れず公務員で勤務しているあかねをみて、まるで自分をみているようだった。まあ13年も想い続けている幼馴染みはいませんが。


『あの花』『
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ジョーカー(2019年製作の映画)

4.4

狂っているのは私か? 世間か?


アメコミ最凶最悪のヴィランであるジョーカーを再定義する本作は、マーベルやDCといったレーベルはおろかアメコミ映画といったカテゴライズすら無効化してしまう恐るべき衝撃
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見えない目撃者(2019年製作の映画)

3.8

韓国サスペンスをローカライズ



韓国産のサスペンス映画は、ハリウッド映画に引けをとらない異様な熱量を持つジャンルだと思う。


あの尋常でない緊迫した空気感はどこから醸成されているのか知りたいとこ
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主戦場(2018年製作の映画)

4.6

この国の真の敵

わたしがネトウヨとか自称愛国保守とかが大嫌いなのは、「普通の日本人」が「日本の誇りを取り戻す」などとのたまいながら、一方で差別的な扇動を繰り返して日本の誇りを著しく傷つけているその矛
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